がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

当サイトの掲載写真・イラスト等の無断転載/無断使用を禁じます

三十六の鷹

2019年02月23日 | ・和心な本、琉球な本

 

久しぶりに琉球史小説を読了しました。

『三十六の鷹 万国津梁外伝』
(亀島靖著/沖縄教販)

文庫、全3巻です。

1巻は2016年6月発行、
3巻は2018年7月発行。

 

そういえば、
たびたび書店で見かけていたはずなのに、
表紙にはがっつり尚巴志とか阿麻和利とかの名前が羅列されてるのに、
なぜかずっとスルーしていました
(普段、文庫は手にしないから…?)

 

先月来沖していた琉球歴女プニさんとのジュンク堂巡りのお陰で
ようやくこの本に意識がフォーカスされ、
全3巻、一気読みしました。

(ただ誤植がやたらと多いのと、
ルビが同列( )書きなのはちょっとアレでしたが…)

 

時代は尚巴志が三山を統一していく頃から
阿麻和利が死ぬまで。

メインは尚巴志時代です。

 

主人公は
梁崇(りょうすう)・鄭文(ていぶん)という
明国から琉球に渡ってきた青年たち。

久米村の華人たちが比較的中心となって
物語を展開していきます。

 

 

*追記*


ブラタモリの那覇編(録画)を見ていたら
久米村の紹介のくだりでこんなボードが!

 

 

15世紀、梁崇(りょうすう)の子孫姓に

「亀島」姓が!

あっ、著者の亀島さんって、もしかしてそうなの?

ははぁ~、だからか!(納得!)

 

 

琉球の発展に欠かせない存在だった
久米村華人たち。

久米村の思惑は、
対して琉球は、
懐機の存在は、
そして尚巴志、
続く第一尚氏の王たちは…

 

これまでとはまた一味違った(というか踏み込んだ)視点で
この時代を描いていて、
とても興味深かったです。

 

 

それから、もちろん大和人たちも!

彼らがオマケ的にではなく
結構がっつり絡んで物語が展開されて行くのは
リアリティを感じました。

芥隠とかはもちろん、
早田六郎次郎(小説では小次郎)とかね!

 

印象的だったのは
尚巴志を冊封した冊封使・柴山と
大和の八郎、禅僧正棋との話(2巻)。

最初は普通に小説(フィクション)として読んでいました、

が…

 

……待てよ……

 

とふと思い立って
『歴代宝案』で調べてみたら……

 

元ネタを発見。

 



図書館で一人悶えました。

 

小説(創作)をきっかけに歴史を知る、

新しい知識を得る、

ああ楽しい…

 

 

うーむ。

柴山、イメージがガラリと変わったぞ。
これはぜひともキャラ化したいです。

 

 

『琉球戦国列伝』で描いてたマイナーな人物も
結構出てきていて、
主人公たちと絡んでセリフや動きがあって
生きたキャラクターとして感じやすかったためか、

彼らを改めて描いてみたくなった…!!

 


(続く)


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おきなわ湧き水紀行

2018年09月30日 | ・和心な本、琉球な本

『おきなわ湧き水紀行』
(ぐしともこ著/ボーダーインク)

 

一昨年の発行で前々から気になっていましたが
そのうち買おうと思いつつずるずると…、
今になってしまいました(^^;

 

この本は沖縄各地に残っている
湧水(樋川、井戸)を訪ねて紹介している本。

でも単なる史跡紹介本というよりは
著者がそこを訪れた時に食べたものや出来事、
人との出会い等も含めたカー巡りエッセイ、
という感じ。

 

なので読み物としても楽しめる一冊です。

 

私が知らないカーもあり
この本を片手に訪問したくなりますね。

 

ワタシがこれまで記事にしたカーもあったので
ざっとリストアップしてみます↓

 

垣花樋川

受水走水

チチンガー

嘉手志川

犬名河

辺戸大川

金武大川

龍樋

佐司笠樋川

繁多川のカー

森の川

落平樋川

 

本にはなかったけど(たぶん)、
仲村渠樋川も訪問のしがいがありますよ。

 

 

+ + +

 

ところで。

この本の嘉手志川の項で、
″他魯毎が地元の人たちのとっては
反面教師を揶揄するための存在となっている”
ことに触れており、
個人的にはうーん…となってしまいました(^^;)

 

嘉手志川と金屏風の逸話をそのまま受け取れば
他魯毎は愚かな王様そのものですが、
果たして他魯毎があの逸話の通りの人物であったかどうかは
疑ってみてもいいのではないか、と。

歴史の敗者は、勝者の言い分によって
いかようにも語られるもの。

もしかしたら嘉手志川と金屏風との取引にも
こんな裏があって(→  )、
他魯毎はハメられてしまっただけのかもしれない。

 

せめて、地元の人たちにとっては
他魯毎は愚王として人物像だけではなく、
それなりに地元のヒーローとして
愛されるキャラクターであってほしいな。

 

南山に光を!
(→  

 

と願ってやみません。


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天地に燦たり。薩摩、朝鮮、琉球。

2018年09月16日 | ・和心な本、琉球な本


天地に燦たり
(川越宗一著/文芸春秋)


先月読んだ本です。

図書館で借りて読んだので
現在手元にはなく、
読み終わってからの間も空いてしまったので
心に残った文章やセリフの引用もできないのですが、
このブログの読者さんの中には
きっと気に入る人もいるだろうなーと思いまして
軽くでも記事にしておこうと思いました。


先ほど、図書館で借りて読んだ
と書きましたが、
それはつまり貸出期間の中で読み切ることができた、
ということです。
(延滞せずに返却しましたよ)

 

主人公は3人。

島津の武士の樺山久高
朝鮮国の被差別民明鐘
琉球国の官人で探索方の真市

時は戦国時代。

戦に明け暮れる島津、
秀吉の朝鮮出兵、
そして薩摩の琉球への侵攻。

儒教の「礼」をキーワードに、
戦火に包まれる3つの国と、
3人の主人公たちが交錯していく歴史小説。

 

琉球の薩摩侵攻はともかく、
戦国時代かー
島津かー
朝鮮出兵かー
大した予備知識ないし
難しそうだなー
読めるかなー
と思っていましたが……

 

