北山の風~今帰仁城風雲録~
2017年10月14日(土)
今帰仁城址
久さびに観に行ってきました、北山の風!
北山の風は、
おそらく、私が最初に
「歴史の見方の面白さ」
を実感した舞台だと思います。
北山の風がスタートする前に
既に尚巴志の舞台はあったのですが、
同じ出来事、同じ人物でも見方を変えればこうも違う、
という面白さ。
同じ現代版組踊というシリーズの中で(ここがポイント)
相反するこのような舞台があることはとても貴重だと思います。
それが歴史の楽しむということに繋がっていると
ワタシは思います。
(だから個人的には鬼鷲では北山組をヒーローにする必要はないと思ってます。
鬼鷲でのヒーロー(正義)はあくまでも尚巴志であってほしい!)
前のワカチャラ観劇の時もそうでしたが、
見終わった後、
ああ、ワタシ、今、すっごく歴史を楽しんでるな、
沖縄に生まれてよかったな…
という思いをひしひしと噛み締めています。
なので片道1時間半以上の道のりも
ラジオもつけず、音楽もかけず、
まったくの無音で余韻に浸って帰りましたよ。
そんな、久しぶりの北山の風、
いったいいつぶりだろう?
とブログを振り返ってみたら
なんと4年前(!)
(この時以来)
いつの間にこんなに月日が流れていたのか…。
4年もたてば変化も大きいだろう
ということで、
今回はその変化を中心に
書いていこうと思います。
+
まず、第一印象。
男の子、増えた!!
一時期、人数も減って
ある意味存続が危機と聞いていた時期もあったのですが
見事に復活!!な印象。
メインキャストの
攀安知、本部、謝名、紀秀先生、
そして尚巴志なども男の子!
男の子たちは背も高くて声もしぶかった。
いつだったか見た、
あの時小学生だった男の子たちが
そのまま高校生になっているんだろうか?
そうだとしたらこれほど頼もしいことはありません
+
冒頭の総演舞、
「出発の朝~北山の風バージョン~」
で華やかに始まったとたん、
ああ、そうだったそうだった、懐かしい~!
と、かつての記憶が一気にフラッシュバック。
オープニングと同時に雨が降り出したのには
マジかー!?
と思いましたが、
幸い、このひと時だけですみました(安堵)。
+
門番のうしーとうまー。
コミカルなキャラ設定で
舞台の中で笑いを取る部分でもあったのですが、
だいぶあっさりになってました。
本部に
「門番の、うしーと、」「うまーです」
と自己紹介するシーンもなかったので
笑えるシーンは舞台を通してなかったかな。
そういえば後に再登場して
逃れた千代松を探しに来た時に
謝名に殺されるシーンもなかったです。
刀を全く扱えてない感じがかわいかったのですが。
(これはホール公演オンリーの場面かな?)
うしーとうまーと言えば、
パンフレットの人物相関図、
「門番たち:うし、うま、やぎ」
…やぎ!?Σ(゚Д゚ )
今回はやぎはいなかったんですが、
いやん、やぎ見たかったー(笑)
なんかもう、笑えるのが目に浮かぶ(笑)
公演によっていたりいなかったりするみたいです。
+
女性アンサンブルさんは
初めての演舞&衣装が見れました。
千代松の生年祝いの時の舞。
これまでは地元の青年会とかのエイサーだったんだけど
今回は女性アンサンブルで1曲分。
続く中山攻め入りのシーンもかっこよかった!
旗デザイン、変わった?
闇夜に駆け巡る炎の感じが良く出てて
攀安知を囲むところなんかもう、
火攻め感抜群でしたね。
音のアレンジがもうちょっと
重く厚くなるともっと好み
+
攀安知が死ぬシーンは
いつ見ても最高。
ガサシワカチャラのレビューで
好きな死にざまベスト3を描きましたが、
北山の風での攀安知も最高だわ。
「三国一の果報者よ」
などの口上といい、
BGMといい、
刀を掲げたポーズと言い、
ゆっくりと退場していく演出と言い、
とても印象的な死にざまです。
攀安知、惚れるわ。
ただね、
BGMの録音の音がね、
いきなり大音量で入ったり
ぶつっと切れたりするのは
やっぱり余韻を崩すのでちょっともったいない。
生じゃないから細かな調整は厳しいかもしれませんが
フェードイン、フェードアウトなどで
ちょっと調整できたらいいなーと思います。
千代松は幼少期と元服後のWキャスト!
生長し元服したって時の
くるっと演出が良かったな(^^)
演者が変わって声も変わるから
より成長した感が伝わりますね。
(演者さん自身は幼少期を演じた子のほうが年上のようですが。
ごめんなさい、すごい小柄だったので
遠目に小学生か中学生1・2年生?
