神変 役小角絵巻

2011-08-12 15:17:08 | 日記
山本兼一著  中央公論新社刊

タイトルの割には期待外れの本。おそらく、続編があるのではないか。それが出ないと何とも言えない。
ただし、役小角をテーマにしたのはいいと思う。多くの歴史小説に登場する役小角だが、かれを主人公にした小説は寡聞にして読んだことがない。脇役とか、摩訶不思議な呪術師として登場するだけなのだ。なにしろ、生没年不詳の人物で、奈良時代の呪術師としかわかっていない。歴史上に登場するのは、文武天皇3年(699)年に伊豆に流刑になった記録があるだけだ。しかも、この小説はここで終わっている。面白くなるのはこれ以降だから、肩透かしを食ったようなもの。続編に期待したい。