「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「花道」

2012年10月19日 | 趣味・・エッセイ

            

所属しているエッセイ同好会メンバーのおひとりが、このほど勇退されることになった。
同好会発足当時のメンバー5人の中の1人で御年83歳の女性。
30数年に及ぶ、毎日新聞はがき随筆投稿の常連さんである。
もちろん、表彰経験もあり、年齢を感じさせない文体の柔らかさ豊かさは、ファンも多く、仲間内からも大いに参考とされる存在であった。

この世界での83歳は中堅どころであり、まだまだ老いの境地などではない。
が、当人のたっての申し出でもあり、固い意志を確認しての勇退と相なった。

今我々に出来ることは、長年にわたり共に切磋琢磨してきた先輩を、華やかに見送る花道をしつらえて差し上げることかなと考えた。
代表が自らの手で作った感謝状を読み上げ、たとえささやかでも記念品を添えて、大きな大きな拍手に囲まれて表舞台を退いて頂く演出をさせてもらった。

如何ほどのことでもないが、ご当人にとっては思いがけない成り行きに、声が詰まるほど感動された様子であった。
これが仲間でありファミリーの良さであるのだろう。

歌舞伎の劇場には、舞台の延長として客席を縦断するように設けた、役者さんの出入りする通り道がある。いわゆる、観客がひいきの役者さんに花を差しだす道、すなわち花道。本場所のお相撲さんが土俵に通じる東西の道も花道というのだそうな。

そういった華やかな世界に倣って、引退する人を送り出すセレモニーを盛り上げるワンステージを「引退の花道」と言う。
特に華々しいのが歌舞伎十八番「弁慶」の終幕で、義経一行を追いかけようとして、弁慶が六方という独特の演技で舞台を退く場面が「花道」の最たるものであろう。
深まりゆく秋の別れは淋しさもひとしおだが、いい笑顔のお別れが出来た。

コメント (4)
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