がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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肝高の阿麻和利を初観劇する時の事前情報集(特に県外の方)

2010年01月03日 | ・肝高の阿麻和利、初観劇の時の事前情報集

県外公演も積極的に行っている肝高の阿麻和利の舞台。

 

県外公演。

2009年夏の東京公演にも観劇に行ったワタシですが、
一般の県外のお客さんと混じって客席にいると、
さまざまなつぶやきや反応が伝わってきます。

やはり、県外の人が観劇してつまづきとなるのが台詞(言葉)でしょう。

肝高の阿麻和利は琉球史劇であり
踊りや言葉など伝統芸能も組み込んだ舞台なので
県外の人が観劇する際につまずきを最小に抑えるためには事前情報も必要かと。

そこで、
「(特に)県外の人が観劇するときの事前情報集」
を勝手にやらせていただきまーす
(※字数制限で1つにまとめられなかったため、時間設定操作により、この記事の下に来るようにしてあります。)

 

ただ、ネタバレが100%嫌だ!という人は見ないでくださいね
(でもワタシはストーリーを頭に入れてから見たほうがいいと思う…)


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肝高の阿麻和利、観劇するときの事前情報集1

2010年01月03日 | ・肝高の阿麻和利、初観劇の時の事前情報集

肝高の阿麻和利
「(特に)県外の人が観劇するときの事前情報」

※注意※

「(特に)県外の人が観劇するときの事前情報」はワタシの独断によるものです
大筋の把握、くらいに捕らえてください。
また、ネタバレは嫌っ!という方は見ないで下さい。

文中の解説や紹介は、肝高の阿麻和利の舞台に合わせたものです。

なお、肝高の阿麻和利公式HPはこちらから
(こちらは解説とともに、舞台写真などが見れます)

では、長文でーす。

                        

 

【主な登場人物】

① 阿麻和利(あまわり)
もともとは北谷間切屋良村(現嘉手納町)の生まれだが
親に棄てられ、海賊たちに拾われて明国へ渡り、その後勝連へ戻ってくる。
童名は加那(かなー)。
当時、悪政を働いていた勝連城主、望月按司を追い出し、人々に求められて勝連城主となる。
盛んに海に出て貿易を行い、勝連を栄えさせる。

② 百十踏揚(ももとふみあがり)
琉球国王、尚泰久の娘。護佐丸の孫。いわば政略結婚として阿麻和利に嫁ぐ。
神女の最高の位である聞得大君(きこえおおきみ)についていた。

③ 大城賢勇(おおしろけんゆう。別名/鬼大城・うにうふぐしく)
首里城府に仕える武将。百十踏揚とは幼馴染。
百十踏揚の降嫁に際して、守役として共に勝連へ渡る。
同時に、金丸の手先としてスパイの役割を担う。

④ 金丸(かなまる)
首里王府の策士。
首里王府とは別に強大な力を持つ護佐丸と阿麻和利を快く思っていない。

⑤ 護佐丸(ごさまる)
首里王府に仕え、琉球統一の前から活躍しているナンバーワン武将。
中城城主として強大な力を持っていた。百十踏揚の祖父にあたる。
(※舞台には登場しません)

⑥ 尚泰久(しょうたいきゅう)
この時代の琉球国王。百十踏揚の父。護佐丸は義父にあたる。
阿麻和利と護佐丸については策士・金丸に任せる。

⑦ 平安座ハッタラー(へんざはったらー)
あの世とこの世の使い人。
ひょうきん者で物語を案内していくストーリーテーラー。

⑧ 長者の大主(ちょうじゃのうふしゅ)
長老的存在。

⑨ 肝高の子(きむたかのこ)
現代の子ども。幻の村祭りの噂を確かめようと夜の勝連城址に忍び込む。
ここで阿麻和利の乱の真実をしるべく巻物を渡されて…!?

 

【人物相関図】

こちらのサイトをどうぞ♪

 

【肝高の阿麻和利ストーリー】

幻の村祭りのうわさを確かめようと夜の勝連城址へ忍び込んだ二人の子供。
そこでまさに「幻の村祭り」を目撃する。
しかし、さなかに現れた肝高神のお告げにより、逆賊として伝えられている勝連城主阿麻和利について
真実を読み解いてほしいと巻物を手渡される。

おそるおそる巻物を広げた子供。

時代は約550年前にさかのぼる。

精霊たちの歓迎を受けながらサバニで勝連の浜へたどり着いた阿麻和利。
そこで、酒に酔い悪政を行っていた望月按司に虐げられていた勝連の民と出会う。
仲間に加わった阿麻和利は奇策をもって望月按司を追い出すことに成功。
阿麻和利は勝連の民に求められ、そのまま勝連の城主となる。