興味深く読めました

 

+ + +

 

私にとって歴史小説と言えば、
がっつり系歴史小説の代表格、司馬遼太郎。
『テンペスト』でおなじみ、エンタメエッセンスが入った池上永一。

どちらかと言えば司馬遼太郎系と聞いていたので
少し身構えていましたが、
確かに(私的には)冒頭の島津の章は
久高のキャラらしく重々しい感じでしたが

朝鮮が舞台になると
明鐘の庶民的で聡明なキャラクターもあって比較的すいすいと。
師匠とのやり取りは、まるで『テンペスト』の麻先生と寧温のよう。

琉球の真市は自国・琉球が大好きなカラっと明るい人間で、
(でも探索方なんだよ)

"うふちぶる我那覇"も出てきたのには笑いました(笑)
後半には謝名親方も出てきます。

 

歴史上の出来事としては
朝鮮(明鐘)や琉球(真市)を蹂躙していく島津(久高)
なんだけど、
久高には久高の苦労や苦悩があって。

とりあえず、
朝鮮出兵ってあんなに長期間やってたんだ
とか
島津としてもかなり追い込まれてたのか
とか
やっぱり島津の強さパネェ
とか
そういうことも知ることができました。

 

こんな感じで知識の浅いワタシなので(汗)
深い読みのレビューは書くことができないんだけど
ワタシはこちらの書評を見て
「よし読んでみよう!」と思ったので貼っておきます↓

 

小説家・秋山香乃が読む『天地に燦たり』川越宗一著 誰も描いたことのない物語

 

ところで、この本を読んでのち、
たべのむらじさん(南九州の歴史専門家)のツイッターで知ったんですが、
薩摩侵攻で大将を務めた樺山久高。
その樺山家の当主は「中山国前大王(尚寧王)」を
今も慰霊し続けているのですね…。

 

該当ツイート

 

この小説をきっかけに、
琉球を攻めた島津軍の大将・樺山久高、から
少し、「樺山さん」とお近づきになれた気がしました。

 

+ + +

 

国がなくなっても民がそこにいる限り、どんな国も造りなおせる

これは『テンペスト(下)』で
琉球処分に際して出てくる文章なのですが、
『天地に燦たり』でも、
追い詰められる朝鮮や滅亡の危機に陥る琉球のシーンでも
このような意味のことが出てきたりしていました。

先に触れた明鐘と師匠のやり取りもそうだし、
『テンペスト』と似た雰囲気を随所に感じたりもしました。

 

ということで、

ワタシの全体の印象としては

『天地に燦たり』は、
『テンペスト』好きの方には
気に入ってもらえるかも!

ということでした。

 

気になってた方は是非手に取ってみてください。

 

私も図書館本で読んだ本でしたが
そのうちkindleで買おうかなと思っています。


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琉球歴女の琉球戦国キャラクター図鑑まとめのページ

2018年09月01日 | ・和心な本、琉球な本

≪琉球歴女の琉球戦国キャラクター図鑑まとめのページ≫

・本の紹介と特徴
・経緯まとめ(きっかけ~意図・意義)
・初版正誤一覧

 

琉球歴女の琉球戦国キャラクター図鑑
(イラスト・文/和々・澪之助 ボーダーインク発行)

ボーダーインクのページ→ 
Amazon→ 

 


〝琉球史をとことん楽しむ〟がモットーの琉球歴女たちが、
今までとはまったく違う女子目線で、 琉球史の新しい人物像にアプローチ!


今や巷にあふれている、戦国や幕末などの歴史上の人物を
イケメンキャラにしたゲーム(アプリ)やアニメ、
刀剣乱舞などに代表されるのモノを擬人化したキャラクターetc……
その琉球史版、というような立ち位置の本です。

琉球史の人物たちを、
ゲームやアニメのようにキャラクターデザインしてキャラ設定をしてみたら……!
これまでとは違った人物像や、琉球史が垣間見えてきました。
(詳しくは下記にリンクを貼った「キラキラ化に、何の意味があるのか」参照)



 

 

「ひとこと」で触れた『琉球戦国列伝』(’12.3発行)↓


 

『キャラクター図鑑』は『戦国列伝』の姉妹本として
両方を比較しながら見ていただけるとまたより楽しめます。
絵柄、全然違いますが(^^;)、どちらもワタクシ和々です。



+ + +



この本では、現代版組踊についても20ぺージあまりにわたって特集しています!
県内各チームの舞台レポや、メンバーさん(卒業・現役)たちとの対談も(収録は'17秋)。

現代版組踊ファンが見ても楽しい1冊になっております。


 

 



+ + + + + + 



≪経緯まとめ≫

琉球歴女の琉球戦国キャラクター図鑑、について1(きっかけ)

琉球歴女の琉球戦国キャラクター図鑑、について2(制作スタート)

琉球歴女の琉球戦国キャラクター図鑑、について3(現代版組踊)

琉球歴女の琉球戦国キャラクター図鑑、について4(編集)

キラキラ化に、何の意味があるのか(意図・意義)

 

 

+ + + + + + 



≪初版・正誤一覧≫

現在流通している初版に、誤字脱字(誤植)等を含むいくつかのミスが見つかっています。
読者・関係者の皆様にはご迷惑をおかけしてしまい、お詫び申し上げます。
ここに正誤一覧を掲載します。

 

P4下
現代版組踊協議会 → 現代版組踊推進協議会

P18・19下
泰期ステータス → 尚巴志ステータス

P19上
1402年に中山王武寧を攻略後、 → 1406年に中山王武寧を攻略後、

P25上
(見出し)龍潭池 → 龍潭(池をトル)

P25上
(本文)龍譚 → 龍

P62・63下
尚徳ステータス → オギヤカステータス

P84 上
魏古城(ルビ・ごえく)→ 魏古城(ルビ・ぎーくじょう/ごえくじょう

P98右上
【伊平屋島】●屋蔵大王 → ●屋蔵大

P98左中
【久米島】●ガサシワカチャラ → 笠末若茶良(漢字表記)


