開高健 ポ・ト・フをもう一度 

2012-08-16 15:18:42 | 日記

山野博史編  KKロングセラーズ刊

編者によれば、本書が単行本未収録資料のみからなる開高健文集の悼尾だそうで、これで枕を高くして眠れる。
それにしても、対談の「あゝ、懐かしきはデュヴィヴィエさま」。良かったなぁ。話者は開高健・手塚治虫・虫明亜呂無・荻昌弘の4人。テーマは昭和20年代の洋画についての話。
吾ながら不思議なのだが、ここに出で来る洋画は殆ど封切りの時に観ているんだな。一部は二流舘で観たものもあるけれど。というか、ほかに観る手段がなかったのかもしれないが。4人の方達のように映画通ではないから(子供だった)、俳優の細かな演技までは印象にないが、アラン・ドロンの食事のマナーはきれいだけれど、俄か仕込みの感がしてたいして洗練された男ではないとか(一緒に観た親父が教えてくれた。勿論、その後でマナーの講釈が延々とあったのだが…)、開高健ではないけれどジーナ・ロロブリジータの腋毛にもやもやしたり、ジャン・ギャバンの渋さに憧れたり。
あの時代、洋画は誰にとっても新鮮だったんだと、改めて思った。観ておいて良かった。