バイユー ゲイト 不定期日刊『南風』

ブルース、ソウルにニューオーリンズ!ソウルフルな音楽溢れる東京武蔵野の音楽呑み屋バイユーゲイトにまつわる日々のつれづれを

Cedric Watsonの新作はザディコ久々の国内リリース!

2012-03-14 | 音楽

前回に引き続き、1月末には到着していたのに紹介し損ねていた盤を。
ザディコ/ケイジャン界の若大将?(貴公子か!)、セドリック・ワトソンの新作『ライジング・サン』です。ザディコです!

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実はこの新作、発売は昨年、アメリカでは『Le Soleil est leve』のタイトルでまったく違うジャケットでリリースされていました。

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ただアマゾン等のネット上では配信オンリー、試聴して盛り上がりつつも「やっぱり盤じゃなきゃなあ」と購入を躊躇していたのでした(配信って購入って感じがしないんですよね…)。
その後、しばらくして本人のサイトからは盤で購入できることを発見したのですが…同じ頃!日本中のザデイコファンを驚かせるニュースが届きました。なんと本作がPヴァインから国内盤として2012年早々にリリースされるとのこと。「おお!」と驚きつつも来年の話、「早くワトソンくんところに注文しよ」は変わりませんでした…が!日本国内でザディコのCDが発売されるのは本当に久しぶり(20年近く?)との報を聞いて気持ちが変わりました。1枚でも多く国内盤が売れて、ゆくゆくはアノ人も

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この人も

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この人も

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この人も

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そしてこの人も!

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の来日公演に繋がって欲しい…。という想いが高まり?年明けまで待っていたのでした。
※ZKックスのYタケくんには「両方買いますよね?」と言われました…。

で、本作。素晴らしいですよそりゃ~。僕が彼を知ったのはケイジャンバンド『Pine Leaf Boys』のメンバーとして。その後Corey Ledetとの共演盤『Goin Down to Louisiana』だったでしょうか。

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そのころはフィドル(ヴァイオリン)を弾いている印象が強く、ケイジャンいやブルース色も濃かったのでクレオール(フランス語文化)ミュージック全般をカヴァーするミュージシャンという印象でした。それがやがてザディコ界の貴公子となり(笑)すっかり大物感も漂ってきました。

彼は伝統的な色の濃いザディコミュージシャンだと思います。でも決してオールドファッションというわけでなく、ビート感や音ヅラでヒップホップやロック色の強い最近の若手とはひと味違い、伝統的な中に様々なルーツミュージックの要素を練り込み自らの独自性を出しているように感じます。
その上で古いスタイルを大切にしているためザディコでありつつその周辺に滲み出るかのごとく音楽性の幅を広げている印象です。今作では若干後退しているものの、アフリカ的要素を感じさせるのも特徴です。
そして多くの方のイメージするように明るく楽しい、思わず身体の動き出す音楽が目一杯詰まった良盤です。その独特の切ないような陽気さは汎ルイジアナ的、いやそれを飛び越えて汎カリブ的ですらあります。でもやっぱりザデイコ!
聴き込めば聴き込むほどに煮込まれたスパイス多さがわかります。皆様是非ご購入を!お薦めします。

うーんPヴァインのまわし者みたいだ(笑)


James Burtonのプレイが堪能できるスグレモノの盤

2012-03-12 | 音楽

最近のバイユー…。先月初めに購入、既にバイユーではヘヴィローテーションの盤がコレ。

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エルヴィス・プレスリーのギタリストとして知られ、好き者の音楽ファンからはミスターテレキャスター!と呼ばれるジェイムズ・バートンの昨年リリースの編集盤。

デイル・ホーキンスの『スージーQ』のギターリフで知られる彼がギタリストを務めた56~69年の仕事から選りすぐりのグレイトな28曲が収められたなかなかの優れモノ。詳細なライナーもGOOD!今回はこのライナーの完訳欲しさに国内盤をチョイスしました。フロントマンとしてどんな人かよくわからない人名も出て来るライナーだけに良い選択でした。

…いや、月並みな表現ですが改めてこのヒトは凄い。
センスやビート感、「昔の人は上手いなあ~」などと感心しきりなのです。

ところで、記憶を探ってみると僕は彼がコステロのバックバンドで来日した時に中野サンプラザで観ているのでした。確か87年?今の方がありがたみがわかるんですけどね~。そうそうニック・ロウもいたバンドでした。
アール・パーマーの仕事をたっぷり集めたCDも重宝しましたが、本盤も長くお世話になりそうです。

ちなみに今回はEarly Yearsとのことでエルヴィス名義のモノは続編(後編)に収められるようです。楽しみです。


あと十数分で1年。

2012-03-11 | ある日の出来事

今、14時30分。あと少しであの震災から1年が経ちます。早くも1年。信じられない思いです。…でも、誰もが言うのですが、震災からのあの1ヶ月の信じられないほど長かったこと。
時間というのは受け止め方によってこんなにも違うものかと痛感しました。その長く重い時間を、あの揺れを体感し原発事故に震撼した多くの人々が同時に体験したわけです。
でも誰もがニュース等で強い衝撃をうけたであろう「直接の被災地」の方々の気持ちに寄り添うことは、遠く離れた地に過ごす者たちにとってやはり容易なことではないのでしょうか?