P114 上
岩切里穂さん写真 → 要差し替え

※差し替え用の写真(コピー紙に掲載サイズでプリントアウトしたもの)希望の方はご連絡ください。

 

P13 下
泰期と一緒に何度も琉球と明国を行き来しています 云々… →

※私の記憶違いにより発生してしまった文章で、
史料上は二人が何度も一緒に航海したという記録はありません。
(事前に内容チェックもしてもらってましたが、見落とされていたようです。
しかし史料による再確認をしてい
なかった私の落ち度です)

史料上はこうです↓


明実録の記録では、2人が一緒に行き来したのは1382年の1回のみ。
亜蘭匏はこの年が(朝貢使者としての)初見で、その後連続で出てくるが、代わりに泰期の名は消える。
一般的にはこの年を境に泰期が死去、もしくは引退したと考えられている。

そこで、初版本ではこじつけフィクションとして以下のような裏設定がある事にします…

1382年、泰期の引退にそなえ引継ぎ航海をした二人。
しかし亜蘭匏がひょんなことで溺れてしまい、泰期が助ける。
そんな亜蘭匏をみて心配になった泰期は引退を撤回し、
その後も一緒に航海を続けることにした。

ただし、泰期自身は非公式(NO役職)としての乗船だったため
公式記録には残っていない…。


 

 

この年(1382年)は、泰期による初進貢(1372年)から10年が経過しています。
…が、ここでは漫画的超法規的措置としてこの姿(見た目)のままでお送りしております。


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漫画「琉球のユウナ」2巻

2018年08月23日 | ・和心な本、琉球な本

 

『琉球のユウナ②』(響ワタル著/白泉社)
(↑画像クリックでamazonにジャンプ)


遅ればせながら拝読しました。
(表紙の彼は真加戸(尚真王)とユウナの花)


連載されていた雑誌では一切見ていなかったので
全てが初見でした。

もともとは読み切り企画だったものが
「連載」になったこともあって
1巻に比べてぐっと内容も踏み込んだものに。

1巻はどちらかというと恋愛描写の印象が強かったのですが
2巻では琉球感やファンタジー感もぐっと増し、濃くなって
とても面白かったです!

 

(以下、ネタバレ注意)

 

まじないの数々(『沖縄のまじない』からの引用たくさんで私にとっては実にタイムリー!)
音智殿茂金(=月清、尚真の妹)や神女組織確立、ヲナリ神信仰、
尚真の神託も幼い月清が行ったという設定
那覇港や市の様子から、倭寇、奴隷売買、かたつむり食、ザン(ジュゴン)に
キジムナー(≒ユウナ)のタコ嫌い、
万国津梁の鐘の銘文や、もちろんオモロも。
とにかく琉球ネタ満載
えっ、そしてまさかの白澤…の擬人化!??
(前髪かき上げたら3つ目があるのか!?)

音智殿茂金はなかなかいいお嬢様キャラで
個人的にはとても新鮮に感じました。


ビジュアルも、
ザバネに玉ハベルに神扇、クバの団扇、
浮島・那覇の遠景(長虹提がうっすらでも描かれていればよりツボだった…!)

それらのものに加えて
「世あすたべ」や「おおやくもい」なる単語が
が全国版の少女漫画に出てくる日がくるとは…


うーむ…感慨深いものがあります……

池上永一さん著作の全国紙での少女漫画化はあったけど、
あれは基本、現代が舞台だからねー)

 

 

原作(案)者もなく、本土の方でありながら、
これだけこだわって
"琉球ロマンティックファンタジー少女漫画"
を作ってくれた作者に敬意を表します

※沖縄人だから本土の人だからと区別・差別しているのではなく、
本土の方で本土在住だと、環境的にアイディア出しや資料集めなど
沖縄人や沖縄在住の人よりも苦労が多いであろう…ということです。 

 

ほんと…スゴイ!!

 

 


そして対立する側の謎の一派。

まさか…第一尚氏の生き残りか!?



3巻へ to be continued.

 

さーて、千代金丸を手にし「祖父」を語る黒髪の彼は
千代金丸を獲得した尚巴志の孫・尚徳本人か(生き延びていた説もあるし)、
それとも大世主を神号にもつ尚泰久の孫(尚徳の子)か!?


(今改めて読み返したらクーデターシーンで
兄弟で会話してるシーンがあるからこりゃ尚徳の子だな?

 

これはドラマ『テンペスト』でのワンシーン。
写真クリックで記事にジャンプ

 

琉球史を踏まえた物語の予想や、
ちりばめられた琉球小ネタを探すのも楽しい
『琉球のユウナ』

3巻も見逃せませんね!

 

(今回同様、私は雑誌では見ずにコミックスでの初見を楽しみに待ちたいと思います♡)

 

+ + +

 

巻末の参考文献には
琉球戦国列伝』の記載も。

 

 

琉球戦国列伝はアイテム等、資料に基づいて描いているので
ビジュアル等の参考になっているのなら嬉しいです

 

 

また、
新刊『琉球歴女の琉球戦国キャラクター図鑑』も、
琉球のユウナ2巻と一緒に宣伝されることもありまして。
ジュンク堂那覇店ではコミックコーナー・ユウナ特設の同棚同列に

真加戸(尚真王)、めっちゃキラキラしてるもんね!

琉球のユウナ経由で若い女の子たちが琉球史に興味を持ったり
もっと自由な琉球史エンタメが受容されるようになっていったら
キラキラ本を出した私としても本望です

 

 

≪追記≫
琉球のユウナ3巻レビュー →


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沖縄のまじない、と不思議な石敢當

2018年08月01日 | ・和心な本、琉球な本


↑クリックでボーダーインクのサイトにジャンプ

 

『沖縄のまじない』
(山里純一著/ボーダーインク/2017)

 

署名の通り、沖縄の様々なまじない(ものや行為)について書かれた本です。

くしゃみをした時に言う「クスケー」から「チョーチカ」などの呪文の類、
石敢當、サン(ゲ―ン)、フーフダなどの物(=ムンヌキムン)、
雨乞いなどの儀式etc…
沖縄にはこれほどまじない行為に溢れていたのか!
と再認識させられます。

 

+ + +

 

