わまのミュージカルな毎日

主にミュージカルの観劇記を綴っています。リスクマネージャーとしての提言も少しずつ書いています。

SHOCK

2002年01月13日 | 観劇記
(06年8月に整理し、掲載したものです)

2002年1月13日マチネ 帝国劇場1階Q列センター

今年の初観劇。
舞台をご覧になっていない方も多いと思いますので、内容の説明をして、その後に感想を書いていますので、またまた、長くなってしまいました(笑)。

まずは、今さんのご活躍を中心に、簡単な舞台内容のご報告です。

堂本光一さん(コウイチ役と亡き兄の2役)が、指揮者となってオケボックスがセリあがってきます。そして、簡単な前回の舞台(MILLENNIUM SHOCK)のあらすじを説明しました。
そして、ショー(劇中という設定)が始まりますが、危険な事態が起こり、ショーの続行が難しくなるのですが、亡き兄の「Show must go on!」という意志を受けて無事やり通します。
無事、千秋楽を迎えたカンパニーの打ち上げの場面。今さんはカンパニーのマネージャー役で登場。「タク」と呼ばれていました。
タクは、コウイチの亡き兄の妻サキホ(宝塚の樹里咲穂さん)と結婚して12歳の子供がいます。サキホが亡き夫を思い出している様子を優しく見つめ、包み込むようなタク。しかし、このカンパニーがブロードウェイへの招致を受けたことを聞くと、「頂点を知ったものだけが味わう苦しみ…」と、周りの様子とは関係なく自分の世界に入ってしまいます。サキホの「あなた?」との声で我に返りますが、タクとは何者なのでしょうか?

次は京都公演。若い皆は京都までバイクで行くと言います。その途中、事故が起こり、コウイチの弟ツバサ(今井翼さん)が複雑骨折をして歩くことも困難に。カンパニーにとってはスターを失う大打撃です。
ツバサが運ばれた病院にも、一番に駆けつけているタク。(ここでの記憶があやふやなのですが、病院の前に、事故現場にも今さんは登場し、担架につきそって客席に下りていらしたと思います。)皆が集まり、公演の中止をと言いますが、コウイチは「Show must go on!」と、舞台を続けます。

京都公演という設定で、劇中劇が始まり、「新撰組」「ハムレット」が上演されます。
日本風の舞台装置に囲まれて「ハムレット」が上演されますが、御簾の向こうに、クローディアスの今さんが、度々影絵のように現われます。

そして、ついにアメリカへ旅立っていきます。しかし、この便利な時代に船で…そして、タクとサキホはなぜかいっしょに船に乗らないのです。
コウイチの夢という設定なのでしょうか、「白鯨」が上演されます。船長は今井さん。そして、船員の一人として今さんも登場。白鯨への復讐に燃える船長。白鯨に出会うことを願っているが、本当は、白鯨と死ぬことを考えているのではないのか、と堂本さんが問い掛けるのです。白鯨が現れて、モリを手渡したり、危うく海に落ちそうな船長を助けようとする今さんですが、他の船員の「ロープを切れ」の声があるのに、ロープは切りません。そして、何と最後には船長を突き落としてしまうのです…。

無事、アメリカについたカンパニーは、不思議なご婦人に迎えられます。(プログラムには「老婆」となっていますが、いくらなんでも老婆はないと思います。この大きな大きなご婦人、今さんなんですよね)。で、樹里さんも「キュート・ボーイ」という名前で、カンパニーに加わるのです。

アメリカでは3週間の旅公演がまずあるという設定らしく、その旅の感じがショーのように繰り広げられます。この間、今さんは衣装はズボンですが女装のまま。

旅公演が終わり、ついにブロードウェイに進出。大絶賛を受けた初日の打ち上げでのこと。プレスの質問に答えるところがまたまたショーのように構成され、今さんは薄紫色の長いドレスで踊るのです。盛り上がる初日の打ち上げでしたが、水をさす事件が起こるのです。コウイチの兄が作った曲なのに、「著作権があるのは私達です」という人物が現れたのです(石山毅さん)。その契約書のサインを見たサキホは、サインが誰のものかわかったのでしょう、顔色を変えます。女装したままの今さんは、その様子をばつが悪そうに見ています。結局は、正式な著作権を証明するものがあり、兄の曲をカンパニーが使い続けることができたのです。

