「平安と平和、愛をもたらすことを祈って・・・NEVRUZ(YENIGUN)おめでとう」トルコ軍の公式HPより。
3月21日は日本では「春分の日」の祝日でしたね。そろそろ早咲きの桜を見に出かけた方もいらっしゃったのではないでしょうか。春分の日は自然をたたえ、生物をいつくしむ為の祝日で祝日法上では春分日と定められている為、その前年の2月1日に、国立天文台が作成する『暦象年表』という小冊子に基づいて閣議で決定され、官報で発表されるのだそうです。だから年によって20日になったり21日になったりするのですね。国民の祝日となる1948年より前は「春季皇霊祭」といって皇祖の神霊、つまり天皇の先祖を祀るお祭りだったそうです。
トルコ・シヴァス。
ここトルコでは3月21日は「NEVRUZ」と呼ばれ、各地で盛大に色々な行事が行われました。この「NEVRUZ」と言う言葉はトルコ語ではなく元々はペルシャ語起源の「新しい日」と言う意味があるそうです。イランを中心に中央アジアの国からアフリカまで広範囲で祝われているそうです。
アゼルバイジャン。
カザフスタン。
イラン。新年を祝う為の商品で色とりどりのパザル(市)。
トルコでは南東部に多いクルド民族の祝日となっている為、毎年この日はクルド人たちの民族運動で何かと騒動が起こります。今年も何日か前からニュースでは「何かが起こりそうな」報道をしトルコ軍の公式HPではあえて「NEVRUZ」の文字とともに「YENI GUN」と言うトルコ語を表記しトルコとして祝う姿勢をアピールしていました。そして南東部へは軍隊が大移動をしているという報道も。
首都アンカラにあるTRTでの公式行事。
NEVRUZの火に点火するエルドアン首相。
朝からトルコの国営放送TRTではエルドアン首相を初め多くの閣僚達も参加した公式行事や中央アジアの国々を中継で結びその祝典の様子を全世界へと放送していました。NEVRUZと言うとこの辺では路地のような狭い道路に火を焚いてその上を子供達が飛ぶ姿を見かけることがあります。公式行事でもエルドアン首相が火を点火しその上をおじさん大臣達が飛んだり(エルドアン首相は腰痛の為飛べません)、鉄を打ったり、卵を叩き合ったりしていました。写真をご覧になって感じられるかもしれませんが、イスラム教の行事とは少し雰囲気が違います。これはイスラム以前のゾロアスター教の新年の祝祭に由来するからの様です。
トルコ・エルズルムの小学校。
夕方のニュースでは「何かある、何かが起こると言われていたNEVRUZ、もちろんあちこちで石が飛んだり、火炎瓶が投げられたりはしました、でも大事には至りませんでした!」と言っていましたが石や火炎瓶が飛ぶことが大したことではないのがトルコなんでしょうか。
トルコ東部の町ハッカリではこの日の行事が禁止された。暴動を防ぐ為に役所の前を守る軍隊。
何かと問題を起して、国情を揉めさせたい一部の人がいることは確かでしょう。トルコ軍のポスターのように「平安と平和、愛」が普通のこと、特別に言う必要がなくなるNEVRUZが毎年続くといいなあと思った一日でした。
トルコ・セルチュク大学にて「春の娘」。
本日の写真はANADOLU AJANSI(アナドルアジャンス)のHPから拝借しました。