本に書いてあるまじないについて
ブログで書いてあるもの、ざっと思い出せる分を
ピックアップしてみました。

写真クリックで記事にジャンプします。

 

↑浦添にある経塚。

「チョーチカ(チョウチカ)」の呪文はこちらに由来。

 

↑お守りのような道具、サン(大きいのはゲ―ン)。

所有の印としても使われていたそう。

 

 

↑シャコ貝などの貝も魔除けとして使われていた。

 

↑久米島・君南風殿内の雨乞い石。

左苗(ヒジャイナー)とアマフイカンダという植物を巻いた石。

ワタシが訪問した少し前に、実際に雨乞いの儀式が行われたのでした。

 

↑は首里の雨乞い御嶽。

干ばつが続いてどうしようもない時(危険指数が上がりに上がった時)に
王様が直接祈願をする御嶽。

 

+ + +

 

私自身この類の事にはすごく疎いもんで
(サンや火ヌ神を知ったのも大人になってからだし)
まさにネタの宝庫!!と感じました。

この本を読んでからキラキラ制作できてれば
またちょっと変わったかもしれないな、
あー!もっと早く読んでいれば!!
と後悔…。

今後に活かしたいと思います…。

 

そんなワタシでも幼いころから馴染みがあったのが
あちらこちらにある「石敢當」

これまでも何度か石敢當関係の記事も書いています。

 

津堅島の石敢當

鹿児島山川の石敢當

スーパー石敢當

人型石敢當

 

歩いていて「おや?」と目につくと
今でもちょこちょこ撮ってしまいますね。

 

ではまだブログに載せてない「おや?」な石敢當をば。

 

糸満市にあったもの。

「石敢當」とはありませんが、
おそらく設置の意味合いは同じ。

T字路突き当りにありました。

今帰仁の人型石敢當にも似ています。

本来は石そのものに力があるとされていて
「石敢當」などの文字のないものも
同じように置かれているのだそう。

ただ、そもそもは石信仰によるものというのは忘れられ
今は石じゃない石敢當も多い、とのことでした。

だからねー。

 

これは北中城村。

石の左半分が丸々削れているのですが…。

アップでも読めません。

石敢當…なのかもしれないけど、
石敢當とは別の字に見えるのは私だけ…?

 

 

最後も北中城村。

ブロック塀とブロックにはさまれた……

おそらくこれも石敢當だと思われますが…。

謎です。

 

+ + +

 

ところで「石敢當」って人の名前(力士や中国の強い武士)に
由来するっていうのが多いみたいですね。

(が、が悪霊にえてたるという石信仰に由来するものだろう、
というのは本書の趣旨)

それは知らなんだ。

中国では石敢當の前に香炉を置いて、線香を焚き、
石敢當そのものが信仰の対象になっている
っていうのは面白かったです。

あと、移民した人が諸外国で作った石敢當も紹介されています。
(効果は抜群だったとのこと…!)


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『南島雑話』の不思議な葬制

2018年07月20日 | ・和心な本、琉球な本

前記事の続き)

 

『南島雑話の世界 名越左源太の見た幕末の奄美』
(南日本新聞社/2002)

より、今度は私が特に印象に残った風習を1つご紹介。

 

それは『樹木葬』です。

 

亡骸を箱に入れて木に吊るす…というもの。

3年放置し、そののち洗骨して壺に納めるのだそう。

ただこれが一般的だったわけではなく、
特別な人がこのように葬られていたようです。

その特別な人というのは…
「ノロ」です。

奄美のノロも琉球のノロと同じく
精神的指導者として人々の信頼も厚く
祭りや祭事には欠かせない存在でした。

そのノロが亡くなった時の葬り方のよう。

聖なる山の奥地でこのように行い、
人々の立ち入りは近視。
樹に吊るすのは「神が天に上りやすいように」と書いています。

 

樹木葬…なんとも特異で不思議な風習です。

 

なお、このトピックの後半には
一般人の葬制の事にも触れていて、
(土葬や洞穴風葬なのですが)

「泣き男」「泣き女」を身分に応じて雇っていたのだそう。

悲哀に満ちて涙を誘うような
「泣きが上手い」人には報酬も高かったんだって(笑)

身分の高い家は「泣き男」や「泣き女」をたくさん雇って
たくさん泣かせた…ということでしょうか。

 

+ + +

 

この本には雪隠つまりトイレ事情や
様々な風俗、風習について
それから薩摩との関係などにも触れています。

また、
見たこともない異形の動物を見ると
「とりあえず食べてみよう」
となるのも奄美の人たちの気質が表れていてなんだか可笑しい。
(それでワニや見たこともない魚を食べちゃってます)

楽しく興味深く読めた1冊でした。

是非手元に欲しいな…。
(でも絶版中で古本でもなかなか情報ヒットせず…)


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『南島雑話』の不思議な生き物

2018年07月19日 | ・和心な本、琉球な本

 

『南島雑話の世界 名越左源太の見た幕末の奄美』
(南日本新聞社/2002)
を読みました。

『南島雑話』とは、1850~1855年、
奄美大島に遠島(島流し)になった薩摩の上級武士・名越左源太
奄美大島の自然や民俗などを記録したもの。

絵が得意だったという佐源汰自らが描いたスケッチの数々が
当時の奄美の様子を知る上で貴重なバイブルとされています。

この本はその『南島雑話』の記事をテーマに沿ってピックアップし
今と比較しながら書かれた新聞連載をまとめたもの。

 

幕末の奄美…と言えば
今年の大河ドラマ『西郷どん』の奄美編が記憶に新しいですね。
(西郷が奄美にいたのは佐源汰が帰郷して4年後の1859年)

そこで見た奄美の様子は幕末と言えども
自然も、髪型も、服装も、文化も、言葉も、
薩摩というよりもずっとずっと琉球だ、と感じました。
(※薩摩侵攻までは奄美は琉球の一部でした)

 

…と思っていたら、

薩摩は通常、奄美全体で大和風の文化(頭頂を剃る月代や髷、服装など)
を禁止していたのだそう。
それは、清国との関係で奄美は琉球だと思わせておく方が得策で
薩摩が奄美を支配しているというのがバレないように、
ということらしい。

 

とまぁ、色々と勉強にもなる本なのですが、
面白い記述や絵もたくさんあったので
いくつかご紹介したいと思います。

 

まずは不思議な生き物シリーズ。
(絵はワタシが模写したものです)

 

 

 

1 ケンモン

 

ケンムンって言ったほうが聞き馴染みがあるでしょうか。

『西郷どん』でも出てきましたね(18話)。

沖縄で言う所のキジムナーに近い、
ガジュマルに住んでいる妖怪です。

人懐こくて人間の手伝いをすることもあれば
いたずらを仕掛けたり、
仕返しをすることも。

ちょっと違うのは、猿+河童のような見た目の事。

沖縄のキジムナーで河童ような皿がある…というのは聞いたことないような?

