人生いろは坂

人生は山あり谷あり、そんなしんどい人生だから面白い。あの坂を登りきったら新しい景色が見えてくる。

インターネットと商品開発

2006-12-01 21:44:51 | Weblog
 こんな事があるのも今の時代だからだろうか。先日とあるIT関連の
会社のMさんからメールを貰った。突然のメールだったので開けるのが
いささかためらわれたが、何となく気がかりなメールであったことも
確かだった。恐る恐るメールを開き、下の方に記されていたURLを
クリックし、ホームページにアクセスしてみると何ら問題はなさそう
だった。

 メールには、近い内に地元企業の商品発表会があるので参加してくれ
ないかというメールだった。そして、その日(11月28日)家内と一緒
に出かけた。お酒の試飲もあるというので帰りは徒歩のつもりで途中まで
は自家用車で行き、そこからは歩いて会場に向かった。

 会場は児島田の口にある古い酒蔵「十八盛酒造」だった。招待席は酒蔵
の入り口にあり、比較的温かい日だったとは言え何となく底冷えがする
ような薄暗い場所だった。新商品発表と言うからには明るく広い会場を
予想していたので意外な感じだった。

 開催時間が昼食時だったので簡単な挨拶があって早速会食になった。
出されていたのはサワラの味噌漬けを焼いたもの。そして岡山の「朝日」
というブランド米で作ったおにぎり、そして、みそ汁といういたって
シンプルなものであった。試飲はむろん十八盛酒造の今年酒と日本では
初輸入だというアメリカ製ワインの赤と白だった。

 新商品だというこのサワラの味噌漬けが実に美味しかった。後の説明で
分かったことだが、サワラは地元の漁協に上がった獲れ立ての3キロ以上
の大物。味噌は塩加減を押さえ味噌漬け用に調合した地元産のものだった。
そして、サワラを料理し漬け込んだのが地元の料亭だった。

 そして、もう一つは藍染めだった。最近では化学染料が多いが、ここで
紹介されたのは徳島産の本格的な藍を使用した染色だった。藍はスクモと
いう原料を灰汁と一緒に発酵させて使用する。この発酵の過程で酒を使用
する。この酒が地元産の十八盛酒造の酒との事であった。

 このように、地元産の朝日米を使った「おにぎり茶屋」のおにぎりと
みそ汁、そのみそ汁とサワラを漬け込む際に使用した味噌を造っている
「塩屋」、藍の発酵の際に使っている酒を造っている「十八盛酒造」、
そして、酒を使って藍を発酵させている「藍布屋」(らんぷや)、こう
した連携の中で開発されたオリジナル商品であるサワラの味噌漬けを
作ったのが「ビストロ割烹 魚清」であった。また、この結びつきを
コーディネイトして今回の発表会を開いたのがIT企業である「アイ
ティーシー」であった。

 児島のような地方都市にあって小さな企業同士が業務提携を行う事は
極めて珍しい。ましてや今回のような異業種同士の結びつきとなると
皆無に近いのではないだろうか。しかし、考えてみれば藍の発酵にお酒
を用いるなど意外とも思われるようなところでの地元の製品同士の結び
つきがあったわけで、実に「縁は異なもの味なもの」である。その結び
つきを最大限に生かしてお互いの売り上げを伸ばし、更には新商品まで
開発して売り出そうという意気込みはすごい。そしてユニークである。

 実はこの企画をしたIT関連会社のオーナーであるMさんに私のサイト
の事をどのようにして知ったのか聞いてみた。すると意外にもアメリカの
シリコンバレー近くにあるアイティーシーの支店から児島のホームページ
を検索し、それらしきサイトを探し出してメールをしたとの事であった。
私のサイトには地元での活動などを掲載していたので招待メールを出した
ようだ。遙か彼方のアメリカの方からホームページを見ていたわけで、
インターネットなので当たり前だと言ってしまえばそれまでだが意外な
説明に驚いた。やはりホームページの威力はすごいと言わざるを得ない。
今更ながら、そう言う時代であることを実感している。

 昼食度、早速、各社のインターネットを使っての商品販売の実績説明
などがあり、サワラの味噌漬け開発の説明もあった。その後、酒蔵の見学
や藍染め工房の見学などがあって商品発表会は終了した。

 帰りに聞いた味噌の塩屋さんの話だとインターネットを通じての商品
販売は難しいとの事だった。お味噌の場合は、味に特徴がなくリピーター
のようなお客さんが出来にくいとの事であった。また、商品が売れすぎ
ても生産が追いつかなくなってしまい困るとのことであった。

 余談になるが、ある地元の食品関連の会社は大手スーパーと業務提携
したことが原因で倒産したとの事であった。当初は生産が追いつかない
くらい売れたらしいが工場を拡張した途端に引き取り先のスーパーから
の要請で価格引き下げを余儀なくされ、結局、投資した資本の回収も出来
ないまま閉鎖に追い込まれたとの事であった。地方に於ける弱小業者の
悲哀であった。

 インターネットを使っての商品販売が多くなる一方で色んなトラブルも
生じているとの事であった。特にホームページを作らせておいて、如何に
すればアクセス数が多くなるか、商品注文が多くなるかという、きめ細かい
指導がなされていないケースが大半のようだ。その点、今回「アイティー
シー」が企画したような新商品を開発し発表会まで開くというケースは
極めて珍しいのではないだろうか。今後が期待される。

有限会社アイティーシー  http://www.itccorp.co.jp/index.html
新鮮岡山ブログ       http://okayama.nablog.net/
十八盛酒造         http://www.juhachi.jp/
藍布屋(藍染め)      http://www.aizomejapan.com/

コメント
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