そして栄えていく勝連。

一方首里では策士、金丸が知恵を巡らせていた。
首里王府を脅かす存在である中城の護佐丸と勝連の阿麻和利をなんとかしなければ。
一刻もはやくこの脅威を除く必要がある。
琉球王国という統一国家となった今、王府と同等の勢力が国内にあるとなると
明国(中国)からなんと思われるか…。

しかし、護佐丸は身内であるし何よりもう戦はしたくない、と渋る尚泰久王に対し、
阿麻和利を利用し、共倒れを狙おうと訴える金丸。
しかし、そのためには王女、百十踏揚と阿麻和利の政略結婚が必要不可欠であった。
百十踏揚の幼馴染で武将の大城賢勇を守役につけ、百十踏揚は勝連へと嫁入りする。

阿麻和利と百十踏揚。政略結婚で結ばれた二人ではあったが仲を深め、幸せな日々を送っていく。

そんな幸せの日々もつかの間。
金丸がいよいよ動き出す。

お盆の宴のさなか、首里から急ぎの知らせが阿麻和利のもとへ。

-護佐丸が謀反を企てているゆえ、急ぎ軍備を整えて討伐せよ-

驚きを隠せない阿麻和利だったが、王の命令には逆らえないと、
止める百十踏揚を振り切って護佐丸を討伐する。

策は成功した。
次は急いで阿麻和利を打たねばならぬ。
金丸と大城賢勇が再び動き出す。

勝ち戦の宴と称して刺客を踊り子にまぎれさせて阿麻和利に近づけよう。
そして強い酒を阿麻和利に飲ませ、酔ったところを刺し殺させよう。
なに、世間には護佐丸の子が親の敵を討ったと言いふらせばいい。

そして、阿麻和利最期の時がやってくる…。

 

【知っておいたほうがいい単語】

① 勝連(かつれん) → 沖縄本島の中部東側の勝連半島の地域。地町村合併により、現うるま市勝連。
② グスク → 城のこと。舞台の中では「勝連城」を指している
③ 勝連城(かつれんじょう・かっちんぐすく) → 勝連にある城。「琉球王国のグスクおよび関連遺産郡」
                                の1つとして世界遺産登録されている。
④ 按司(あじ・あんじ) → その地方の領主。城主。
⑤ 按司加那志(あじがなし) → 按司様。加那志は敬称
⑥ 肝高(きむたか) → 志が高い。勝連城・勝連地域の美称



【当時の時代背景(琉球情勢)】
1450年代が舞台。日本は室町時代ごろ。
当時、琉球は三山統一(琉球版天下統一)がなったものの、
相次ぐ王の交代や王位継承争いなどの内乱もあり、王府としての基盤は十分ではなかった。
地方には中城や勝連などの有力按司もおり、琉球王国としての情勢は不安定だった。


【琉球史で見る護佐丸・阿麻和利の乱とは】
1458年、護佐丸・阿麻和利の2大有力按司が、相次いで滅んだ事件。
天下統一の野望を抱いていた阿麻和利は、まずライバルである中城の護佐丸を討とうと考えていた。
そこで、護佐丸が首里王府に対して謀反を企ている、と王に告げる。
王は最初信じなかったが、中城に密偵を送ると阿麻和利の上告通り中城では軍事訓練を行っていた。
あわてた王府は阿麻和利を総大将として、中城を攻め滅ぼさせる。
護佐丸は攻めてきた軍が王府だと知ると、君主に逆らえないと歯向かうことなく自害した。
邪魔者を討った阿麻和利は、次は首里だと勇むが、
その計画を事前に察知した大城賢勇と百十踏揚が共に勝連を脱出。
百十踏揚から情報を得た王府は、阿麻和利にだまされたことを知り、
(実は護佐丸の行なっていた軍事訓練とは、王府ではなく阿麻和利に対する備えであったのだ…)
大城賢勇を総大将にたてて王軍を派兵。阿麻和利を攻め滅ぼす。
護佐丸は阿麻和利にはめられ攻められたが刃向かわずに自害した忠臣として、
阿麻和利は王府をだまし、王府に刃向かった逆賊として長い間伝えられ続け、
組踊「二童敵討」のモデルにもなっている。

 

