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おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

イングロリアス・バスターズ

2024-11-08 07:02:52 | 映画
「イングロリアス・バスターズ」 2009年 アメリカ                                   
     
監督 クエンティン・タランティーノ                                    
出演 ブラッド・ピット クリストフ・ヴァルツ
   メラニー・ロラン ダイアン・クルーガー
   イーライ・ロス ティル・シュヴァイガー
   ダニエル・ブリュール ジャッキー・イド
   マルティン・ヴトケ マイク・マイヤーズ

ストーリー
第1章
1941年、フランスの田舎町ナンシー。
ナチスのハンス・ランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)がある農場主の家を訪れる。
“ユダヤ・ハンター”の異名を持つ冷血漢ランダは巧妙な話術で農場主を追い込み、床下にユダヤ人一家を匿っていることを白状させる。
ランダの部下たちは床下に向けて一斉に射撃を開始するが、一家の少女・ショシャナ(メラニー・ロラン)だけは銃弾を逃れ逃げ去った…。
第2章
ナチス総統ヒトラー(マルティン・ヴトケ)は“イングロリアス・バスターズ”と呼ばれる連合軍極秘部隊の存在に苛立っていた。
ユダヤ系アメリカ人を中心にしたこの組織を率いるのはアルド・レイン中尉(ブラッド・ピット)。
カリスマ的な指導力を持つ彼はナチスの皆殺しを指示、ドニー(イーライ・ロス)やヒューゴ(ティル・シュヴァイガー)といった血気さかんな部下たちと共にドイツ軍に恐れられていた。
第3章
1944年、パリ。ショシャナは映画館主として身分を隠しながら暮らしている。
ショシャナにしつこく言い寄る250人もの連合軍兵士を殺したドイツ軍の若い兵士フレデリック(ダニエル・ブリュール)が、その武勇伝を本人主演で映画化した映画『国民の誇り』のプレミア上映を彼女の映画館で実施したいと申し出る。
強引にゲッペルス(シルヴェスター・グロート)に引き合わされたショシャナはそこで家族を殺された憎きランダと再会。
ヒトラーやナチス高官が集うその夜、劇場もろとも敵を燃やし尽くそうと決意を固めるショシャナ。
第4章
一方、プレミア上映の報を受けたイギリス軍のチャーチル(ロッド・テイラー)は、極秘作戦を実行すべくヒコックス中尉(ミヒャエル・ファスベンダー)を現地に派遣。
この作戦には“イングロリアス・バスターズ”も動員され、現地近くの村でアルドらに合流し英国の二重スパイでドイツの人気女優ブリジット(ダイアン・クルーガー)にバーで接触する。
だが、そこはその日に限ってドイツ兵たちで賑わっており、ふとしたきっかけから銃撃戦に発展し、足に銃弾を受けたブリジットだけが生き延びる。
第5章
プレミア上映の夜、続々とナチス高官が映画館にやってくる。
そこにはイタリア人を装い、ブリジットを連れたアルドの姿もあった。
ショシャナは恋人の映写技師マルセル(ジャッキー・イド)に最後の仕事を頼み、自らは復讐心を胸に秘めてこの夜の映写係を務める。
様々な思惑が交錯する中、運命のプレミアが幕を開けた……。


寸評
オープニングから聞いたことのあるメロディーが流れてきた。
今の音楽ではない心に響くメロディーで、それがジョン・ウェイン主演の「アラモ」の主題曲「遥かなるアラモ」だと思いだして、それだけでなぜか浮き浮きした気分になった。
その後も「荒野の1ドル銀貨」、「復讐のガンマン」や「アルジェの戦い」などのテーマ音楽も使われていたから、もしかすると使っていた音楽はすべて他の映画音楽だったのかもしれない。
それを想像するだけでも楽しい映画である。
僕は主演のデカプリオはあまり好きでない男優なのだが、本作の彼は悪人でもあるレイン中尉を楽しみながらやっているようで好感が持てた。
「ゴッド・ファーザー」のマーロン・ブランドそっくりのしぐさをして、彼を気取っているようなところがあったのだが、あれもタランティーノの指示による遊び心だったのだろうか?
英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語の言語の違いが小道具の一つとして随所に散りばめられているのも4カ国語に渡るだけに愉快でもあった。
残虐なまでのナチ掃討特殊部隊がいて史実などお構いなしでヒトラー暗殺までやらかすのは映画ならではである。
それにしてもナチスを震え上がらせる手段をかくも残虐に描くのは、娯楽映画とは言えナチスに対する嫌悪がそこまでのものなのだと改めて知らされたような気もする。
ロシアや中国では革命を扱ったものであれば支配階級は悪で革命勢力は善と決まっているように、ナチスは世界共通の悪と決まっているのだろう(事実はスターリンだってカティンの森で大虐殺をやっているのだが)。
そのあたりの感覚は島国育ちで侵略されたことも、宗教戦争を経験したことのない我が国に生まれた僕の感覚音痴による。

懐かしいマカロニ・ウェスタンのテーマ曲が(ドニーが登場する時の「復讐のガンマン」、ショシャナがフレデリックと会うシーンの「荒野の1ドル銀貨」など)挿入からではないが、この映画はもしかすると形を変えたマカロニ・ウェスタンの復活ではないか?
頭の皮を剥いだり、バットで殴り殺し血を噴き出させる残虐シーンは、まさにマカロニ・ウェスタンだ。
女優陣も頑張っていて、ショシャナを演じたメラニー・ロランも、二重スパイであるブリジット・フォン・ハマーシュマルクを演じたダイアン・クルーガーも存在感十分だった。
勧善懲悪でもないし、完全勝利でもないし、予断を許さない展開で十分楽しめ、沈着冷静な判断力を持ちながら結局はおバカなランダ大佐を演じたクリストフ・ヴァルツが秀逸だったが、考えてみると最初から最後までおバカ映画だったのだと思う。
僕にとっては「キル・ビル」以来のタランティーノ作品だったが、エンドロールに至るまでタランティーノの世界で、彼を嫌悪しない人であればすごく楽しめるエンタテイメント映画に仕上がっていたと思う。


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