イズミル便り

IZMIR'DEN MERHABA

HOMEROS VADISI(ホメロスヴァディスィ=ホメロスの谷)

2008-05-05 11:36:52 | イズミル暮らし・イズミル案内
 ホメロス。写真はwikipediaから拝借。

遠い遠い世界史の授業で習いませんでしたか?ホメロスを…。「イリアス」と「オデュッセイア」と言う二大英雄叙情詩を作った紀元前8世紀頃の詩人、ホメロスが一人の人物であったのかそれとも複数であったのか、「イリアス」と「オデュッセイア」は本当にホメロスの作品であるかどうか等諸説あるようですが、古代ギリシャから今日に至るまで西洋文学に大きな影響を残した偉大な人物であることに違いはないようです。


古代イオニア地方。写真はWikipediaより拝借。

そのホメロスがイズミル出身と言う説があるそうです。イズミルと言っても紀元前の話、当時この辺りは「イオニア」と呼ばれ、ホメロスの作品が主にイオニア方言からなっていることからこの辺の出身だと考えられているのでしょう。

イオニアと言うのは「古代フォカイア(現フォチャ)」から「ミレトス」までの沿岸地域と「サモス島」「キオス島」を含む地域でスミルナ(イズミル)も含まれており、ホメロスもスミルナの住民だったと言われているそうです。


「ホメロスの谷憩いの場」がイズミル市民と出会います。

さて、前置きは壮大なのです。本日の話題はイズミルのボルノヴァ地区にこの日曜日に開園式を迎えた「HOMEROS VADISI(ホメロスの谷)」。都会の中にピクニックのできる公園を造るという大プロジェクトがついに完成オープンすると言うニュースを新聞で見かけて色々調べてみると「HOMEROS VADISIはイズミルの天国となるだろう」とか「緑一色の環境の中で都会に住む人々が深呼吸できる場所」「5000本の植樹をした」「二つの巨大な人造湖ができた」「谷底に沿ってウォーキングを楽しめる」なんて書いてあるのです。期待して出かけました。ボルノヴァから10キロと書いてありましたが、もちろん隠れ方向音痴の夫の運転、気がついたらお隣の県マニサにいましたよ。結局ボルノヴァに戻り街の中に入ったら至るところに「HOMEROS VADISI」の表示があったんですけどね…。


完成予想図。予想通りになるのはいつのこと…。

この日は開園セレモニーが行われ市長が「イズミルの様々な場所から送迎バスを運行させて全イズミル市民を招待します」なんて発表していました。「25人集まればどこへでも送迎バスを迎えに送ります」なんてことも。開園セレモニーには市長はもちろん野党第一党のCHP(共和人民党)党首(イズミルはCHP)がテープカットを行うと言うことで私たちが行った時は既にものすごい人人人…。お弁当を配ったようで既にあたりは弁当空箱とペットボトルのごみの山。イズミル市民、この程度です。村の入り口に駐車場がありそこにマイカーは置いてそこから谷底のピクニックゾーンまでは送迎バスで運ばれます。この送迎バスに乗るのがまたひと騒動にひと悶着、バスに乗る行列はあるものの順番を守らないし、バスの車体が地面にすれるほどの乗員オーバー。肝心の公園はどうだったかって?5年後くらいに期待ってところでしょうか。5000本植えられた木も昨日植えたばかりのような色とりどりの花たちも一夜漬けの完成であることは目に明らか。開園セレモニーの為の突貫工事だったのでしょうか。








人の列は全て帰りの送迎バスに乗るための行列。トルコ人でいることは本当に大変なんです。

なぜ「HOMEROS VADISI(ホメロスの谷)」と命名されたのかと言うと、昔から人々の口承でこの谷に残る洞穴がホメロスが住んでいた「ホメロスの洞穴」と呼ばれており、その洞穴の名前にちなんでいつの間にか「ホメロスの谷プロジェクト」と名づけられたのだそうです。ホメロスが泣いていないといいのですが…。


帰り道、イズミル湾が望めました。


谷の上には高層アパート郡。

この谷へ行くまでに通る村ではさくらんぼが色づき始め、牛や馬がのどかに草を食む光景が見られます。村の間に突然出現する人工の川に湖、静かな村のままのほうがよかったんじゃないの?と思ったのは私だけでしょうか。







人造湖にはカエルが…。
          






☆現在のイズミル☆