湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

「湿」の詩パート6

2015-05-18 00:11:06 | オリジナル
共通テーマ「湿」でEが書いた作品を投稿します。

湿度百パーセント

ネオンチラチラ夜の繁華街
チューハイ片手に老人が歩く
   オウ 上出来じゃねえか犬のケツ穴
   息してやがらぁピクピクしてるぜ
   姉ちゃん ここらはあぶないぜえ
振り向いた女に
   なんだ婆さんじゃないか
ふらつく足で踏ん張る老人の丸い目が笑っている
背中を丸めて足早に立ち去ろうとする女の足元に
踏ん張りきれずに転んだ老人の缶がころがり
こぼれたチューハイのシミが犬の足をぬらす
顔をしかめてよろけた女は電信柱にあたり
フツフツと込み上げる怒りと痛さに
女の心は爆発寸前
老人はバツが悪そうによろよろと立ちあがり
ジワァーと温かく濡れたズボンの尻に手をあて
走り去る女の姿を見ている

雨上がりのむし暑い夜
それぞれの人生で交差した一点は
湿度百パーセント
コメント
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