趣味は読書。

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『だから荒野』 桐野夏生

2014年01月30日 | 
今年一冊目のレビューは、桐野夏生さんの新刊『だから荒野』です。
桐野さんの新刊本が図書館に入るとすぐに予約します。
ですから、手元に来た時、どんな内容なのか全く知りませんでした。

題名に、???
どうも‘荒野’という文字を見ると、井上荒野さんを思い出してしまい、
つい‘あれの’と読んでしまって変な感じです。

でも、読み始めるとテンポの良い展開に、物語にすぐに引き込まれました。



主人公は、ちょうど46歳の誕生日を迎えた主婦・朋美。
物語は、この誕生日に、夫と大学生と高校生の二人の息子と、
レストランで食事しに出かけようとするところから始まるのです。

夫や息子たちから、ことごとくバカにされている朋美の日常生活。
誇張されているとは思いながらも、似たような家族像は容易に想像できてしまいます。

でも、最初からそんな風だったわけでは無いのです。
結婚当初の夫や、小さかった子供たち・・・。
いったいどこで変わってしまったのか?

そんな家族と決別を決意して、朋美は車で家出をするのです。
そこで出会う人々、一人になって去来するものたち。
突然の家出から家族に広がる波紋の行方。
「荒野」の意味が次第に分かってくるのです。

結末に賛否が分かれそうですが、私はいいな、と思いました。
‘猛々しい’という言葉が印象に深いです。
なるほど、生きていくというのは猛々しいことかもしれませんね。。


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