イズミル便り

IZMIR'DEN MERHABA

春の味BAKLA(バクラ=そらまめ)

2007-03-12 06:08:49 | 料理
弥生三月、日本は百花繚乱色とりどりの花を見るのが楽しみな季節ですね。(花粉症の方にとっては受難の季節ですが。)


ギョズテペのフェリー乗り場。気がつかずにこんなに遠くまで来てしまいました。

私の住むエーゲ地方、特にイズミルはどうも街角に花が少ないような気がします。季節を花で感じることが余りないので、こちらから探しに行ってやろうじゃないかとお散歩に。でもやっぱり一年を通じて温暖な気候の反動かいつもと同じ風景。青空の色が少し濃くなったくらいでしょうか。


イズミルで一番好きな風景。



散歩中に見かけた色鮮やかな八百屋さん。
手前に見える洗面器の中は皮をむいてあるエンギナル=アーティチョーク。


と言うわけでやはり季節を感じるのも食べ物でと言うことになります。トルコのパザルへ行けば季節の野菜が一目瞭然!形は不ぞろいだけどトルコ人らしい妙な几帳面さで並べられた野菜たちが「食べて食べて!」と存在を主張しています。夏は夏の野菜、冬は冬にしか食べられない野菜をたっぷり食べる醍醐味はトルコならではの楽しみ…でしたがここ数年トルコでも一年を通して探せばなんでも買えるようになってきてしまいました。


さやもまだ柔らかく産毛がふわふわ。

その中でこのBAKLAはまさに春を告げる味、と私は思っています。日本ではどちらかと言うと初夏の味でしょうか。桜の咲く2ヵ月後がその地方での空豆の旬だと言わているそうで各地によって呼び方が異なるのは土地によって空豆の利用法と収穫期が違うからなのだそうです。
四月豆(四国)、五月豆(静岡)、夏豆、冬豆(神奈川、冬に植えるから)、雪割豆(千葉)、 大和豆(大和(奈良県)で多く作られたので)、雁豆(伊勢)、唐豆(九州)、南豆(花が南向きに咲くので)など…ご存知でしたか?皆さんの故郷ではなんと呼ばれているのでしょうか。


トルコの野菜を見慣れた目には日本の野菜はきれい過ぎて作り物のように見えます。
写真は「食材事典美味探求 」から拝借しました。


そら豆の原産地は北アフリカからカスピ海南岸にかけて、5000年以上前からチグリス・ユーフラテス川流域で栽培されており その後、古代エジプト、ギリシア、ローマなどで栽培され、中国にも今から2000年前には渡っていたようです。 まさに古代文明を支えた栄養源だったわけです。エジプトのそら豆を使った料理ターメイヤが有名ですよね。

そら豆と言えば茹でて皮をむき塩味のそら豆と一緒にビールをくいっ!と言うイメージがあります(私は飲めないのであくまでもイメージ)。
日本でそら豆をさやごと食べることはあるのでしょうか。トルコでは日本で見かけるそら豆のように大きく皮が固くなってしまう前のそら豆がこの季節に出回ります。そしてもう少し時がたつと日本でも見られる大きなそら豆がIC BAKLA(イチバクラ=そら豆の中身?)として売られるのです。



トルコでのスタンダードな料理の仕方はオリーブオイル煮。

①BAKLAのさやのはじっことスジを取り、適当な長さにカットする(この時爪が真っ黒になります)。
②小麦粉とレモン汁を溶かした水に浸しておく。
③みじん切りにした玉ねぎをたっぷり目のオリーブオイルで炒める。
④玉ねぎがしんなりしたらBAKLAを入れ、色が変わるまで6・7分炒める。
⑤小麦粉とレモン汁を溶かした水を材料が隠れるくらいまで加え、塩、砂糖(砂糖は隠し味程度)で味付けをしBAKLAが柔らかくなるまで50分ほど煮る。
⑥火からおろす直前にDERE OTU(ディル)のみじん切りを加える。
⑦冷めるのを待ち、サービスする時に彩りが良いように別にしておいたDERE OTUを少しかけニンニク入りヨーグルトで頂く。

DERE OTUの香りとよく合ってなんとも爽やかな春の味です。


②と⑤で小麦粉レモン汁入りの水を使う理由ご存知の方いらっしゃいますか?
色が変わらないようにだと思うのですが小麦粉は何の働きがあるのかなあ。
アンネ(義母)はもったいないので②で使った水を⑤でも使えと言うのですが、
義妹は「いやだ!」と言って内緒で捨てています。
 


Afiyet olsun!

 海岸通沿いでチャイ。