わまのミュージカルな毎日

主にミュージカルの観劇記を綴っています。リスクマネージャーとしての提言も少しずつ書いています。

デモクラシー

2005年03月29日 | 観劇記
2005年3月29日マチネ
レ・テアトル銀座  15列目下手

2月、3月抑え気味だった観劇をこの「デモクラシー」から再開。4月末までに6本ほど観劇予定です。花粉症には辛い時期です。特にストレート・プレーは緊張します。その緊張がまた逆効果で、くしゃみが・・・3回もしてしまいました。本当に申し訳ありませんでした。

簡単なあらすじです。
1969年、西ドイツの首相となったヴィリー・ブラント(鹿賀丈史さん)。彼の就任演説で幕が上がります。首相の執務室にはエイムケ(近藤芳正さん)、ヴィルケ(石川禅さん)、ボディーガードのウーリー(小林正寛さん)らブラントを支える秘書たちや、ブラント内閣の重鎮ヴェイナー(藤木孝さん)とシュミット(三浦浩一さん)、内務大臣のゲンシャー(加藤満さん)とその部下ノラウ(温水洋一さん)らが出入りしている。ある日、エイムケは新内閣には一般市民の意見を取り込むべきと、平凡な党員のギョーム(市村正親さん)を秘書に抜擢する。しかしギョームは東ドイツのスパイだった。彼はボスのアルノ(今井朋彦さん)を通して西側の情報を流していた。そんな中、Gの頭文字がつくスパイが潜入しているという報告を得たヴェイナーは水面下で捜査を始める。
一方、初めはブラントに敬遠されていたギョームだったが、ブラントの遊説が決定し、同行することになる・・・。汽車で遊説地を回りながら、ブラントとギョームは信頼の度を深めていく。
ヴェイナーとノラウは、ギョームの正体を確信し、ブラントに伝える。そして、真実を解き明かそうと、ブラントの休暇にギョームの家族も招待する。ギョームの正体の確信がつかめぬまま一年が経つ。そして、逮捕の日がやってきた。ギョームの逮捕とともに、ブラントの不名誉な面が次々と暴かれていく。ギョームが告白したのか?ウーリーがばらしたのか?それとも・・・出所はどうであれ、ブラントは求心力を失い、シュミットに首相の場を奪われる。


1989年11月9日、ベルリンの壁に立つ群衆をテレビの映像で見ていました。私が生まれた時にはベルリンの壁があり、その壁は東側との精神的な壁でもありました。私が生きている間にその壁がなくなるなど、考えられる状況ではなかったと今でも記憶しています。
ところが、あっという間に壁は叩き壊され、東西ドイツは統一されました。
その頃の生々しい経過を知っているだけに、東西の分裂のために人生が大きく変わってしまった人々の一生を思うと、やりきれない思い、虚しい思いで、胸が締め付けられます。
とても考えさせられる作品に出会ったと感じています。

全員男優で、舞台も至って簡素。
鹿賀さんは、本当に首相!と言う感じでした。
市村さんは、普通の会話と、スパイのアルノへの報告とを同時進行的に台詞を言うのですが、それがきちんとわかるのです。さすがですね。そして、その報告を聞くアルノ役の今井さんは舞台のどこかにいるのですが、本当にいないみたいな雰囲気がありました。これは、舞台でのことなのですが、現実にもこういうスパイというのは、存在しているような、いないような、とても不思議な存在なのかもしれないと感じました。

今も、同じ民族でありながら対立が続く国々が一日も早く、平和的に和解することを心から願わずにいられない舞台でした。