HITOMIのおくに(ちょこっと日記)

瞳にうつる たくさんのもの・・・日々を(出来れば面白く)書きたい、ちょこっと日記です。

家庭の味

2020年09月06日 | 結婚生活

子供は自分の家のカレーが好き。
そういうものだと思っていた。
だけど、それは家でお母さんがカレーを作るから。
カレーを家で食べられなくなった子供たちとワタシのお話。

大阪にはインディアンカレーというカレー屋さんがある。
夫はその店のカレーの大ファンだ。

ワタシが初めて子供を身ごもった時、連れていかれた。
ただでさえ妊娠して味覚が過敏になっているとき。
二口食べたら、辛くて食べられなくなった。
そんなワタシを「もったいない」目で見ながら、夫は完食。

「なんで、食べられないの?」
と聞かれた。
『辛かったから』
としか、答えようがなかった。

一番上の子が普通にカレーを食べられるようになった時、
下の子をベビーカーに乗せたまま、そのカレー屋さんに行った。
(もちろん、一番上の子に大人のカレーを食べさせるのも反対したし、
 ただでさえ狭い店内、ベビーカーで入ることも反対した。でも夫はきかなかった)

ワタシは過去のことがあるので、ハヤシライスを頼んだ。
一番上の子は、やはり辛くて食べられなかった。
それでも、夫は不思議そうな顔をするだけだった。

時は過ぎ、ある日、姑がカレーの隠し味を教えに来た。
そして、夕飯はカレーだった。

そのカレーを食べた夫は言った。

「もう家でカレーは作らないで。お前の作るカレーは美味しくないから。
 僕はインディアンカレーが好みなんだ。あの味に出来るなら食べてもいい」

姑が教えてくれた味だと言っても、聞き入れない。
挙句の果てに
「ねぇ、ママの作るカレー、不味いよね?」
と子供たちに聞く始末。

それ以来、ワタシはカレーを作れなくなった。

でも、子供たちからはリクエストされる。
長期休暇の時は、夫のいない昼食にカレーを作って食べた。
でも、カレーはにおいが残り、帰宅した夫は
「カレーじゃないよね?昼間のにおいか(笑)」
と笑っていた。

数年経ったある日、本当に晩御飯のメニューが思いつかず、
子供たちのリクエストもあって、ハッシュドビーフにしたことがあった。
熱いものは熱いまま食卓に出さないと、怒る夫だったので
冬であったこともあり、盛り付け直前で火を入れ、出した。

一口食べた夫は

「こんなもん、熱くて味もわからんやないか!こんなもん、食えるか!」

と、怒って部屋を出て行ってしまった。
仕方なく、暗い雰囲気でワタシと子供たちがご飯を食べていると、
夫が再びやってきて

「おい、口に合わないもの作ってごめんね、とかないんか。
 お腹空いてるでしょ、なにか他に作ろうか、とかないんか!
 ちゃんと来て、謝らんかい!」
と激高した。
その剣幕に子供たちは慄き固まり、大人しく従うことをいいことに
その日以来、夫は自分の気持ちのまま、怒鳴り散らすようになった。

ワタシは、子供を守るどころか、実家の父のトラウマと重なり
体の硬直と動悸にさいなまれることになった。
子供を守ることすらできないのかと、自分を責めるしかなかった。

子供を守れない
人生の中で、一番きつく、心残りなことになった。

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