おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ノッティングヒルの恋人

2023-01-01 09:37:39 | 映画
明けましておめでとうございます。
5年目になりました。今年もよろしくお願い致します。

「ノッティングヒルの恋人」 1999年 アメリカ


監督 ロジャー・ミッシェル
出演 ジュリア・ロバーツ ヒュー・グラント リス・アイファンズ
   ジーナ・マッキー ティム・マキナニー エマ・チャンバース
   ヒュー・ボネヴィル ジェームズ・ドレイファス ミーシャ・バートン

ストーリー
アナ・スコット(ジュリア・ロバーツ)はハリウッドの大女優だが、ノッティングヒルにある書店に足を運ぶ。
店主のウィリアム(ヒュー・グラント)は突然のことにびっくり。
さらに彼は買物の帰りに偶然アナとぶつかり、ジュースをかけてしまう。
慌てた彼は服を乾かすよう申し出て、アナを家に招く。
何とか彼女を送り出して間もなく、彼女が戻って来てウィリアムにキスをして立ち去る。
夢のような時が過ぎて数日後、ウィリアムに電話があったとルームメイトのスパイク(リス・エヴァンス)から聞かされ、早速アナが宿泊しているホテルに向かい、雑誌記者と偽り部屋に入る。
ウィリアムは妹の誕生日パーティーにアナを誘い、彼女も誘いに応じる。
その後もデートを重ね、ある晩二人がアナの部屋に行くと、有名俳優の恋人が彼女の帰りを待ち構えていた。
彼氏の存在にショックを受けたウィリアムは取りつくろいながら部屋を出て帰ることになった。
そして半年後。
昔のヌード写真集で騒ぎ出したマスコミを避けて家に置いて欲しいとアナが突然やって来た。
だがそれも同居人スパイクが口を滑らせたことでマスコミが殺到し、怒ったアナは二度と会わないと言い残し、雑踏の中へ消える。
一年後。
ウィリアムはアナが再びロンドンに来ていることを知り、撮影現場を訪れたのだが気持ちを伝えられない。
彼女がプレゼントを持って店に来てもつれない態度を取ってしまう。
それを見かねた友人たちは一丸となってウィリアムをアナのいるホテルに送り届ける。
記者会見場にもぐりこんだ彼は、再び記者になりすまし彼女に愛を告白した。


寸評
僕にとっては「ノッティングヒルの恋人」というタイトルが先にあった作品である。
この作品によってノッティングヒルという地名が知られ、今では大勢の観光客が押し寄せる街となって旅番組で紹介されることもあり、僕はNHKの「世界ふれあい街歩き」で取り上げられた回をを視聴したことがある。
番組からの知識であるが、かつてノッティングヒルはロンドンでもレンガ工場が立ち並ぶ一番貧しい町だったそうで、第二次大戦後に中南米からの移民が住み着き従来からの住民と暴動騒ぎを起こし警察が出動して鎮圧したことも有ったとのことである。
その後に融和が図られ、今では高級住宅街もある街全体がマカロンカラーで染められた夢のような場所となり、ロンドン西部最大規模の1キロに及ぶストリートマーケットが楽しそうな場所となっている。
アナとウィリアムが出会う本屋は今でも営業しているが、インタビューを受けた店主の男性が「映画はこの本屋をモデルにしているがセットだった」と語っていた。

映画はロマンチック・コメディとして語り継がれるだろうと思われる内容で、シンデレラ・ストーリーの一種である。
通常は同じジュリア・ロバーツ主演の「プリティ・ウーマン」のように女性がシンデレラの対象となるのだが、ここでは男性のウィリアムが対象となっている。
ジュリア・ロバーツの代表作の一本である「プリティ・ウーマン」を意識したキャスティングかもしれない。
同居人のスパイクや妹のハニー、友人のバーニーなどウィリアムを取り巻く連中が愉快な仲間となっており、彼らがコメディ要素を担っている。
そんな中でジュリア・ロバーツがいい女のアンを演じていてほっこりする。
ウィリアムの妹の誕生パーティに招かれたアンはウィリアムの友人女性のベラに自分はベジタリアンだと告げ、ベラの夫のマックスが自分の作ったホロホロ鳥の事を聞くと、「美味しかったわ」と気遣う。
大スターだが細やかな気遣いが出来る素敵な女性であることを示すシーンとなっている。
ジュリア・ロバーツは大女優でありながら普通の女性であると言う雰囲気を上手く演じている。
アナが大スターだと気付いていないバーニーから最後の映画のギャラを聞かれて1500万ドルと答えているが、もしかするとこの額は、この映画での実際のギャラかもしれないなと思った。
だとすれば、ハリウッドのトップスターはやはり破格のギャラなのだと思う。

イギリス制作ということでノッティングヒルが舞台になっているが、アナはハリウッドスターでビバリーヒルズに住んでいると言うヒル(丘)対比をしているのが面白いし、古今の映画スターが実名で語られるのも映画ファンには楽しいものとなっている。
ウィリアムがアナを忘れられず、彼女の出演作を映画館に見に行くが、そこでのアナの登場シーンはキューブリックの「2001年宇宙の旅」へのオマージュだろう。
そしてラブ・ストーリーの王道とも言えるようなエンディングを迎える。
記者会見場である記者がいつまで滞在するのかと質問し、アナは「今晩発ちます」と答える。
ウィリアムの告白が終わった後でアナがマネージャーに耳打ちし、マネージャーが先ほど質問した記者に「さっきと同じ質問を」と言うと、その記者は怪訝な顔をして再び「英国滞在はいつまで?」と質問するのである。
こういう粋なシーンがないとロマンチックな作品に輝きが出ないし、静かな語り口がムードを盛り上げている。