 

『南島雑話』にはこんな絵も。

人間と一緒に手をつないで踊っているのか、手を引かれているのか。
ともあれ、人間・ケンモン両者とも
表情がとてもかわいらしくてほのぼのします。

 

 

 

2 人魚

 

…どこに「魚」の要素を見つければいいのでしょうか…。

強いて言うなら、耳辺りがエラに…見えないこともない?

ただのはーもーにたじーのおじいにしか見えないです(笑)

 

 

 

3 チリモヌ

ネコ科の動物の様でかわいいです。
名前の響きも、なんだかおもしろい。

空想上の生き物と見る人もいれば
かつてはいた希少動物と見る人もいるらしいです。

記録では
・不浄の獣
・人が死ぬ時に敷くむしろなどに宿っている
・股をくぐられると病気になって死ぬ
・豚の子のようで、猫に似ている。
・色は薄黒、しっぽは短い。

チリモヌと同じように
ミンキリャワァという妖怪?もいるらしく
同じく股をくぐられると死ぬ…らしい。

ともあれ、チリモヌに出会ったら、股をくぐられないように
足を交差させてあるくべし!

 

 

 

4 奈麻戸奴加奈之(ナマトヌガナシ)

語尾に「ガナシ(加奈之=加奈志)」という敬称がつけられているので
高貴な存在だと分かります。

これはの8のツノと8ペアの足(=16本)をもつ牛の姿をした
耕作の神様です。

牛よりも一回り大きいそうで、
鳴き声はチャウメラ(チャルメラ?)のようで
夕暮れに庭火をたくとその光に徘徊するのだとか。

(夕暮れのマジムン出現率高し!
昼と夜の狭間…アコークローってやつですね…)

 

この神様が出現すると皆、地に顔を伏せて畏敬するので
誰もその姿を見たことはない…

のですが、
作者の佐源汰は

「これ作りものじゃんって言ったらきっとめっちゃ怒られるよねー。
だから大和人が近づくことを嫌うのかー」

 って書いちゃってます。

 

 

(つづく)


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尚宣威王の秘密

2018年07月15日 | ・和心な本、琉球な本

 

第二尚氏2代国王・尚宣威。

金丸(尚円)の弟で、ともに伊是名を脱出。
金丸の死後、世子である尚真がまだ幼少だったことから
暫定的に王位につきます。

しかし、半年後の即位式で神に拒否され失脚。
越来グスクに隠居し、失意のうちに亡くなったと言われています。

このエピソードからも
同情を感じざるを得ない人物の一人です。

『中山世鑑』などでも神に忌避された理由として
何も尚宣威に徳がなくて神に憎まれたのではなく、
ただただ尚真の徳が高かっただけなのだ(意訳)
と尚宣威について決して悪くは述べていません。

人間的にも優しい人、素直な人、まじめな人
というようなイメージがあります。
(『琉球歴女の琉球戦国キャラクター図鑑』でもそんな感じで描きました)

 

みなさんはいかがでしょうか。

 

 

さて、
そんな尚宣威のイメージをがらりと覆す
ある口伝があったのでご紹介しましょう。

 

琉球王国三大妃 先祖代々伝わって来た琉球王国継続継承の裏方

『琉球王国三大妃』
(金城昌永著/新星出版/2017)

 

この本は筆者が母から聞いたという、
寵一族(大宗良壁上間親方長胤)に伝わる
口伝言説を記録したものです。

通説と違うこともあろうでしょうがご了承ご理解ください
と筆者も断り書きしているので
一つの伝承として読んでみましょう。
(私個人的には口伝伝承大歓迎

 

それでは要約。

 

金丸と、伊是名からの妻、その子供たち、
そして宣威は西原の内間で一緒に暮らしていた。

そのうち、例のクーデターが起き、
金丸は尚円として王に就くことになる。

その際に結婚したのがオギヤカ(※)

※尚円の王位は7年なので、
尚真が即位した時に12(13)歳だったことを考えると
即位してから結婚というのは本当は計算が合わないのですが

 

尚円はオギヤカを愛で、首里に在中していることもあり
内間の家族を顧みることが減っていった。

 

そんな状況をいいことに、
尚宣威は一緒に住んでいた金丸の娘に手を出します(!)

 

そして生まれたのが、
あの居仁と朝易(!!)。

 

しかしそれが兄(金丸)にバレると大変!
(いや、2人も生まれてるんだから普通にバレるだろ!)

 

そこで宣威が取った行動とは。

一緒に住んでいた金丸の妻(元々の妻)と、
自分が手を出した金丸の娘を暗殺(!!!)

 

そして、
それをオギヤカのせいだとします。

 

かねてから王位を狙っていた宣威
そうすることでオギヤカの子(尚真)の王位継承権を失わせ、
自分が次の王位につく…という算段だったのだとか。

 

しかし、そのことを知ったオギヤカは激怒!!

そのうち自分や尚真などの命も狙われるのでは…と
尚円に相談。

敵討ちの機会を待ちます。

 

そして、その敵討ちというのが、
例の即位式での神からの忌避というもの。

オギヤカは見事、金丸の元妻子の仇を討ち、
自らへの危険も除去することをに成功した…

 

 

…って、
いやいやいや、これ敵討ちになってるか?

