「サンマが特売だから買ってくる?」
かみさんが言う。
ん? ほんのちょっと間があいたが気がついた。
ああそうか、干物にしてはどうかということだなと。
冬になればサンマの干物をつくる。毎冬そうしている。もうそんな季節になったのかと気づかされる。
6尾を買ってきてもらった。魚屋さんに開きにしてもらったのはいいのだが、中骨まで取ってくれたようだ。どちらかといえば骨はついていたほうがいい。干物の中骨についた身はうまいからだ。
サンマの開きは、いつもはかみさんがしてくれる。たまにわたくしだってする。もちろん骨つきである。いまの魚屋さんは、開きにしてと頼まれると、中骨まで取り除いてくれるのだなとはじめて知った。
すぐに5%の塩水に1時間ほど浸して、干し網に入れ正午から干した。もう十分だろうと午後4時取り込んだのだが、まだ干したりない。明朝まで物置に吊るして様子を見ることにした。
朝になって物置を見ると、ネコが干物を狙ったようだ。干し網にジャンプしようとして、あちこちひっくり返されていた。干し網を使えば安全で安心。手が届かずネコはきっと残念がったことだろう。
干物は手づくりが一番うまい。つくるたびにそう思う。塩水と天日でなぜこんなにうまくなるのだろう。今回もちょっぴり塩辛くできた。塩加減はいつもむずかしい。今年のサンマはやっぱり小さく、あっというまに食べてしまった。