アパートの横の道を下ります。
我がアパートの横の急な坂道を海へ向かって降りていくと、MITHAT PASA CADDESI(ミトハトパシャ通り)に出ます。この辺にその昔ユダヤ人やギリシャ人が多く住んでいたことから、今もRUM EVI(ギリシャ風の家)と呼ばれる古い建物を見かけます。
坂道の途中にある廃墟。素敵な建物なのにもったいない…。
ただこの建物は歴史建造物に指定されると自由に改築・改装ができなくなるため、手が入れられずに朽ち果てるままになっていたり、わざと放火をして燃やしてしまうなど、廃墟の様になっているものが多かったのですが、最近は市が修復に乗り出して息を吹き返した建物も見られるようになりました。
降りるのはいいけれど、絶対に歩いては上れません。
ある日曜日、そんなミトハトパシャ通りの写真を写しながら歩いてみました。往復約10キロ、折り返し地点はGOZTEPE(ギョズテペ)地区です。
まず見えてくるのがこちらのピンク色のきれいな建物「OTEL DEVAK」と言うホテル。反対側は海に面しており、現代的な普通のホテルなのですが、こちら側はこの通り。
次は数軒のRUM EVIが軒を並べており、数年前に市による修復が終わり現在は一部が幼稚園となっています。
幼稚園。どんな子供たちの声が聞こえてくるのでしょう。
お次はこの重厚な建物。MITHATPASA ANADOLU TELNIK VE ENDUSTRI MESLEK LISESI(ミトハトパシャアナドル技術・工業・職業高校)です。1867年創立の歴史ある高校ですが1997年の火事で使用不能となり、再建チームによりすべての建築資材がイスタンブルで特別にあつらえられたそうです。
この建物の横壁が、まったくこの重厚さに似つかわしくないクリーム色に塗られてしまい憤慨。
次に見えてくるこの建物は住む人がいるのでしょうか。鉄の扉の中には真新しい車が停まっていました。
こちらは、一見地味ですが県知事公邸。
この辺りまで来るとだんだん通りがにぎやかになり、商店街も活気があります。ちょっとおしゃれなお店も多くゆっくりと歩いてみたいところ。イズミルの地元サッカーチーム「GOZTEPE(ギョズテペ)」の本拠地でもあり、普段はチームの巨大な応援旗が掲げられているのですが、この日はトルコ国旗が翻っていました。
HSBC銀行も一部が歴史建造物になっています。
HSBC銀行。
この日の、最終目的地はこの建物でした。この建物の名前はANADOLU APARTMANI(アナドルアパート)。イズミルの最も古いアパートです。
エジプトの商人により建築が始められ、その後ムスタファ ラグップ デヴレスと言う人物が1905年に完成させました。当初4階建ての建物にあとから最上階が加えられたそうです。二つのブロックからなる計16世帯のアパートでした。建築当時アパートの前面にあったと言うバラ庭園が後に映画館となったのですが、それも火災の為に朽ちてしまい現在はこの通り駐車場に。2000年に、ある映画フェスティバルの為に作られたアナドルアパートについてのショートフィルムがあるそうなのですが、どこへ行けば見ることができるのか…。いつもこの道は車で通っていて、アナドルアパートも見ているのに由緒については知るはずもなく、偶然このアパートのことを知った時は残念ながら修復の為に、最後の住人が立ち退いて門扉に鍵がかけられた後でした。どんな人が住んでどんな人生をアナドルアパートは見つめてきたのでしょう。
修復プロジェクトの完成予想図。
現在アナドルアパートの修復プロジェクトが立ち上げられたようです。1905年当時最もモダンであったアナドルアパートが、21世紀の新しいアパートに生まれ変わるのはいつのことでしょう(期待薄…)。
坂道の途中にあるこの物体、なんだかわかりますか?
元ストーブを使った植木鉢。
☆現在のイズミル☆