 

うむ。

しかし、この本によると、
オギヤカは、


心が純真で
日々子育てと神人の取りまとめをし、
夫(尚円)の健康をいつも気づかい
心が広くて優しい妃

だったようなので、
敵討ちというのもこれくらいで良かったのでしょうかね…

 

でもそう考えると
尚真の妻に居仁を迎えた…というのも
これまでと少しちがった動機が見えてくるの
これはこれで新鮮ですね。

 

その他にもいろいろ書かれてるんですが
(オギヤカ以外に尚元王妃・尚久王妃。どちらかというとそっちがメイン
ちょっとこの本の文章、すごい読みにくくて
(主語述語とか句読点とか言い回しとか色々)

 

今回は尚宣威の部分を要約アレンジでお伝えしましたが
興味ある方は直接読んでみてください。



 

なお、尚宣威のお墓は沖縄市にあります

…が、1979年に行われた学術調査では
その証拠は見つかっていません。
(※ただし子孫の向姓・湧川門中はここを尚宣威の墓としてあがめています)

尚宣威の墓はこことは別に
沖縄市の津嘉山森という説や
北谷グスクだという記録もあるようです。

(参「尚宣威王の墓/沖縄市教育委員会/1980」)


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『ヒストリア』で感じる、現代史のリアル

2018年02月06日 | ・和心な本、琉球な本


↑クリックで角川サイトにジャンプ
 

池上永一さんの『ヒストリア』(角川書店)を読了しました。

 

年末に半分読んで、

その後いったん別の本数冊に流れて(汗)

そしてつい先日、残りの半分を一気読みしました。

 

 

物語は沖縄戦から始まります。

そこでマブイを落としてしまった主人公の女の子、
知花煉(れん)

そして戦後のコザ、

そしてボリビアへの移民。

そしてペルーなども含めた南米の歴史・文化・政治、
当時の米ソ冷戦やキューバ危機などの世界史を絡めた
壮大な物語でした。

 

感想を一言で言うと、

 

『痛い』

 

「現代」という時代を扱っている分
とてもリアルで、痛いのです。

それを考えると
琉球史って、やっぱりある意味ファンタジーなんだな
っていうのをすごく感じます。

例えば、
尚巴志の北山戦のシーンと、
沖縄戦のシーンでは
感じる生死や痛みのリアル感が全然違うもの。

だからやはり
ファンタジー・物語だと単に割り切れない
時代が近い『ヒストリア』の世界はどうしても痛みが伴うのです。

 

特に最後の最後は惨憺たる気持ちになりました…。
(そして現在(リアル)の沖縄に落とされるっていうね…)

 

 

でも、暗くてリアルでシリアスで
真面目でしんどいだけの物語かというと、
そういうわけではなくて。

 

やはり池上小説らしく、

主人公はやっぱり破天荒だし、
チェ・ゲバラと恋に落ちるというぶっとび設定もでてくるし、
サブキャラたちは魅力的だし、
上がっては下がるジェットコースターの物語展開は
『テンペスト』並みか、それ以上か…。

 

特に主人公とマブイがどんどん交差していくところは
すごく巧みで、すごく小説らしく、唸りました。

リアルゆえの痛みを感じながらも
どんどん読み進めていけたのは
やはり池上小説の妙・面白さゆえかなと思います。

そういえば今回は異常変態キャラがいなかったのも良かったな(笑)

 

『ヒストリア』の間に読んだ『走れ思徳』と比較するのもなんですが、

どちらも世界史という題材を扱いながら、
小説として面白く読み進められたか、否かは、
ちゃんと主人公たちがその歴史の流れの中に入って行って
魅力的な物語を展開できていたかどうかの差、ですねぇ。

登場人物たちの魅力、
物語展開の面白さ、
展開のリズム、
やはり、さすが池上小説は違うなと感じた次第です。

 

 

ところで、この本の表紙はチェ・ゲバラの肖像になっていますが
個人的には、彼はそんなに…でした。

 

確かに物語で必要なキャラではあったし
ぶっとび設定も作れたけれども、


表紙が彼の肖像であることで
意外性があって興味もひいたので
決して必要なかったとは言わないけれども、

 

…思ってたよりも(表紙にソロで出るほどの)
インパクトや魅力はなかったかなーと思いました。

(単にこういう人は好みではないというのもあるかも?(笑))


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『百十踏揚』続編、『走れ思徳』読了

2018年01月25日 | ・和心な本、琉球な本


琉球史題材の小説を読み始めて、
もうすぐ10年になるけど、
マイフェイバリット小説は

相も変わらず、更新されることもなく
『琉球王女 百十踏揚』と『テンペスト』。

 

その『百十踏揚』の続編、
『走れ思徳』が
琉球新報で連載スタートし、

50回分を一気読みした後は
やっぱり細切れではなく
本としてまとまった状態で読みたい、

ということで新聞では読んでいませんでした。

 

時は流れ、
いつの間にか連載は終了していたらしく、

じゃあ、単行本が出るのを待とうかと
こまめにチェックしていたのですが、

これまたいつの間にやら先月に発行されていたようで、
年が明けて、
発行日より
3週間遅れで
本土のフォロワーさんのツイートで知りました(不覚)。

夜でしたが、そっこーで買いに行って、
翌日、祝日だったのをいいことを読書タイム。


2日で読了しました。

 

読了から2週間以上たってしまいましたが
レビューを書いておこうと思います。
(※ネタバレ注意)

 


前半はこれぞ与並節!という
人物描写や史実の背景描写(史実とフィクションの融合)
が絶妙ですごく面白い。


なるほどそう来るかー!
ってなったり。
これをこう持ってくるかー!
って腑に落とされまくりで悶えました(笑)



帯にも書かれていたので言っちゃいますが、


実は阿摩和利が生きていた!

という部分を新聞の50回一気読みで読んだときは


本当に

ぶはぁっ゛;:゛;`(;゜;ж;゜; )!!

