湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

森鴎外「雁」の舞台

2015-05-21 01:28:52 | 旅行
旅行カテゴリーのコンテンツを増やすべく、この間の日曜日に参加した文学横浜の会&横浜文学学校「森鴎外文学散歩」のルポを投稿します。
訪れたのは台東区・文京区だから日帰りというか半日のツアーでしたけど、国内旅行の行き先トップで外国人旅行者も最近特に大勢訪れている世界のTOKYOですから、このカテでいいんです
 無縁坂
その頃から無縁坂の南側は岩崎の邸であったが、まだ今のような巍々たる土塀で囲ってはなかった。きたない石垣が築いてあって、苔蒸した石と石との間から、歯朶や杉菜が覗いていた。
左側に長く続いている石塀+煉瓦塀の中が旧岩崎邸。高利貸しの末造が囲っていたお玉の家は道を隔てた向かい側、この道はお玉が恋い焦がれる東大生岡田の散歩道という設定になっています。


現在、ラブラブで不忍池&上野の森越しにスカイツリーを眺められるベンチがあるこの場所で、作中の明治時代の東大生たちったら、池に群れる雁を獲って食おうなどと考えていたとは
 「こんな所に立って何を見ていたのだ」と、僕が問うた。
 石原は黙って池の方を指ざした。岡田も僕も、灰色に濁った夕の空気を透かして、指ざす方角を見た。その頃は根津に通ずる小溝から、今三人の立っている汀まで、一面に葦が茂っていた。その葦の枯葉が池の中心に向って次第に疎になって、ただ枯蓮の襤褸のような葉、海綿のような房が基布せられ、葉や房の茎は、種々の高さに折れて、それが鋭角に聳えて、景物に荒涼な趣を添えている。このbitume色の茎の間を縫って、黒ずんだ上に鈍い反射を見せている水の面を、十羽ばかりの雁が緩やかに往来している。
鴎外の住んだ家の跡などを巡った報告は、後日投稿します。

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