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575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

花も木も更地となれる夏の庭    香葉(かよう)

2015年05月16日 | Weblog
作者は90歳を超えた女性。
永年めまいに悩まされ、耳も遠い。脳梗塞で左半身に軽いマヒ。
多彩な病歴の持ち主。
徐々に衰える気力を振り起して、ぽつりぽつりと俳句を。
そんな句を書き留めたのが、訪問診療をしている大井玄さん。

大井さんの本「病から詩がうまれる」のなかの一節です。
大井さんはさらにこう書いています。

無常迅速。この言葉の意味を実感させるのは、年の功である。
齢とともに時間のすぎるのが速くなることは、寂寥と恩寵の両義が込められているのである。
私たちの脳は、刻々の「環境世界」を過去の経験と記憶から創っている。
時間が速まるのは、創る速度が年齢とともに「遅く」なっていくからにほかならない。
その速度が限界を超えて遅くなると、人は「ぼけ」と呼ばれるようになる。
しかし「ぼけ」は社会で人工的に定められた時間から切り離された分、
「自由人」になったと考えてよい。

命かな書くこともなき初日記

この句に悲哀とともに表現を超える感謝の念が込められているのを感じる人は
やはり恩寵を受けた人である。

私は残念ながら恩寵を受けていない人ようです。
修行が足らないのかも・・・            (遅足)

              

応答の一日一句

  今日もまたひったくりあり梅雨曇    孝

  マンションの扉重たき梅雨ぐもり    亜子

コメント
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