湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

散文臭を避ける

2015-05-08 00:25:21 | 
5月の合評会で、下記のTの詩について話し合ったことをまとめます。

 
明快な輪郭のない
花や木々や果実は
限りなく晒されて
光の中に溶けてしまいそうな色合い

受精卵が発生を開始し
やがて鼓動を打ち始めるように
薄い色は震え 宙からの気を受信して
美しい律動を伝える
それは見る人の心を折る程に強い力
自己主張する思念ばかりの者にとっては
覚醒を促すものだ

光の中から現出するものは
自我を超えた存在

:作者の弁 :評者の弁
一見柔かい印象を与える絵画についての詩ですが、漢字が多いので字面的には硬く見えます。
第二連「それは見る人の心を折る程に強い力」がこの詩でいちばん大事な一行なんだけど、発生・開始・律動・覚醒といった漢字熟語に囲まれていると弱々しく感じてしまいますね。第二連にもっと平仮名があった方がいいですね。
お題も含む行だからね。このキモの一行を第二連の最後にもっていってもいいかも。ところで「見る人の心を折る」というのは具体的にはどういう意味合い?
鑑賞者が反省させられるということです。
実はそういうパワーのある絵について書こうとしたから、硬くなってしまったのかも。第一連は絵画の第一印象を描写している訳だけど「な色合い」は余計だったのでは? 第二連真中の「美しい」という形容も絵にとっては当たり前な表現だから、別表現を工夫した方がよりよくなると思います。

昨日のテレビ番組「プレバト」で夏井いつき先生が、俳句を散文的にしないための添削をしていましたね。
詩も同様に、説明的・慣用句的描写をうっかりしていないかという点に注意して推敲するべきだなと思いました。
コメント
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