風の雑記帳

平凡でもかけがえのない毎日が過ぎていく。
風景や触れ合い、心の断片を切り貼りして綴ってみる。

目撃者(小説風)

2005年12月13日 | 仕事、職場風景

昼下がりの仕事場は、外の吹雪とは正反対に快適そのもの。
Y江は、さっきから襲ってくる眠気と戦っていた。
この睡魔は、昼食後に飲んだ風邪薬のせいかもしれない。
そういえば薬局で「眠気がでるかもしれませんので」と言われて渡された薬だった。
かなりの効き目だ。。
さっきから、パソコンにデーターを入れるのを何度もやり直している。

「駄目だこりゃ・・」

ふと、目を外に向けると、吹雪の中小学生達が下校していく。
「子どもは風の子」とはよく言ったものだ。
雪が降っても、背中を丸めてる子どもなど一人もいやしない。
はしゃぎながら、雪と戯れながら元気いっぱいだ。

元気なものだなぁ~~。
あ~、今度は雪玉を作ってるぞ。
あれ?どこに入れてる?おいおい、駄目だぞ!

なんと!
小学生高学年の男女二人組が、雪玉を作ってはポストの口から中に押し込んでいる。
面白そうに何個も何個も入れてははしゃいでいるではないか。

ポストは雪を入れるものじゃないぞ~。
Y江はそう怒鳴りそうになったが、すぐ受話器を取り、ポストの脇の家に電話をかけた。
いつも電話で切手の注文をしているので、顔見知りだ。

「子ども達が、ポストに雪玉を入れてるので注意してくださ~い。」

あ、おばさんが出てきた。
子ども達は注意されて、サーっといなくなってしまった。
よしよし。Y江もホッと胸をなでおろす。

が、次の瞬間、今度はポストの中身の郵便物が心配になってきた。
あれだけの雪を入れたら、郵便物は濡れてしまう、、。マズイぞ。

Y江は、今度は郵便局に電話をして、いきさつを話した。
それから数分後、郵便局の車が来てポストを開けた。
中から、郵便物を拭きながら出している。
雪も、相当な量入っていた。
おばさんと郵便局員さんが、ポストの中から雪をかき出している。
やれやれ。。。。

「あ、いま郵便局で来て郵便物持って行ってくれたわ。あまり濡れずに済んだよ。
だけどあの子ども達、注意したら「雪など入れてません」なんて言って、
な~に、どっさり雪が入ってたのよ。これから学校に電話しておくわ。」

おばさんが電話で経過を知らせてくれた。
全く、今時の子どもは何だろうね~。
「ごめんなさい」なんて言って正直に謝る悪戯ならまだ可愛いもんだが、嘘をつくかい。
嘘はついてもバレるもんなんじゃよ。誰かが見てるもんなんじゃ!



Y江は一人ぶつぶつ呟いた。
お陰で、眠気はすっかり飛んでいった。

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