おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3

2023-01-14 11:27:56 | 映画
「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3」 1990年 アメリカ


監督 ロバート・ゼメキス
出演 マイケル・J・フォックス クリストファー・ロイド
   メアリー・スティーンバージェン リー・トンプソン
   トーマス・F・ウィルソン エリザベス・シュー
   マット・クラーク リチャード・A・ダイサート

ストーリー
1955年11月12日に取り残されたマーティ・マクフライは、1885年からのドクの手紙を片手に、この時代のドクを訪ね、1885年にドクが鉱山の廃鉱に隠したデロリアンを壊すためそこに向かうが、デロリアンを探し出した彼が見たものは、1885年に殺されたドクの墓だった。
犯人は、ビフ・タネンの曽々祖父ビュフォード・タンネン。
マーティはドクの危機を助けるべく、1885年の開拓時代へと向かう。
マーティは、アイルランドから移住してきたばかりの先祖、マクフライ夫妻の世話になるが、酒場でマーティはタンネン一味にからまれ、縛り首にされかかる危機一髪の彼を助けたのは、ドクであった。
ドクはマーティから生命の危機を聞き、一刻も早く1985年に戻ろうとするが、あいにくデロリアンのガソリン・タンクは空っぽだった。
そんなさ中、ドクは当地の新任女教師クララ・クレイトンの命を助け、彼女と恋におちてしまう。
そして9月5日のお祭りの日、ドクはクララをめぐって、タンネンと衝突してしまう。
一方のマーティは、タンネンにののしられ、彼と決闘をすることになるのだった。
翌日はふたりが未来へと戻る日、クララに別れを告げたドクは傷心のあまり酒場で一夜をすごす。
夜が明け、そこにタンネンが姿を現わし、ドクを人質にとられたマーティは、タンネンとの決闘を余儀なくされるが、銃ではなく、拳と頭とで彼を倒すのだった。
そしていよいよ出発の日、機関車にデロリアンを後押しさせ、その反動で崖からデロリアンを突き落とし、タイム・トリップしようとする。
そんなふたりの前にクララが姿を現わした・・・。


寸評
第一話と第二話をかじりながら入っていく第三話だが、今回は西部劇の時代を背景にしている。
フリスビーになる皿の話など相変わらず未来に存在する物の小ネタを挟み込んで観客をくすぐるという演出を継続しているが少々マンネリ感が出てきている。
マーティが自分の先祖になる人たちと出会うのも慣れっこで、逆にこのマンネリ化がシリーズの面白いところなのかもしれない。

今回の面白いところはマクフライを名乗れないマーティがクリント・イーストウッドを名乗っていることである。
扮装を初め「荒野の用心棒」へのオマージュも感じられる。
決闘場面でマントの下の胸に鉄板をつけているなどは正に「荒野の用心棒」である。
オマージュと言えば、僕はジョン・フォードの「荒野の決闘」へのそれも感じた。
ドクとクララがダンスを踊る場面に、僕は「荒野の決闘」におけるワイアット・アープとクレメンタインのダンスシーンを重ねていて、クララはクレメンタインではなかったかと思う。
マーティをクリント・イーストウッドとするなら、いっそクララをクレメンタインにしていても良かったのではないかと思う次第である。

マーティはタンネンに殺されてしまうことになっているドクを助けるために1885年に来ているのだが、描かれているのはドクとタンネンのいざこざよりも、ドクとクララの恋物語である。
ドクが現代の宇宙旅行の話をすると、クララが分かったような顔をしてジュール・ヴェルヌの「月世界旅行」の話ねと
いうのも可笑しい。
ジュール・ヴェルヌの作品は低俗と評された時代もあったが、科学技術の進歩に対する予言の忠実さに敬意を払ってのものかもしれない。
「月世界旅行」も「海底二万里」も「バック・トゥ・ザ・フューチャー」も時代を超えて再認識される物語なのだろう。
未来に行ったり、過去に行ったりできるタイム・マシーンは子供の頃に夢見た世界で、僕が子供の頃にその空想の世界に浸っていたこともあった。
クララが傷心した姿で汽車を待つシーンはどこかで見たような気がするのだが映画の題名は思い出せない。

ファミリー映画なので人が殺されるシーンは出てこない。
マーティとタンネンの決闘シーンでもビフの祖先でもあるタンネンが肥料用の糞の中に突っ込んで逮捕されるが、これなども第一作でビフが車で糞の中に突っ込んだエピソードを髣髴させるものとなっている。
シリーズのファンなら、映画ファンなら、あちこちに楽しめるエピソードが盛り込まれていて、監督のロバート・ゼメキスと制作・脚本のボブ・ゲイルとが楽しみながら映画作りを行っているように感じる。
彼等にとってバック・トゥ・ザ・フューチャー・シリーズは贅沢な遊びなのかもしれない。

シリーズを通じて活躍したデロリアンは木っ端みじんに壊れてしまった。
ドクは今度は汽車だと言って登場してくるが、デロリアンの消滅をもってこのシリーズも完結したという事だろう。