575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

推敲のチエックポイント・3 ~表現は適切な言葉か~(等)

2016年10月09日 | Weblog
「累累と彼岸花咲く古戦場」

この句は先日のNHKの俳句講座で、清水青風先生の特選を頂いた大橋静荷さんの句です。
普通”累累”とあると、後には”屍”とかが続くのですが、静荷さんは”彼岸花”とし、終わりに”古戦場”で締めた・・・、この”累累”の見事な使い方・表現に感心しました。

8月の句会で私は「雷走る平然と立つガードマン」という句を出しました。
この句の元句は「ひるまず立てるガードマン」でしたが、遅足さんは”着眼点は面白い。「走る」と「立つ」の対比も良い。しかし「ひるまず」は常套的な表現だ”と指摘されました。しかしこれに代わる言葉が見つからず、結局「平然と立つガードマン」になってしまっつたのですが、例えば「大樹の如き」とか「電柱の如き」などはどうかなどと、今でも考えることがあります。皆さんも一度考えてみて教えて下さい。

そして私がもう一つ強調したいのが、人や動物の「哀れ」や「うれしい」などの感情を、”モノなど形のあるもの、見えるもので表現する”ということです。

「尾を振りて犬は先ゆく涼新た」

これもまたNHKの句会に私が出した句です。”涼しくなって散歩する犬も元気百倍、連れている人を引っ張って先をゆく”という句ですが、一応”尾を振って先ゆく”と見えるもので表現した積りですが如何でしょうか。

次は私がよく句集を読んで参考にしている井上弘美さんの添削ですが、或る人の「鳥雲に捨てるに惑ふ子の学書」という句を、次のようにしました。

「子の学書つみあげしまま鳥曇」

「鳥雲に」には、大きくなってゆく子供への思いが託されていて良い季語です。問題は「捨てるに惑ふ」で、説明的すぎること、具体的に「もの」で描写すると句が明瞭になります・・と。
    
「母の死のととのってゆく夜の雪」 (井上弘美)






コメント (1)
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