蟋蟀庵便り

山野草、旅、昆虫、日常のつれづれなどに関するミニエッセイ。

うっぷん晴らし

2020年05月15日 | 季節の便り・花篇

 絶えず緊張感がある。マスクなしで歩ける自由な環境にあるのに、どこかに閉塞感がある。 日常生活圏内の狭い中に「閉じ込められ感」が、いつも気持ちの底にある。
 雌伏10年という言葉がある。わずか3ヶ月なのに、苦難や挫折をあまり知らない現代人は、もう悲鳴をあげ始めている。日本人は心身ともに脆弱になってしまった。
 そんな中で、39県で緊急事態宣言が解除された。宣言延長から、僅か10日、専門委員会に丸投げして自分の哲学を持たないアベが、また得意気に記者会見を行った。
 コロナウィルスよりも、この醜顔を見る方が精神衛生上良くない。これまで散々嘘と隠蔽と改竄を送り返して責任を取らないヤツだから、アベが何を言っても信じることが出来ない。専門委員会さえ、自分の息のかかった者だけを任命しているのではないか?……そんな色眼鏡で見てしまう。現に、検察庁法を改定して検察官の定年を延長しようとする問題で、慎重意見を述べた委員が委員会から辞めされられているらしいし……。アベが、「疑惑逃れが動機ではない」と弁解すればするほど、益々嘘っぽく聞こえてしまう。
 緊急事態宣言解除の根拠も、あと一つスッキリしない。第2波、第3波を繰り返すのは必至だろうが、国民の命より経済優先……裏返せば、権力へのしがみ付き、次の選挙の票読みを優先するのが政治家であり、常識に疎い人種である。アベノミクスも崩壊、オリンピックも殆んど開催不能、憲法改正も無理、せめて非常識極まりない検察官の定年延長でもしないと、自己満足が得られないのだろう。
 もう、やる気さえ感じられなくなった醜顔を、毎日メディアで見せられるのもウンザリである。
 ……と、今朝もひとしきりうっぷんを晴らした。払底していたマスクが、薬局の店頭に山積みされ始めた。50枚入りで1,980円。昨年よりかなり割高だが、取り敢えず安心が帰ってきた。
 
 昨日、島根県松江市の親しい電気屋さんから、畑で採れたてのニンニクの茎をどさっと送って来た。自家製の西条柿の巻柿まで添えた。現役リタイアして20年にもなるのに、いまだに家族ぐるみのお付き合いをしている電気屋さんである。徳島や北九州にも、同じようなお付き合いをしている電気屋さんがある。ありがたいことだと思う。今ではカミさん同士のお付き合いの方が濃くなった。
 少しお裾分けしようと、Y農園の奥様に届けに行った。こちらは、リタイア後の九州国立博物館ボタンティアで知り合い、家族ぐるみのお付き合いをするようになって8年になる。お返しに、朝採りのスナックエンドウと紫玉葱をいただいた。
 逼塞し、鬱積したこんな時には、やっぱり人と人のナマのお付き合いが何よりもの救いになる。ネットで飲み会なんて、なんと侘しい姿だろう!

 時節柄、剪定も消毒も滞っている侘助に、びっしりと毛虫が付いた。チャドクガ(茶毒蛾)の幼虫である。1枚の葉を数十匹が並んで埋め尽くし、大変な状態になっていた。肌の弱いカミさんが誤って触れると、悲惨なことになって皮膚科に通う羽目になる。
 「毒針毛」という体毛は、直接触れるのは勿論、風に飛ばされた毛に触れても皮膚炎を引き起こす。産んだ卵塊にも毒針毛があるから始末に悪い。
昆虫少年だった頃、無謀にもチャドクガを飼育しようと試みたことがあった。怖いもの知らずだった、あの頃の若さがちょっぴり懐かしい。
 殺虫剤を振り掛け、思い切って数百匹の葉とともに剪定して袋に詰めた。伸び始めた梅の枝も払い、梅雨時の傘を邪魔しないように庭を拡げた。これもまた、うっぷん晴らしである。
 市の指定可燃ごみ袋に2つ、ほかに落ち葉の袋が2つ、アルバムの整理で埋まった8袋とともに、2ヶ月がかりでごみ回収に出すことになる。
やっと片付け終わったアルバムなのに、昨夜棚の奥から更に10冊ほど出てきた!

 今朝の西日本新聞に、こんな川柳を見付けた。
        自粛中 コロナがさせた 大掃除

 庭石の周りに、ユキノシタの花が群舞している。小さな山野草の写真撮影に開眼させられた花である。
 雨が来た。梅雨の足音が近づいてくる。
                             (2020年5月:写真:ユキノシタ乱舞)