わまのミュージカルな毎日

主にミュージカルの観劇記を綴っています。リスクマネージャーとしての提言も少しずつ書いています。

ウーマン・イン・ホワイト

2007年11月21日 | 観劇記
2007年11月21日マチネ公演
青山劇場 2階最前列センター

青山劇場の2階は初めて行きました。思った以上に舞台から遠かったです。ただし、最前列でしたので、舞台には結構入り込めました。

この作品は「謎解き」ですので、あらすじはほんのさわりだけ。結末が分かってはつまらないですからね。

19世紀半ばのイギリスの片田舎。真夜中の線路。ロンドンからやってきた絵画教師・ハートライト(別所哲也さん)は、列車のトラブルで途中から歩いて来た。闇夜で「誰かいませんか?」と叫ぶと、幽霊のような白いドレスの女(山本カナコさん)を見る。
ハートライトがやってきたのはフェアリー家。そこに住むのは、異父姉妹の姉のマリアン(笹本玲奈さん)と妹ローラ(神田沙也加さん)。ローラの父が大富豪だったので、二人は何不自由なく暮らしている。マリアンは明るく振舞っているが、ローラの影のように生きている。
ふたりに絵を教えるハートライト、彼を慕う姉妹は、やがて三角関係に。その関係は、マリアンがローラと相思相愛のハートライトに彼女はパーシヴァル卿(石川禅さん)と婚約中だと告げることで、終わりを迎える。傷心のままハートライトはロンドンに戻る。
ローラは父親の遺言どおり結婚するが、パーシヴァル卿はローラの財産目当ての貴族であり、暴力もふるうことがわかる。マリアンはローラに良かれと思って勧めたこの結婚が、結果的にローラも自分をも苦しめていることを知る。そして彼女はローラを守るため、パーシヴァル卿とその右腕フォスコ伯爵(上條恒彦さん)に闘いを挑む。

これが、大体一幕のあらすじです。この間に白いドレスの女が謎めいたことを言います。そして、二幕では闘いが始まります。いろいろどんでん返しがあります。さて、結末はいかに!!!


感想です。
お話は面白いです。いくつか疑問は残るのですが、ミステリー好きの私にはとても面白かったですね。
音楽としては、まあ、宣伝ほどではないとしても、様々な場面で使われる不協和音が印象的でした。

俳優の皆様への感想です。
マリアン役の笹本さんは、突然に成長した感じがしました。「マリー・アントワネット」以来ですが、子供の頃から見ているので、突然「大人」になった感じでした。正直、今まではあまりその演技も歌声も私にとっては魅力あるとは思えなかったのです。とにかく、硬い。もう少し肩の力を抜いて発声すれば役柄が膨らむのにと思ったことが何度あったでしょう。人間は必ず裏と表を自分の中に抱えています。演劇では役柄によっては極端な面だけが描かれますが、多くの場合、主役級の役では、ちゃんと裏と表が描かれているはずなのです。それなのに、どちらかだけしか演じ切れていなかったように思います。が、今回のローラは、控えめなところと勇気のあるところがとてもよく描かれていましたし、ハートライトへの複雑な思いもとてもよく表現できていたと思います。歌い方も少し変わったように思えました。演技もとても丸みが出てきて、立ち振る舞いがとても綺麗でした。とてもよく声が出ていて、ミュージカル女優、というのがぴったりになってきたなぁと思いました。
元気一杯の女の子から、自分を見つめる女性になりつつあると感じました。

ローラ役の神田沙也加さんもがんばっていました。が、ちょっと歌が不安定でした。「イントゥ・ザ・ウッズ」のあかずきんちゃん役で、ソンドハイム氏の難曲を自分のものにして歌っていたので、期待していたのですが・・・。でも、演技はよかったと思います。

笹本さんと神田さんのバランスはとても良かったですね。作品の中の実生活では(話がややこしいですが、笑)ローラが主役なわけですが、作品ではマリアンが主役なので、バランスがとても大切だと思いました。

ハートライト役の別所さん。始めの方と後の方で活躍します。別所さんの舞台は一昨年末の「34丁目の奇跡」以来でした。別所さんは歌よりは演技の方だと思っていましたが、舞台を観るたびに歌もとても良くなっているような気がします。いつも、もう少し声の強さのコントロールが出来たら、もっともっと歌における表現の幅が出で来るのになぁと思っていましたが、今回はとても良くなっていたと思います。

パーシヴァル郷の石川さん。う~~~ん、いいなぁ。本当にいいです。役自体はひどい男です。でも、石川さんの魅力を堪能できます。特に最後・・・。いいですよ。これ以上言ってしまうと、結末が分かってしまうので、気になる方は劇場へどうぞ(笑)。

フォスコ伯爵の上條恒彦さん。相変わらず、味のある演技に歌です。謎の紳士ですね。紳士とはいえない振る舞いも多いですが、何となくイギリス人が描くイタリア人の典型という感じなのでしょうね。マリアンに思いを寄せます。というか、素晴らしい一人の女として見ているのでしょう。ローラの影として生きるマリアンに「それでいいのか?」と問うのです。明るく演じて、謎がますます深くなる。本当に不思議です。好演、いえ怪演かもしれません(笑)。

謎の白いドレスの女の山本カナコさんも、歌に演技に大活躍でした。新感線の方だそうですが、謎めいた感じがとても良かったです。どうなるの、どうなるの、と観客の気持ちをぐいぐい引っ張っていました。

光枝明彦さんはローラの叔父で後見人という役柄。味のある歌を聞かせて下さいます。ローラの育ての親なので、いろいろな苦労が・・・。その苦労とは・・・こちらも劇場でどうぞ。

最初と最後に鉄道員として越智則英さんが歌われるのですが、それがまた謎めいていまして、他の謎が解けた後も、この謎は解けず・・・これは原作を読まないと解決しそうにないので、読んでみようかと思っています。

落ち着いた雰囲気のミュージカルでした。私は、元気に踊りまわる舞台よりは、こういう落ち着いた舞台が好きですね。
この観劇記を読んで、すっきりしない方は、劇場に行って謎が解ければすっきりしますので、青山劇場までどうぞ。12月2日までです。

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