家を建て替えている。きのうはその建前だった。午前8時からスタートするというので、施主のほうだってなにかとあわただしい。寓居は現場から歩いて2分ほどのところを借りることができたから、現場まではすぐそこである。
重機や建材が運ばれてきて、大工さんたちも10人以上集まり、その熱気はまさに“お祭り”気分だ。きのうは暑かった。日陰に入ってその作業を見ているだけでも汗が噴き出してくる。ましてや炎天下で作業している大工さんたちは、見ているだけでたいへんなことが分かる。
こんどの家はかみさんの意向で、というよりも強い意志で「在来工法による木造注文住宅」となった。大手プレハブメーカーは敬遠して、最初から昔の家づくりで、それも無垢材をたくさん使う家を作ることにした。施工は木造注文住宅を手掛ける地元の工務店だ。かみさんがこの会社の家づくりに惚れてしまったようで、早くからここにまかせると決めていた。
同じ町内でわが家を含めて3軒の家づくりがあった。スタートは同じで、ほか2軒は大手プレハブメーカーに頼んだ。その一軒がちょうど寓居の斜め前になるので進捗状況がよくわかる。作業はなんともはやい。手回しがいいというのか。基礎が終わると建材が運ばれて、ぺたぺたと四方を囲んであっという間に家の形ができてしまう。もうほかの2軒は完成したといってもよく、そのうちの一軒はきのう入居した。こんなにも速く家が建ってしまうのか、という印象をもった。
一方わがほうはといえば、遅々として工事が進まない。どうしたのかと心配するほどだった。それに着工が実際遅れたこともあり、やっときのう上棟を迎えたといった感じである。
棟梁は次々と組み上げられる家を見ながら私に言う。「家づくりは骨組みが一番大切。どんなに見た目が良くてもなかの骨組みが悪けりゃどうにもならない」。こんな親方だから、かみさんは気に入ったのだろう。夕方の5時には無事に上棟をすませた。家の骨格ができた。これでひと安心だ。竣工は11月末だというから、あと4カ月近く先である。これが新しい家になるのかと、その骨組みを見上げていた。
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