三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

ポール・オフェット『反ワクチン運動の真実』(3)

2024年05月09日 | 問題のある考え
モーリス・ヒルマン(1919年~2005年)はおたふくかぜ、麻疹、風疹、水疱瘡、B型肝炎。MMRワクチンなど多くのワクチンを作りました。
子供たちの命を救った研究者がいれば、ワクチンを否定する医師や研究者、弁護士たちもいます。

モーリス・ヒルマンの伝記『恐ろしい感染症からたくさんの命を救った現代ワクチンの父の物語』を書いたポール・オフェットは『反ワクチン運動の真実』で彼らを実名で告発しています。

新型コロナウイルス陰謀論を拡散し、ワクチン接種に反対した弁護士のロバート・ケネディ・ジュニアは以前から反ワクチンの活動家でした。
2005年にロバート・ケネディ・ジュニアは製薬会社と医師と公衆衛生当局が共謀してワクチンの危険性を隠していると非難した。
https://jphma.org/topics/topics_47_Kennedy_Report.html

さらに、麻疹ワクチンを開発したジョン・エンダース研究班の一人サム・カッツをワクチンで金儲けしたと非難した。
ジョン・エンダースはワクチンでの特許取得には反対していたので、麻疹ワクチンでも特許は取っていない。

トランプは自閉症のワクチン原因説を支持しています。
https://gendai.media/articles/-/57708?page=3
2024年の大統領選挙にワクチン反対派が2人も立候補するわけです。

「ワクチン・ルーレット」を見て、自分の子供がDTPワクチンによって障害を負ったと信じたバーバラ・ロー・フィッシャーたちは「納得できない親の集い」(後に名称を「全米ワクチン情報センター」に変更)を立ち上げた。
百日咳ワクチンで自閉症になると最初に主張した一人であるバーバラ・ロー・フィッシャーはあらゆるワクチンに反対する。

共著で出版した『闇の注射 なぜDTPワクチンのPがあなたの子どもの健康を脅かすかもしれないのか』でこう主張している。
アメリカの赤ちゃんたちが打たなくてはいけないワクチンが増えるにつれ、大きな子どもや若者が慢性の免疫病や神経障害になるという報告が増えてきている。喘息、慢性の中耳炎、自閉症、学習障害、注意欠陥障害、糖尿病、関節リウマチ、多発性硬化症、慢性疲労症候群、全身性エリテマトーデス、ガンなどもそうだ。

ワクチンで予防できる病気は実際にはそんなに深刻なものではないとも論じる。
私たちは病気がひどく恐ろしいと思い込んでしまっているのです。1950年代、誰もが麻疹とおたふく風邪にかかっていました。普通の何でもない出来事でした。
ワクチン開発以前は、アメリカでは麻疹で毎年10万人以上が入院し、500人が死亡していた。

バーバラ・ロー・フィッシャーはブログに書いている。
インフルエンザを含む感染症を経験することは、人類の祖先が地球に登場して以来、人間の状態の一部でした。(略)
なぜワクチン学者は人間の免疫システムがその経験を乗り越えられない、益を受けないと考えるべきだと言い張るのでしょう。一度もインフルエンザにかからない方が良いというエビデンスはどこにあるのでしょう。
子供たちがインフルエンザの定期接種をする前は、毎年10万人が入院し、100人が死亡していた。

バーバラ・ロー・フィッシャーがワクチン接種で健康被害が起こると話すことで、子どもの病気の責任という重荷を親たちの肩の上に乗せた。
てんかんと知的障害の本当の原因を突き止めたサミュエル・ベルコビッチのコメント。
ほとんどの親はずっと罪の意識を感じていたので、もう感謝でいっぱいでした。親たちは医者や母子保健専門看護師のところへ行って、子どもを彼らに渡してワクチンを打ってもらっていました。自分たちのせいだと、近所の「ワクチンを打ったらダメよ」という女性の言うことを聞いていれば、子どもは健康だったのにと思っていたのです。そして、我々がそうじゃない、あなたのお子さんは妊娠中にナトリウムチャネルに異常が起きて、それを防ぐ手立てはなかった、こうなる運命だったのだというと、大きな大きな重荷を下ろしたように見えました。何十年も続いた罪悪感から解放されたのです。

反ワクチン活動家は自分たちは反ワクチンではない、安全なワクチンを望んでいると主張する。
だが、反ワクチン運動家のいう安全は自閉症、学習障害、注意欠陥障害、多発性硬化症、糖尿病、脳卒中、心臓発作、血栓、麻痺などの副作用がないというものだ。

これらはワクチンが原因ではないので、彼らのいう安全なワクチンは実現不可能だ。
たとえば、自閉症スペクトラムだと、脳の神経細胞表面のタンパク質を分子と結びつけている遺伝子に異常がある。

ワクチン裁判で負けたのは原告側の研究者、医師や弁護士ではない。
医師は自閉症児の治療を続け、危険性のある療法を行い、サプリを売り続ける。
たとえば、自閉症はチメロサール入りのワクチンが原因だから、体内の水銀や鉛などの重金属を排出させるキレーション療法。

弁護士は訴訟をし続け、勝とうが負けようが報酬は受け取る。
ある法律事務所は、ワクチン法廷に216万1564ドル10セントの請求書を提出した。
1980年代の百日咳ワクチン恐怖のときには、数百万ドルが補償金や和解金として支払われた。その結果、反ワクチン組織は人身被害弁護士と結託して活動するようになった。弁護士の多くは顧問委員会の一員となってワクチンの危険性を訴え、どう補償金を勝ち取るかを説明する小冊子を作る手助けをしている。

負けたのは医師と弁護士に誤った道へ導かれ、自閉症の子どもを育てる経済的な負担から解放されたいと思った親たちだ。
ワクチンについて親を脅えさせ、反ワクチン運動活動家と結んでいる人身被害弁護士に金づるを与え、多くの場合、直接自分の診療所で偽りの希望を売る医師の待ち構える腕の中に親を追い込むのだ。

小児科医のラフル・パリク
強く感情を揺さぶるアピールをして、親たちに子どもに予防接種をすることについて迷い、躊躇させてしまう。論理的に考える人もそうでない人も、こうした感情的な手法は忘れない。一方、医療、科学専門家は正確な証拠と研究を引いて対抗するが、これは多くの親には響かない。感情的ではないメッセージは印象に残りにくいのだ。

日本でも、ワクチンは効かないとか有害だなどいう主張を信じる人たちがいます。
人間は弱いものだと、あらためて教えられます。
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