入院していたツバサも、亡き兄の助けで踊れるほどに回復し、ニューヨークにきました。めでたし、めでたしとなるはずでたが、コウイチは自分達の周りに起こる不吉な出来事の原因をはっきりさせなければならないと考えています。

楽屋に、タクの姿でいる今さん。サキホ、ツバサ、ジュン(秋山純さん)もコウイチの来るのを待っています。この間、今さんはあの紫色のドレスをハンガーにかけるたりしているので、やはりあの婦人はタクの女装であったのだとわかります。コウイチが来ると、「打ち合わせがあるから。」と言って立ち去ろうとするタクに、「君はいつでもそうやって逃げるんだな。」と。
コウイチから、今まで起きていたこと、兄が自殺した原因を作ったことも含めすべてがタクの仕業であったことを暴かれると、今までクールだったタクの様子が一変します。
甲高い笑い声とともに、悪霊としての本性をあらわすのです。そして「頂点を見たものだけが味わう苦しみを見るのが私達の最高の楽しみなのだ…」と。「悪霊も恋はする。サキホへの愛は本物だった。」と言い残し、コウイチの兄が死んだ場所で死んでしまいます。が、悪霊ですから、本当には死にません。「私を殺せるのは、同じ悪霊。」といい、コウイチと対決しようと言います。そして、対決の場がやってきます。それが、オケボックスの真上の天井近く。人がひとり通れる位の橋のようなものが渡してあります。そこで、タクとコウイチが対決か、と思うと、サキホの子供がタクを撃つのです。タクは転落。コウイチも落ちてしまいます。
コウイチは助かりますが、タクはついに消滅してしまいます。
タクを滅ぼした、サキホの子供はやはり悪霊なのか???という疑問を残して、一応劇の部分は終わり。

ショータイムとなり、今さんも樹里さんと「エンドレス・ラブ」を歌ってくださいました。ここでは、悪霊ではないということなのですが、樹里さんに再度迫って、振られてしまうのでした(笑)。

こんなご報告でよろしいでしょうか?舞台は、とにかく盛り沢山で、今さんのご活躍中心のご報告では語りきれませんが、タクという役は、この舞台ではキー・パーソンなので、今さんに注目してお話すると、話の流れはお分かり頂けると思います。

ここからは、私の感想です。
30秒から1分の間に一回はどきどきさせる仕掛けがあるとのことでしたが、あるはあるは、本当に観ているほうも大変です。でも、演じてくださる方達はもっと大変ですよね。
今さんがドレス姿で踊る場面は、コケないかと、ずっとどきどきしておりました(爆)。もしかして、私よりずっと裾さばきがお上手?!?

冗談は、これぐらいにして、ちゃんとした感想です。
まずは、舞台全体への感想。最後の方は、完全にジャニーズファンへのサービス用ショーだったので、それはそれとして良いのですが、一応、話の筋がある方でもやや筋がつながらないというか、ちょっと前置きが不自然という点がありました。一番が、アメリカ公演で参加したボーイ・キュートと老婆の登場です。最後まで見ていると、サキホとタクの変装だったとわかるのですが、なぜ変装したのか納得いかなかったのです。
勿論、今さんの女装姿を楽しんだので、変装して頂いてよいのですが、何の必要性があって変装したのか???

そして、歌に関しても、一部録音したものを流しているのは(聞こえ方が違うので間違いないと思いますが、確認したわけではありません。)せっかくの生の舞台なのに、と残念に思いました。あれだけの曲を全部歌っていたら、体力的に続かないとは思いますが、何か工夫をして頂きたいと思います。

また、フライングが多用されるのですが、ちょっとやりすぎではないでしょうか。もう少し、ここぞというところだけで使ったほうが舞台は締まると思いました。

他にも、細かいことを言い出したら切りがないので、まあ、お祭りなのだと割り切って、楽しんで観劇して参りました。本当に、エネルギッシュで、これぞショー!と言う舞台だったと思います。

出演者の方で心に残った点。
まずは、今井翼さん。小さい身体ですが華のある方ですね。幅のある歌声もミュージカル向きだと思いました。そして、何より、台詞の間が良いです。今さんへの感想のところで詳しく書きますが、「白鯨」の場面は凄かったですね。

