湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

ユリイカ掲載

2015-05-28 01:45:55 | オリジナル
昨日は15分以上継続してスポーツをした住民の参加率を競うチャレンジデーでした。逗子市は三次市と対戦して勝ちました

逗子市体育協会の皆さん、お疲れさまでした~

さて、昨日発売の「ユリイカ」6月号「今月の作品」にAの詩「山椒」が、選外佳作として氏名とタイトルのみ掲載されました。
TAKでテーマ「芽」の時に作ったものを、例会の合評内容を反芻しつつ、テーマを大幅に掘り下げたり拡げたり構成や表現を更に工夫したりして、全面的に書き直した作品です。皆で決めたお題がなければ、基となる詩は生まれていなかったはず。この会に感謝です。
その前の号では選に入ったんですけどね。また掲載めざして精進したいと思います。
次の号が出たことだし、5月号掲載時に1カ所誤植があったので正しい表記のものを読んでいただきたいという気持ちもあり「ユリイカ」5月号「今月の作品」に掲載された詩を投稿しますね。

海面の後悔      
 
毎朝
目覚まし時計のアラームで
海底の岩から根こそぎもがれ
灰色のうねりに引きちぎられ
起き上がって悄然と
足許を流れる砂を見る
毎朝の起床儀式が何に対する悔いなのか
長い間わからなかった

夢を見ない君の夢を分析し自分は毎晩夢見を誤ることへの
起きている時間の半分を何の達成もない労働に費やすことへの
自信たっぷりでやるべきことをこなしている体を装うことへの
人と関われば関わるほどずれていく救いのない勘違いへの
法・条例・規則・規定・ルール・約束を破りたい気分への
秘かに君と私以外の人間が死ねばいいと思うことへの
詩の表層だけを読み取って奇怪な深みに恐怖することへの
罰あるいは先回りの後悔か

親や教師が虚ろな意味をひた隠しにして
未熟なままの私を前もって叱責した演技を
なぞっているのだろうか
属している世界の住民であるあなたたちがつまらないせいで
私のせいじゃないといつも弁解していたっけ

引きちぎれた根なし海藻の漂流は
そういう人類が抱えて離せない後悔の航海だ
人々の眠りで堰きとめられていた潮が
貧しい週末に突如来る終末に向けて
毎朝歪んだ海溝に流れ込んでは
洗面台の蛇口から漏れ出てくるのだ
顔を洗うとしょっぱい味がして目に沁みる


この詩に対する選者・藤井貞和さんの評が、なんともいえないいい味なので、併せてご紹介します。
第二連が後悔を羅列しているのは、激しい内容のようであり、単純な勘違いのようでもあり、なかに「詩の表層だけを読み取って奇怪な深みに恐怖する」という後悔もあって、そういう時にはたしかに罰を喰らう。後悔がだんだん、航海へひっかかってきて、海藻にまつわりつかれながら、作者のお目覚めの時間である。そして週末は終末であると気づいて愕然とする。

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