
宇田喜代子<うだきよこ> 1935年山口県生
まれ。武庫川の短大を卒業後、子規に師事
した石井露月<いしいろげつ>の門下生より
俳句を学びます。前田正治<まえだまさはる>
が主宰する「獅林」に入会。1970年「草苑」
の創刊に参加したこと機に「日野草城」<ひ
のそうじょう>の弟子「桂信子」<かつらの
ぶこ>に師事します。正岡子規の研究で知ら
れる「坪内稔典」<つぼうちとしのり>編集
の「現代俳句」の同人となり、1981年には
「未定」に参加するなど、当時の著名人たち
との交流を通しオリジナリティーあふれる作
風を確立していきます。
喜代子は、2002年紫綬褒章を受賞。2014
年には現代俳句大賞を受賞。2016年には日
本芸術院賞を受賞するなど、その功績は国
際的にも高く賞賛されています。
「深呼吸 止めると この秋も終る」<喜代子>
喜代子は「獅林」で俳句の基本を学び「草
苑」で新興俳句に親しんでいます。そうし
たことを背景に、古典的な俳句と前衛的な
俳句を自由に詠みあげる翼を得た気がしま
す。ちなみに、日本の伝統的な農事や歳時
への造詣も深く俳句の題材として多く取り
上げています。
宇田喜代子。現在85歳。喜代子は作句の心
得を述べています。「身の回りの自然の変化
を見つめます。すると心が動きます。このさ
さやかな心のさざ波を文字で表します」
「秋の風 石に目鼻の 見えはじむ」<喜代子>
写真と文<殿>