熊澤良尊の将棋駒三昧

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参考品「古式復原の守幸」

2022-05-16 01:57:54 | 作品

5月16日(月)、夜中。

本日の映像は「古式復原の守幸」。
作年は、正確には記憶しておりませんが25年くらい前の頃だったでしょうか。
ある時、大阪の方が古い駒を持ってこられました。
見ると、漆の書き駒で、多くの文字は漆が摩耗していて、その方は私に「この消えかかっている文字を直してほしい」ということでした。
私は、じっくりとその様子を「ウムフム」と眺めながら、「これは300年ほど前の江戸時代に作られた貴重な書き駒です。どこで見つけられましたか?」と尋ねました。
「名古屋、大須の骨董市。たまたまそこで・・」。
「そうですか。これは珍しい文字で、銘には守幸とありますね。私ごときが、要らぬ手を加えてダメにするよりは、これとそっくりの文字で姿形の駒を作りますから」ということになりました。

書き駒の場合、表面の文字の漆が摩耗しても、文字の跡は日焼けを免れて、そこにはうっすらと白く、文字の跡が残っているのです。この駒もそうでした。だから、そっくりの文字の駒が復元(復原)できたのです。
で数か月後、盛り上げの技法で4組ほど作り、その方には、この内の1組を買っていただきました。
この駒は、そのうちの1組。その映像です。
材は、御蔵島産の無地柾目のツゲ。
分厚い駒形、まったりした文字の形は、いずれも、300年ほど前の古駒を模したもので、双玉。
なお、江戸時代初期あるいは前期までに作られた駒は双玉で、先日の展示会では参考品として出展しました。



なお、これとよく似た文字として「清定」があります。

私の見解として、「守幸」は、その「清定」の源流というべき駒ではないかと思うのです。
理由は、「守幸」文字の肉筆感に対して、「清定」には肉筆感が無く、誰かがそれを真似てレタリングした文字(作った文字、作られた文字)を思わせる点にあります。

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