わまのミュージカルな毎日

主にミュージカルの観劇記を綴っています。リスクマネージャーとしての提言も少しずつ書いています。

ダンス・オブ・バンパイア

2006年07月17日 | 観劇記
06年7月17日マチネ
帝国劇場 1階10列目センター

感想が思い切り割れる舞台ではないかと思います。
私の感想もあまたある感想のひとつとしてお読み頂ければと思います。

あらすじ。(とにかく単純です。)
寒い冬の日に、プロフェッサー・アプロンシウス(市村正親さん)とその助手アルフート(泉見洋平さん)がヴァンパイアの研究のために村にやって来る。村人はヴァンパイアの存在を否定するが、ある晩、村の宿屋の娘サラ(剱持たまきさん)がヴァンパイアであるクロロック伯爵(山口祐一郎さん)の誘いを受けて城へ行ってしまう。サラに恋するアルフートとプロフェッサーは伯爵の城へ侵入する。無事にサラを助け出したと思ったが、すでにヴァンパイアになっていて、アルフートもヴァンパイアに。

アルフートは泉見洋平さんでしたが、情けなくて可愛くて、愛すべきアルフートでした。歌も安定していて、見ていてとても気持ち良かったです。

せむし男のクコールの駒田一さん。もう、上手過ぎます。こういう俳優さんが日本にいらっしゃることがとても嬉しいです。

しかし、他の主要キャストには失望でした。まあ、そもそも作品自体がつまらないと言ってしまえばそれまでなのですが・・・

山田和也さん演出のコメディは何作も観劇しています。おおよそ、コメディらしいコメディで、観劇した後、理屈ぬきで楽しい時間だったと感じていたと思います。が、今回はコメディという感じがしませんでした。

音楽も、同じような曲や曲想の繰り返しで、ミュージカルらしい心に響く歌かなかったように思います。

そして、何より「ダンス・オブ・バンパイア」の「ダンス」は何だったんだろうと思いました。ウィーン発のミュージカルはダンスを独立させる傾向にあります。「エリザベート」のトート・ダンサーはその典型です。「エリザ」ではとても新鮮でした。しかし、私の好みではないのです。ミュージカルはやはりプリンシパルの皆様が歌って、踊って、演技もして、という超人的なことをするからこそ楽しいのです。「ダンス」とわざわざ付いているのですから、歌って、踊って、キャストの皆様はさぞかし大変だろうなぁと思いながらも、ギュッとしたエネルギーの爆発するような舞台になっているのだろうと期待したのです。が、がっかりでした。歌は歌、ダンスはダンスですから、とても気持ちが分散してしまいました。

そして、舞台が暗い。暗過ぎます。夜で、ヴァンパイア達の話ですから、暗くなくてはいけないのだと思いますが、暗いです。本当に暗いです。だから余計に、コメディの部分の記憶がないのです。くら~~~~~い、くら~~~~~い「地底で歌うヴァンパイア」という印象でした。

いつもご活躍を楽しみにしているさけもとあきらさんは、開幕直後の村の宿屋の場面で、たくさんのソロを聴くことが出来ました。相変わらず素晴らしい歌声です。いろいろな扮装で舞台に立たれるので、さすがに見逃してしまった場面もあるようです。

舞台を作り上げることは、それがどんな結果であろうと、大変なことであることはわかっているつもりです。特に、ミュージカルはやることがたくさんありますから、その大変さはどれほどでしょう。それだからこそミュージカルはステキなのだと思っています。ですから余計に辛口になってしまうのです。東宝(特に帝劇での演目は)のミュージカルは、多くの観客のミュージカル観劇の入口であると思うのです。最近の演目ならオペラの方がいいと感じてしまいます。ですから、もっともっとミュージカルらしいミュージカルを制作して欲しいと考えています。歌に踊りに演技にと3拍子揃った俳優の方々に、ミュージカルの本当の楽しさを広めて頂きたいと思うのです。