今日は多くの方々の、突然奪われた命のご命日です。それも丸一年という生々しい日。
被災地以外の我々も、この日を境に多くのものを失った日であることを思い出すべきです。これまで普通に身の回りにあったあたりまえの生活を失いました。
被災地の方々の気持ちを慮ることはできるのではないでしょうか。

もちろん考えも行動もそれぞれ、いろいろだと思いますが。自分としては今年は静かに過ごし、自分たちの生を噛みしめ。亡くなられた方々を悼みたいと思います。

もうすぐ自宅から歩いてすぐのところにある教会が鐘を鳴らすそうです。


のろDX vs ル・オードムーゲ

2012-03-11 | ライヴ報告

昨夜は、吉祥寺『のろ』の店主・加藤さん率いる『のろDX』がバイユー初登場。
120310_2013dx ギターに、かつてJ・YジマさんとA・Mヨシさんとともに武蔵野3大弾きたがりと呼ばれていた(らしい)ジャージーなギタリスト下路さん。トランペット&コルネットにスウィンギン・バッパーズの今さん等々の豪華な6人編成のバンドで熱演を繰り広げました。
対バンはバイユーのお客様バンドでハウスバンドの『ル・オードムーゲ』!
新メンバー渡辺紀男さん(Dr)も加入し充実した演奏を聴かせてくれました。

地元の2組ということもあってバイユーは終演後も遅くまで賑やかな夜となったのでした。
楽しかったです。皆さんお疲れさまでした!


Shy『晴れ晴れEVERYBODY』発売記念LIVE!素晴らしい夜でした。

2012-03-08 | ライヴ報告

日曜日はShy、新作CD『晴れ晴れEVERYBODY』発売記念LIVEでした。
あのバイユーでのレコーディングから半年、レコーディングメンバーと共にやって来てくれたことに感激でありました。そして熱い気持ちのお客さん。仕事を忘れるくらいに、楽しかったです。

Shym1234_3 1stセットはいつものソロステージ。でもやっぱりいつもとは違う感じ。
お客さんの態勢が違うからでしょうか。

バンドのセッテイングがされた前で歌うシャイさんに熱い声援が飛ぶ、飛ぶ、飛ぶ。

ベースの大庭珍太さん、後方で盛り上がってます。
※写真はLETUSのマッキーさんからいただきました。感謝。

そして2ndセットはバンド編成。
バンちゃん坂東さんと珍太さんのリズムセクションが気持ち良い。
楽しそうにそして熱く吹く上石さんのトランペットが煽る。
そしてお客さんの心の浮き立つツボを知り尽くしたヒロナリのプレイ!いやーヒロナリ先生、素晴らしかった。彼がソロに雪崩れ込むとお客さんの顔がほころぶのがわかりました。流石ニューオーリンズのクラブで鍛えられた、一瞬でお客さんを掴む力は健在です。4月にはフレンチクォーターフェス~ジャズフェスへの参戦が決まっているヒロナリ。久しぶりのニューオーリンズでもバッチリでしょう!
そして心から楽しそうに演奏してくれるシャイさんの姿に胸が熱くなる。

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バイユーで録音した曲で上石さんがソロを吹いているのを聴いているとあの日を思い出してしまう瞬間もありました。シャイさん以上にお客さんの笑顔が溢れライヴが終了。多くのお客様がそのまま残って酒宴となったのでした。

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この日、出会った皆様に感謝。心より!
これからもどうかよろしくお願いいたします。そして Shyさんありがとうございました。『晴れ晴れEVERYBODY』¥1000 バイユーでも発売中です。皆様是非!


メルトダウンバザール奮闘。

2012-03-08 | ライヴ報告

先週土曜日は神山てんがい渾身の企画『メルトダウンバザール』。~世界一危険でためになる反原発お勉強会エンタメライブパフォーマンス!?~というイヴェントだったのですが、「お勉強会でエンタメ」という難しいテーマを前に各出演者、格闘奮闘している様が刺激的な夜となりました。
彼らと終演後話した感じからすると結果に必ずしも満足しているわけではなかったようですが、個人的には表現者が思い悩む姿をたっぷり体験できて意義深い夜でした。

てんがいさんは構成進行にも懸命に気を配りつつ、自身の一人芝居では風刺と現実の狭間での格闘の色がありありで真摯な姿に好感を持ちました。出来も良かったと思います。
その中で個人的な大賞は「独りラヂオ語り」という摩訶不思議な「芸」に挑んだ渦屋銀子さんに。
声高にというか、反原発の声を上げることさえなく(これはてんがいさんも同じでした)。個の尊厳、種の尊厳や本質が損なわれる理不尽さを、最も根源的で個人的であろう性的テーマを舞台に淡々と訴えたのには感銘を受けました。下品なところはあくまで品なく、ゆえにそのリアルさが胸に迫ってくるのでした。舞台設定の特異さも時系列の設定も最後まで絶妙で、今回の原発問題に関係のない設定には非常に驚かされました。放射能汚染問題は政治的なものでもなんでもなく生存権、個の尊厳の問題であるということが、「あくまで言外に」表現されていたことにこそ価値があったと思います。不汁無知ル(バンド)、ギネマ(俳句朗読)と多岐に渡り活躍する彼女の新境地だったのではないでしょうか。

とはいえ、果敢に自らの強い気持ちでこのイヴェントをやりきった神山(ポール上林)てんがいこそが裏MVPでありました(ウラでごめんね)。お疲れさまでした。