高峰秀子の捨てられない荷物

2011-03-08 10:06:43 | 日記
斎藤明美著  文春文庫
勢いに任せて、高峰秀子関連の本をもう一冊読んだ。今回は高峰秀子その人ではなく、著者の斎藤明美さんについての感想を。
一言で言えば、実に感性の鋭い人、そして聡明な人だと思う。ご本人は「甘ったれで、根性のない人間で、高峰秀子と松山善三のおふたりにただただ甘えさせていただいた」だけだと言っているが、それだけでこの本が執筆できたとは思えない。話は非常に機微にわたるもので、スムースにインタビューが進んだとは考えられない。実はインタビューは難しい。相手を理解すればするほど、視点が狂う。相手との距離感をどうとるかがポイントとなる。その塩梅がいい。
やはり人柄なのだろう。そして、相手に対する共感性が鋭いのだと思う。嫌味のない文章が心地いい。



高峰秀子の流儀

2011-03-04 17:10:30 | 日記
斎藤明美著  新潮社刊
勿論、高峰秀子という女優は知っている。映画ならば何本も観た。しかし、個人その人については、漠然としか知らなかった。
素晴らしい人ですねぇ。その素晴らしさは本文を読んでもらう事にして、その素晴らしさの根源が「意志」をどうやって堅固に持ち続けられるか、ということにあるのだと分かったような気がした。
どんなに強い意志を持ち続けられるか、それはとても難しい。他の人は知らず、私などはその時々に都合の良い屁理屈をつけて、いとも簡単に路線変更してしまう。我ながら情けない奴だと思うのだが……。
出処進退をきちんとつけるには、正に鋼鉄のような意志が必要なんですね。確かに今時そんな人いないよなぁ。