あるニヒリストの思考

日々の思いを綴る

反日という言葉を使う日本人の幼児性(自我その40)

2019-02-23 14:21:24 | 思想
反日という言葉を目にすることが多くなってきた。なぜ、自分と考えの異なる日本人や異なる意見を、反日と言って、批判するのだろうか。日本人ならば、誰しも、日本に対して愛国心があり、反日の人は一人として存在しない。確かに、同じ日本人と言えども、現在の日本や現在の日本人に対して、さまざまな意見が飛び交う。しかし、反日の人など一人もいない。言わば、日本に対する愛し方が異なるだけで、愛国心があることでは、同じなのである。さて、反日と同じ意味の言葉が、戦前・戦中にもあった。非国民・売国奴という言葉である。戦争に反対する者は、軍部・政治家・マスコミ・警察・特高・憲兵・国民から、非国民・売国奴と非難された。そして、逮捕され、拷問に遭い、考え方を変えることを強制された。それに従わない者は、殺された。「蟹工船」を書いた小林多喜二は、特高に逮捕され、その日のうちに殺された。たった一人残された老母は、毎日泣き、苦悩のうちに亡くなった。特高のでっち上げによる横浜事件では、特高の拷問に遭って、子供が生めなくなった女性も存在する。挙げ句の果てには、太平洋戦争の大敗北である。完膚なきまで、叩きのめされた。今ならはっきりわかるはずである、非国民・売国奴と非難した日本人と非国民・売国奴と非難された日本人のうち、どちらが真に非国民・売国奴であったかが。今ならはっきりわかるはずである、非国民・売国奴と非難した日本人と非国民・売国奴と非難された日本人のうち、どちらの考えが正しかったかが。現在、反日と言って日本人を批判する人たちに、共通の考え方・行動の仕方がある。中国・韓国・北朝鮮に対するあからさまな敵視、日清戦争・日露戦争・第一次世界大戦への日本の参戦・太平洋戦争の支持、軍備増強の支持、竹島・尖閣諸島・北方領土に対する執着、アメリカへの依存、安倍政権に対する熱烈な支持である。彼らは、中国・韓国・北朝鮮の国民にも愛国心があり、自国や自国民が非難されたら、心が傷付くことに思い至らないのである。竹島には韓国の国民が、尖閣諸島には中国の国民が、北方領土にはロシアの国民が執着心があることに思い至らないと、問題は解決しないのである。ただ単に自己の欲望を主張するのは幼児である。日本人は、自らの国をおもてなしの国だと言っているが、彼らには、中国・韓国・北朝鮮・ロシアの国民に対して、おもてなしの気持ちが無いのである。彼らは、中国・韓国・北朝鮮のおもてなしの気持ちの無い人々と渡り合い、互いの国民全体を巻き添えにして、戦おうとしているのである。そして、自分たちに従わない者や自分たちと異なった意見を述べる人を、反日という言葉で批判するのである。そもそも、彼らの誤りは、愛国心を崇高な心情だと思い込んでいるところにある。愛国心とは、崇高な心情でも劣った心情でもなく、自国に執着する心でしかないのである。愛国心の強さを自慢する人がいるが、それは自国に執着する心が強いだけであり、何の意味もないのである。また、彼らは、明治以来の日本の戦争を支持しているからこそ、中国・韓国・北朝鮮に理解を示したりこれまでの戦争を否定したりする人を反日と批判するのである。現在の反日と戦前・戦中の非国民・売国奴は同意語なのである。現在の日本の首相である安倍晋三は、彼らと同じ考え方をしている。だから、彼らは、安倍政権を支持しているのである。それゆえに、日本は常に戦争をする可能性をはらんでいるのである。安倍政権が軍備増強を押し進めているのもその一環である。残念ながら、自衛隊をどれだけ増強しようと、中国には勝てない。アメリカ頼みに中国と戦争しても、アメリカは助けてくれない。アメリカは、中国と戦争しても、共倒れになることがわかっている。さらに、アメリカの第一の貿易の相手国は中国で、第一の国債購入国は中国である。アメリカは、日本を利用するだけ利用して、捨てる。アメリカは、日米安保条約、地位協定、密約、日米合同会議で、日本を支配している。アメリカは、日本のどこでも基地を作れ、いつでも日本のどこでも軍事訓練ができ、いつでも日本のどの基地からも他国に出撃でき、いつでもどの基地へも核を持ち込め、いつでも無許可で軍人が日本に入国でき、アメリカ軍と自衛隊の共同軍はアメリカの軍人が指揮し、日本におけるアメリカ軍基地の経費の約七割を日本が負担している。しかも、日本が他国と戦争になったら、アメリカは支援するかどうか国会に諮るだけで、支援する義務はない。それは当然である。アメリカにとって、本当に国益と考えられない限り、大切な自国の兵士の命を賭けられないからである。さらに、北朝鮮と韓国が再統一化される状況の中での、全額六千億円日本負担による辺野古のアメリカ軍基地の建設である。アメリカにとって笑いの止まらない日本のおもてなしである。安倍政権が軍備増強を押し進めているのを最も喜んでいるのはアメリカである。安倍政権が強行採決で決めた集団自衛権があるから、自国の戦争でも、危険な箇所には自衛隊を思う存分使えるからである。また、常日頃から、アメリカ軍と自衛隊の共同訓練はアメリカの軍人の指揮の下で行われているから、アメリカは、準備万端の構えである。もしも、真に日本人としての愛国心があれば、日米安保条約を破棄して、対等の平和条約を結ぶように動くべきである。自分と考えの異なる人や異なる意見を反日と言って批判する人たちだけでなく、日本人全体が目を開くべきである。しかし、安倍晋三は目を開くことはない。なぜならば、彼は、太平洋戦争に突入した東条英機内閣の商工省大臣の岸信介の孫だからである。当然、戦後、岸信介はA級戦犯に指定され、数年の間、巣鴨刑務所に収監されている。安倍晋三は、岸信介の孫であるという自我から、太平洋戦争を否定することはできない。だから、彼は、死ぬまで、確実に、中国・韓国・北朝鮮を敵視し続ける。