湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

体験を基にもっと強い詩を

2015-05-12 12:23:50 | 
5月の合評会で、下記のAの詩について話し合ったことをまとめます。

日曜日、父は枯枝を燃やす
  
日曜日の夕方には決まって
父が家中のごみを集めて庭で燃やす
火の力で家庭を清めたくて
庭の片隅にまとめ置かれた剪定枝を
時おり折ってくべながら
父は真剣な顔で火を見つめている

日曜日の夕方
私は二階の自室の窓から
父が焔を見つめる姿を
悲惨な心で見おろしている
庭に降りて行って隣に立ちたいのだが
かける言葉がひとつも浮かばない

月曜日の早朝
一家の系統樹の私の枝を折り砕き
ごみ箱に捨てて家を出て行く
私の破片は次の日曜日に
父が燃やしてくれるだろう
朽ちて乾いているから
音を立ててよく燃えるだろう
父は哀しい表情で
音が消えて灰になるまで
ずっと聞いているだろう

:作者の弁 :評者の弁
私小説的な詩ですね。
ほぼ実体験です。
実体験から飛び上がれていない印象を受けました。特に出だしが散文的。半分ぐらいの長さに凝縮すれば、全体的に言葉をもっと強くできるのでは?
実体験だから響く部分もあるけどね。最終連がいいですよね。なんか父も娘もかわいそうで。
最終行の「ずっと」が陳腐で惜しい。もっと小粋な終わり方にした方がいいですね。
コメント
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