てなりましたもんね。



「百十踏揚」の時よりもワイルドになっててカッコイイ。


また「百十踏揚」では
黒幕一辺倒だった金丸についても
それなりにフォローも入り、
クーデターに関しても「なるほど」と思えるような
単なる悪役ではない金丸像が語られていて良かったです。

 

もちろん百十踏揚や主人公の思徳、
思徳の世話係の田場大親や
安慶名、
そしてまさかの
御茶当真五郎再登場!
そしてまさかの
メインキャラ入り!!
にはテンションが上がりました


金丸の密偵・真五郎と、
御茶多理山の真五郎の墓(それに伴うマジムン的な真五郎)
の伝説のイメージの差異も
まさかそういう感じでつなげるのかと、
読んでて「ぬあーーーっ!?Σ(゚Д゚;)」ってなったし、

尚真の正妃が尚宣威の娘である事の理由とかも唸った。

オギヤカも登場し(セリフもあり)
芥隠とのやりとりでは新たな彼女像が
ちらりと見えたところがすごい良かったです。 


あいかわらずうんちくは多いですが、
想定内でもあるし、

「百十踏揚」を読んだ時よりは私も琉球史の知識は増えてきているので
それなりに苦になることなく読むことができましたよ(´∀`*)

 


 

ところが。

 

 

主人公たちが琉球を離れ、

物語の舞台がシャム(タイ)に移り、
更にそこで彼らが定住し始めると、
とたんに

読者おいてけぼり状態

に。

 

南蛮の政治情勢や歴史のうんちくが
わんさか出てくる、出てくる。
もちろん物語の背景として
ある程度の説明は必要なのかもしれませんが、
それはもう、うんちくがメインという勢いで、
淡々と、そして延々と、延々と続き、
正直辟易しました。


え、思徳たちは一体どこへ…???


例えば、
新たにシャム人の主要登場人物が出てきて
思徳たちと絡んで一緒になって
なにかしらのドラマが繰り広げられる…
というのなら分かりますが、
そう
いうわけでもないので全然ついていけない。


琉球の南蛮貿易についてのアレコレ、
南蛮貿易における琉球人のアレコレについては

実は去年、ある琉球史講座を作るために
少し集中して知識を入れてて
それなりに分かってはいたのですが、
シャムやマラッカ内だけの、
いわば世界史だけで、
しかも物語としてではなく
説明文だけとなるとお手上げ状態だよ
 


最初は理解できなくても流し読みはしていたのですが、
正直、最後らへんはもうページごと飛ばしてました


うーーーん、
そんなこともあってシャムでの
思徳たちは印象は薄く、
出世はするけどなんかあまりにも都合もよすぎてて
リアリティと
魅力に欠ける感じがしました。

晩年に琉球に帰ってきた時は、
お、もしかして…?と少し期待したんですが、
なんとなく消化不良な感じ…。

 

ただ、
御茶当真五郎は
最後の最後までかっこよかった。

個人的には
主人公・思徳よりもキャラも印象も濃く、
魅力的だと思いました。

 



 

というわけで、
私の感想をまとめると、


前半は「百十踏揚」の続編らしいが
後半は別物で、置いてけぼりを喰らう


かなぁ…。

 

やっぱりフェイバリット小説は
『百十踏揚』と『テンペスト』のまま
更新されず、ですね。

 

 

+ + +

 

 

ところで。

百十踏揚の子って実は謎で。

大城賢雄の子孫はいるけど、
それが百十踏揚との子によるものかどうかは
夏氏の家譜が残っていないので
確かはっきりしてなかったはず。

伊波普猷の『阿麻和利考』には
鬼大城と百十踏揚のあいだにできた子の末裔云々…
っていう記述がありはするけど。

戦前まで家譜が残っていて伊波が実際にそれを見ての記述であれば
確かにそうなんだろうけど、
『阿麻和利考』にそうと書いてあるわけではないので
やっぱり根拠ははっきりとは分からない。

個人的には、
もし百十踏揚に子があったのであれば
(相手が阿摩和利であれ、賢雄であれ)
それは伝承なり言い伝えなり、
何らかの形でもっとたくさん伝わっていると思うんだけど
そういう話は全く聞かないし。

だから賢雄の子孫というのが百十踏揚との子経由なのかは
個人的にはどうかな?と思ってはいます。

(賢雄は百十踏揚と結婚する前に既に奥さんはいたようなので、
子孫はその奥さんとの子経由と言う可能性も大いにある)

 

この件に関してはこの記事のコメント欄もどうぞ

 

でも、実は本当に賢雄と百十踏揚には子がいて、
でも、現在はその存在ははっきりとしてなくて。

でも、それは小説『百十踏揚』で描かれているように
百十踏揚が思徳との縁を切ったから、かもしれないし、

小説『走れ思徳』で描かれているように、
思徳が琉球を離れシャムに帰化したから、かもしれない、

と考えると…。

 

そういう「賢雄と百十踏揚の子」という存在の謎についても、

『走れ思徳』の世並節で、私はまた一つ、

府に落とされるわけです。

 

 

 

+ + +

 

 

おまけ。

この本の最後に出てくる
シャムの琉球人の像、写真で見たことあります。

これが琉球人???と思えるようなビジュアルで
八の字困った眉毛の表情が漫画みたいで面白いです( ̄m ̄*)

カタカシラでも琉装でもないので
見るだけでは100%琉球人だと分かりません(笑)


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漫画「琉球のユウナ」

2017年11月17日 | ・和心な本、琉球な本

 

Twitterで周ってきたマンガ情報☆

『琉球のユウナ①』(響ワタル著/白泉社)
(↑画像クリックでamazonにジャンプ)

 

尚真王代を舞台にした
琉球ロマンティックファンタジー

 

読んでの感想は、

 

まさに

 

琉球
ロマンティック
ファンタジー

でした!

