英国一家、日本を食べる

2013-10-23 15:00:36 | 日記

マイケル・ブース著   亜紀書房刊

外国人の家族連れ(妻と6歳と4歳の男の子)の日本食探訪記というのはめずらしい(しかも、著者はプロのフードジャーナリストである)。これが、本書全体を和やかなものにしている。とくに、子供達の素直な反応がいい。
では本文はと言うと、意外に平凡だった。超有名店や料理人を取材するのは取材目的だから仕方がないにしても、もう少し極々一般的な庶民の日本食を食べて欲しかった。かなり、紋切り形の食材が多すぎた(多分、実際には食べていた筈だと思うが)。
しかし、重要な指摘もある。それは、いわゆる「日本食」を食べている世代が限られていることである。文末で「そうでもない」と言っているが、これは社交辞令としか思えない。今の世代は欧米の人達を笑えない状態(肥満、短命、内臓疾患)になりかねない状態にある、ということである。平凡な結論であるが、著者自身がかなりメタボだそうだから、この結論には説得力がある。
どこかで、食品メーカーや料理店は自制しないと、自らの首を絞めかねない。
とい意味では、一読に値する。