
先週末、朱露さんのふるさと神奈川県真鶴町を訪れました。
生前朱露さんが作られた俳句です。
少年の夏を貫く銛一本 朱露
戦争中、四年生だった朱露さんはお父さまの故郷の神奈川県真鶴町へ縁故疎開したそうです。
夏の間、毎日潜っていた真鶴の海。
「埋め立て地横須賀の何もない海底と、伊豆半島の太古の海底の
あまりの違いに、体が震えた。
切り立った岩棚。海草の森。おびただしい貝類と魚たち。
手作りの銛で、岩陰に寝ている魚を刺す。手に激しい痙攣が伝わる。
私は大人の手前まで来ていた。」と句文集にあります。
私にも「真鶴はいいところだから一度行ってご覧」と言ってくださっていました。そして今回の旅は、真鶴にアトリエを持っておられた画家の中川一政美術館を訪れることが目的でした。
私の大好きな作家の向日邦子さんが、中川さんの書画を持っておられました。
「もう我は駄目だと思ふ時もある やってゆかふといふ時もある」というと独特の書体と張り子の虎の絵の作品です。ご褒美にご自身で奮発して購入されたことを向日さんのエッセイで知り、いつの日か美術館を訪れたいと思っていました。
長年の夢がかないました。JR真鶴駅から路線バスで15分。ひっそりと森の中にたたずむ静謐な美術館でした。中川さんは絵画のみならず、書、陶芸、著述と多彩な活躍をされました。向日さんの「あ・うん」の装丁などもされています。97歳の絶筆となった「向日葵」の油絵はいらないものがそぎ落とされても、やはりエネルギーがありました。久しぶりに美術館を訪れ、真鶴岬から朱露さんの愛した真鶴の青い海をながめました。朱露さん、真鶴はおっしゃる通りよいことろでした。ありがとうございました。麗子
写真は真鶴半先端先端三ツ石海岸。塩が引くと陸とつながります。
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