 

そして

まぎれもなく少女漫画(ここポイント)

ということ(笑)

 

少女漫画だから、
ヒーローのかっこよさで
キュンキュンさせるのは絶対条件!(笑)

 

尚真王、
こりゃ惚れるわ(笑)

 

 

ストーリーの原作(案)者がいるわけでもなく、
漫画家さんが沖縄出身というわけでもないので
かるーくそれっぽく琉球エッセンスを入れただけだったりして…
と思ったけど、

結構色々調べられてて
(巻末に参考文献一覧あり)、

袖結いや民家の内部やちんすこうなどの風俗をはじめ

クーデターの事や、尚宣威のこととか、中央集権とか、
モテ男父王(金丸)のことや、琉球の祭祀など、
歴史エッセンスも思ってたよりも入ってて
気に入りました

 


うへー!(笑)
ってなったシーンもあったけど。

いや、でも面白かった☆

 

 ↑茅葺、竹の床にチニブ

(↑ほぼ持ってる♪)

 

描けるところはなるべくしっかり描きたいって
こだわっているのが分かりました★

一方で、首里城のビジュアルとか、
歴史的に違う面もありますが(尚真代は今と違ってNO瓦屋根)
でも、おそらくそれは作者の確信犯部分なのかな、と。

読者が全国区である限り、
歴史的事実と、一般的な琉球(沖縄)イメージ像と、
分かりやすさと、少女漫画的ビジュアルと…
というようなバランスというか、
調整は必要だったでしょうし、

ホントは当時は違うって知ってるけど
漫画では(作画では)敢えてこうした、
ってところはあるんだろうな、
と想像しました( ˘ω˘ )♡

 

まったく琉球の歴史を知らない人でも楽しめる、
そして琉球の歴史に興味を持ってもらえるような
そんな漫画じゃないかなと思いました♪

 

 

≪追記≫
琉球のユウナ2巻レビュー → 

 

 

+ + +

 

 

 

ところで
少し話は変わりますが、
琉球女の子キャラについて
私が常々思っていることがあって。

 

(特に)本土の人が描く琉球女の子キャラって
3大特徴があって、

1 ハイビスカスの髪飾り

2 紅型着物

3 露出多め(ミニスカートや胸はだけ)

なんです。

 

オプションアイテムとしては

花笠、シーサー

とかね。

沖縄の人でもちゃんと歴史に興味を持ってない人はこのパターンかな…

 

もう、判を押したかのように
このパターンの多いこと多いこと。

あまりにもワンパターンすぎて
かえって新鮮さやリアリティがなくなっていると思います。

(琉球を表現するモチーフ、
もっと色々あるよー!

 

なので、萌えなキャラでも全然いいんですが、
琉球の女の子キャラを作るときは

せめてこの3点セットのうち
1つ(できれば2つ)は別のモノに置き換えると
少しひねり技を効かせることができるので
いいと思うのですよ。

例えばハイビスカスを別の花(デイゴとか)に
替えるだけでも結構変わるはずです。

なのでこの漫画の表紙も
ハイビスカスじゃなくてユウナにしてほしかったな…。
(物語にはユウナの花がちゃんと出てきてるだけに惜しい…)

(なお、本編ではミニスカ着物ではあるけど、
ユウナちゃんは基本、紅型もハイビスカスもつけてません)

 

(LaLa編集部のツイートより。クリックでジャンプします)

 

そういう意味では、こちらの画の方が個人的には好きです
三大ワンパターンを外しつつ琉球感はばっちり☆


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なるべく古い本を探して、

2017年06月20日 | ・和心な本、琉球な本

前記事の続き

 

 

琉球の通史があらかた頭に入った今でも
通史の本を手に取ります。

その本が、古ければ古いほど惹かれます。
(もちろん私が読めるレベルのもので)

 

『琉球王朝史―おきなわの民と王―』
(川平朝申著/月刊沖縄社/1970)

 

紙はすっかり赤茶けて
古本の独特なにおいがします。

もちろん本屋さんなどにはありませんので
基本、地域の図書館などで発掘します。

(そして気に入ったのがあれば
沖縄本専門の古本屋さんやネットなどで探します)

 

通史なので、
もちろん大筋は同じなのですが、
こういう本には
古い伝承や写真や資料が載っていることも多いのです。

 

前記事の尚徳の書の写真は
こちらの本に載っていたもの。

 

 

昔の安里八幡宮。

今の安里八幡宮はこちら

 

最新の研究が反映された
現代感覚にあった琉球史本も
もちろんいいのですが、

古いものにも
新鮮な発見が隠れていることも多いものです。

 

 

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中国から見た古琉球の世界

2016年11月29日 | ・和心な本、琉球な本

 

『中国から見た古琉球の世界』
(孫薇 著/琉球新報社)

 

読了しました!

見方を変えると違った事実も見えてくる。
外国(中国)から琉球はどう映っていたんだろう?


琉球を語る上で中琉関係は避けて通れない事項なので
これまでもいろんな本で読んではきましたが、
実際の中国の人が書いた本、ということで興味がわき購入。

難しいかな…?と思いましたが、
思っていたよりも読みやすかったです。

 

個人的に興味深かったのは、
いろんな使者たちの固有名詞がたくさん出てくること。

名前があるだけで、その人個人の存在がよりリアルに感じられますよね。

 

それから三山時代の王たち。
汪応祖、察度、武寧、他魯毎、攀安知などなど、
朝貢という記録を通して、
この人たちの新たな一面を垣間見ることができました。

特に武寧は良かった。
今ならまた違った武寧が描けるかも。

それだけでもこの本を読んでよかったな、と。

 

もちろん、これも中国側から見た琉球の一面。

これが琉球の全てではありませんが、
新たな発見や新鮮さが味わえるかもしれません。

 

 

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護佐丸全集

2016年11月06日 | ・和心な本、琉球な本

 

琉球史関係の書籍が充実している
宜野湾市にある古本屋「じのん」。

そこで、ずっと探していた本を
ついにゲットしました!

 20年前に出版された、

 

『護佐丸全集 上巻』
(新垣正雄 編著/沖縄文教出版社/1996)

 

後の、『護佐丸伝』↓

 

 

今回、
じのんのオーナーに聞いて初めて知ったのですが、
最初、続編(下巻)も出す予定で上巻として出したこの本。

しかし、ご本人が亡くなってしまい、
この上巻を『護佐丸伝』と改名して再出版したのだとか。

だから装丁は違うけど、中身は一緒。

 

この本は護佐丸、阿麻和利について
いろんな本や説・主張を紹介、引用しながら
ご自身の主張をしているので
1冊で色々な資料を読むことができる便利な一冊です。

 

編集後記に、

私がもし、阿麻和利伝を書くとすれば
従来の阿麻和利論などとはほとんど別の立場から
阿麻和利をほめたたえるであろう。

とあります。

読めなかったのが残念だなぁ、、、
と思うのです。

 

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