寒くなるとホウレンソウがうまくなる。こう書いていて、ふとオレは定見がない男かなと思ってしまう。寒くなったら、ネギがうまいだの、いやハクサイだ、それよりもダイコンだと書いている。なにが一番なのかを挙げろといわれても迷うばかりだ。これだとは言えない。それだけ寒くなると野菜はみんなうまくなる、というほかないのである。
ホウレンソウだってそうだ。11月のホウレンソウはまずくはないが、これから霜が降りてからのホウレンソウは、これが同じ品種かと思うほど、味はぐーんとアップしてくる。寒さに負けまいと身を守る姿がなんともいじらしい。
ホウレンソウは2月まで食べられるように、9月下旬から1週間ごとに4回に分けて10月中旬までタネをまいてきた。品種はチヂミホウレンソウだ。この品種は寒さにあたればあたるほどうまくなる。肉厚になり甘みが増す。見た目にはふてぶてしいほどの存在感がある。ホウレンソウといえばぺらぺらした食感があるがそれとは全く違う。
9月下旬に最初にタネをまいたのはこの11月に食べ尽くした。いまは2回目、3回目にタネをまいたものが食べられる状態になった。10月中旬の4回目にタネをまいたのはまだ小さい。3回目と4回目では1週間の差なのに、生育ではっきりと差が出る。それほど秋は急に気温が下がるからタネまき時期は大事である。
私の住む我孫子市はそろそろ初霜の季節だ。寒くなると畑に行くのが億劫になるのだが、甘みの増した野菜を食べたいがために自転車をこいでせっせと通う。