【近年の護佐丸・阿麻和利の乱に対する見解】
勝連では阿麻和利を誇り高い英雄だと称える神歌(おもろ)が数多く残っており、
正史が伝えているような単なる逆賊とは言えないのではないか。
歴史は勝者の側から書かれるものだから、阿麻和利=逆賊だとは単純に言えないのではないか。
ひょっとすると、琉球王国として確固かる基盤を固めたい首里王府が
二大勢力として首里を脅かすほどの力をつけていた中城と勝連を排斥しようとする陰謀があったのかもしれない。
(※肝高の阿麻和利は、この見解に基づいた勝連のヒーローとしての阿麻和利像を描いています)

 

その②(下の記事)へ続く↓


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肝高の阿麻和利、観劇するときの事前情報集2

2010年01月03日 | ・肝高の阿麻和利、初観劇の時の事前情報集

【つまづきやすい場面の台詞】

方言の台詞であったり、聞き取りにくい場面だったりを取り上げました。
※ワタシの記憶にたよったものなので正確なものではないかもしれません。大筋を知る程度…と捉えてください。
(2012追加・修正)


① 幻の村祭り(最初)

「幻の村祭り」の噂を確かめようと、夜の勝連城址に忍び込んだ二人の現代の子供(=肝高の子)。
そこで出てきたのは真っ白い髭のおじいさん(=長者の大主)と数人の踊衆たち。

「私は勝連の長者の大主だ。
今日の良き日に勝連城の復元も進み、この肝高の勝連城が世界の御宝に選ばれて、文化遺産にあげられて、
まことに我らの誇りとなった。実に喜ばしいこよのう。
さあ、みんな。今日のこの良き日、今日の喜び、心をこめて祝い、踊ろうではないか」

そして祝いの席で踊られる琉舞の定番「かぎやで風」を踊る。(※歌詞はアレンジされています)

するととたんにあたりが暗くなり、稲光が。
見るとグスクの上に肝高神が。

「私は肝高の御嶽の主だ。
ああ、村人が村祭りで祝い踊り、実に喜ばしいことよ。
しかし、わしはただ一つ、とても残念なことがある」

「肝高の御神加那志。その残念な訳を教え給え」 ※加那志は尊称

「ではこれから言うことを良く聞け。
他の事でもない。この勝連を収めていた阿麻和利按司のことだ。

首里の王府の企みによって、謀反人、逆賊とあしざまに言いふらされて、
その傷はまだ消えることがない。
阿麻和利の魂は未ださまよっておる。

ああ、それが、残念、まことに無念。

そこで、この阿麻和利の乱の真実を書き記した巻物、
これを読み解き、阿麻和利の乱の真実を世に広め、阿麻和利の無念を晴らすのだ」

そこで、その阿麻和利の乱の真実を書いたこの巻物を遣わす。
肝高神から巻物を受け取るハッタラー。

「では、確かに預けたぞ」


ここまでが「ほぼALL方言」で執り行われます。
最初、肝高の阿麻和利を見たとき、「…え。もしかしてこの劇ってオール方言??」って私でもびびったものです。
最初はもちろん、ほぼ何いっているか分からなかったし…
何度か足を運ぶうちに分かってきましたが、県外の人ならたぶんかなりの割合の人がつまずく箇所かと(^^;)

 


② 望月按司を追放する場面

阿麻和利の奇策により勝連で悪政を働いていた望月按司を追放する。
擬似首里軍の攻撃を受けたと思い慌てふためく望月按司。

「申し上げます。あれは首里の軍勢でございます!」
「なんだと!?」
「世間では勝連をお取り潰しにするため、首里が戦を仕掛けるとの専らの噂でございます!」
「何!?おまえたち何か知っておるか!?」
「いいえ何も知りません。しかしあれは確かに巴の御紋。首里の軍勢に間違いございません!」
「えーい!役たたずめが!わしは知らん!何も知らんぞ!誰かおらぬか、誰か!おらぬのか!?」
「望月按司様!ここはいったん手前の船で津堅島の沖までお逃げあそばしませ!」
「船はあるのか!?」
「手前の船が南風原の浜につないでございます。お急ぎどうぞこちらへ!」
「よし、逃げるじゃ、逃げるのじゃ~!」

…たぶん、こんな感じ。
ここはかな~り慌てふためいている大混乱の場面で音楽も効果音もかぶって言葉が聞き取りにくいのー。
まぁ、だいたいこんな粗筋です。
でも擬似首里軍の演舞。私が1番好きな場面です♪

 

後々気づいたことがあったら随時追加するかもしれませんが、
今のところはこんな感じです。

なお、「ねりまの阿麻和利」という、肝高の阿麻和利を応援しているサイトでも
地図もあったりして解説が詳しいのでこちらもあわせてごらんになるといいかも知れません


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