秋山純さん。彼も重要な役柄を担っているのですが、アドリブもぽんぽん出るし、しっかり演技をしなければならないところは締めているし、是非、舞台にどんどん立って頂きたいと思いました。

宝塚から外部出演なさった樹里咲穂さん。ダンスが素晴らしいと思ってずっと観ていたのですが、「New York!New York!」の熱唱には感動しました。何度もこの歌は聴いていますが、本当に素晴らしい歌声でした。何か、本当にニューヨークへ特別の思いがこもっているのではというぐらい、心に迫る歌声でした。そして、男役でのカッコいいこと。堂本さんと下手、上手にわかれて踊る場面などは、どこに焦点をあわせればいいのかわからないほど。これだけでも贅沢すぎる舞台でした。

堂本さんについては、もう申し上げるには及びませんね。すっかり、ミーハーモードになってしまいました。ここまで人気がある訳がよ~~~~~くわかりました。

さて、ここからは今さんについてです。
本当に楽しそうに舞台を駆け回っていらっしゃいました。特に、女装の場面!しかし、今さんに女装させるということを思いついて下さるなんて、ジャニーさんに感謝です。
お声がもともと高めですので、台詞回しは違和感がないのです。そして、動き回っているときもかなり妙なのですがそれでも女性っぽいのです。しかし、立ち止まると完璧に男性に。本当に、笑わせて頂きました。

が、今さんの魅力全開はこんなところではありません。
私が大好きなお声も、相変わらず素晴らしいのですが、本当に演技というのはここまで印象に残るのかと思いました。
それは「白鯨」の場面です。劇場の使い方としてもすごいなぁと思った場面でした。

白鯨を追い求める船長の今井さんに、傍観者として堂本さんが舞台上手に設置されている壁のようなところから、いろいろと問い掛けるのです。その二人の台詞のやり取りが素晴らしいのです。間の妙です。そして、オケボックスから、巨大な白鯨が現われます。もう、劇場が大海原になってしまった感じです。私は1階の補助席のあたりで観劇していたわけですが、それでも舞台に完璧に引きずり込まれていました。そして、半分復讐の鬼になって狂ってしまった船長の指示を、淡々と聞き入れ、指示どおり動いている今さん。そのあまりの表情のなさと、今井さんの感情の高ぶりとが、コントラストをなしてどうなってしまうのだろうという不安を観客に与えます。荒れ狂う海原、狂った船長と白鯨。その中でも氷のように冷静に動き回り、船長を助けている今さん。しかし、最後に船長を海へ突き落としてしまう今さんのあの表情!!!ゾーっとしました。
この場面は、悪霊としての今さんが、ツバサをバイクの事故におとしめた場面とも重なり、事故から立ち直る場面へとも繋がるという、とても重要な場面でもありました。
この場面で、今さんは一言も台詞を言いませんし、最後の一瞬まで、本当に表情を変えないのです。しかし、その一瞬がすべてを物語ってしまうのです!!!

さて、さらに今さんの素晴らしさが輝いた場面は、なんといってもコウイチに事故や事件がタクの仕業であること暴かれ、悪霊へ豹変する瞬間です。今さん、怖い…本当に怖かったんです。でも、そんな中、サキホへの愛は本物だったと訴えるタクの哀愁。初めて女ッ気のある役を拝見しましたが、まさかこんな複雑な心境を表現なさってくださるとは予想していなかったので、怖い悪霊、可哀相なタク、と私の受け止め方も複雑でした。

そして、最後に帝劇の天井から、オケボックスへ落ちていく悪霊。今さんって高所恐怖症でないことがよくわかりました(笑)。あんなところから落ちるなんて…考えただけでも足がすくみます。

ファンとしては、もっとたくさん歌って欲しいとか、踊って欲しいと欲が出ますが、今さんあってこその舞台だったと私は信じています。要所要所を締めて、話を進めていくわけですから、もし、今さんの印象か薄いと、謎解きの段階での面白さがないのです。今さんは、本当に印象に残りつつ、主役を引き立たせる最高の脇役を務められたと思います。

コメディあり、ロマンスあり、ホラーあり、今さんの新しい魅力大発見の楽しい楽しい舞台が、私の今年最初の観劇でした。

それでは、本当に長くなりましたが、これで。盛りだくさんの舞台だったので、整理するのが下手な私のご報告では、至らない点が多かったと思います。お読み頂きありがとうございました。

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