って思ってら高3でした。
どうりで上手いはずだ(笑))
以前から好きなシーンは
謝名からすべてを明かされて
決意をするシーン。
前までの無邪気で芸事が好きな彼の姿はどこへやら、
一気に一人前の、北山王の世子の顔になる。
敵討ちを思いとどまらせようとする乙樽に、
「分かってください!
君主と生死を共にすることもできず、
一身に私を育ててくれた謝名の想いもむげにはできぬ」
もうね、武士だよね。
千代松のキャラクターは
この一言に集約されているといっても
過言ではないくらい。
そのあとの乙樽の間は…
やっぱりもっと…もっと……とってほしい…。
(音楽との尺の問題で間がとれないのかなー?うーん?
本部と真鶴の「気の回しすぎでした、すみません」の前の間はたっぷりあってグっ!☆)
幼少期の千代松に話を戻すと、
素性を隠して再開する本部と千代松のシーン。
別れる時に本部が千代松に扇子をプレゼントする。
千代松は感じ取ったことをかみしめて
去り際、本部を呼び止めて、
「これ、宝物にするね」
「死んだ父ちゃんに会えたようで嬉しかったよ」
と走り去るのですが。
扇子!!
宝物の扇子!!
再登場、求む!!!
え、した!?しなかったよね??
あれだけのエピソードとモノがあったら
絶対布石だと思うのに
最後の最後までなかったのはもったいなかったー!
え、あった?気づかなかっただけ????
例えば、懐からだして本部の骸に添えるとか、
二人の正体が分かりあうときに扇子が証拠になるとか、
色々おいしく使えるアイテムだと思うけど。
だって宝物にすると敢えて言ったからには
絶対持ってるでしょ。
あんな人生で重要な日ならなおさら。
個人的には、
千代松にそれを使って追悼の舞をするとかして
(これも本部に舞のコツを習ったという前シーンとのリンク)
本部の骸に供えてほしい。
本部が死んだあとの演出も少し変わってました。
ここは中央の真鶴や本部もいいけど、
個人的には謝名と千代松をガン見。
今まで色々なパターンがあったけど。
千代松は本部を刺した時ショックで刀を落とすんですが、
(その時の本部の咳こみと瀕死な感じグッ!)
謝名がその刀を取って鞘に納め、
再び千代松に渡す。
動揺が隠せない千代松ではあったが
どうにか落ち着きを取り戻し、
丸鶴が去ったあと、
骸に手を合わせる、というもの。
千代松のセリフはなし
でした。
+
そしてクライマックスの演舞とダイナミック琉球。
テーマソング、めっちゃ素敵なんですよね。
CD化求む!
(毎回言ってる気がする…)
聴きたいときは以前購入したDVDの
チャプター画面で流れるのを聴いてます(笑)
扇子の舞も健在!相変わらずお見事です!
ダイナミック琉球への流れも余韻が途切れず
スムーズで綺麗だったな。
そしてそして、
挨拶や出演者紹介があって
メンバーさんがはける最後の最後のシーン。
今回の観劇で一番心にぐっと来たのは
実は、この最後の最後のシーンでした。
キャストがペアで次々と退場していくなか、
最後に残ったのは
攀安知でもなく、
本部でもなく、
ストーリーテーラーの新城紀秀先生ひとりだった!
(これまでは最後ではなかった)
そして、その直前に舞台を下りていた
攀安知・本部・謝名が
紀秀先生を振り返って深々と礼をする。
くぅ~!
って内心唸ると同時に、
そっか、そうなんだ……
って涙が出そうになりました。
(今でも思い出したらうるっとくる)
これは北山の風という舞台の立ち上げに
大きく関係してくるんだけど。
ストーリーテーラーの紀秀先生は
この物語の原作者であるお方。
パンフレットにも説明書きがあり、
劇中でも語られるのですが、
戦後間もない、すさんだ時代に、
子供たちに勇気と希望を持ってもらうために
当時教頭だった紀秀先生が制作したのがこの物語。
数十年を経て、
かつての教え子たちが舞台の復活を望んで
平田さんに相談した。
そして立ち上がったのがこの北山の風なのです。
今は亡き紀秀先生がこの物語や舞台に込めた想いや願い、
それを引き継ぐ今の子どもたちの決意と敬意、
そんなことを感じました。
ご存命だったときの紀秀先生の姿や
挨拶が思い出されて
すごく敬虔…というのかな、
そんな気持ちにもなりました。
北山の風の舞台、
これからも大切にしていきたいですね。
いちファンとしてこれからも応援しています!
+
最後に、
4年ぶりにも関わらず、
ワタシのことを覚えてくださっていた
北山てぃーだの会の皆様、
卒業生のみなさん、
色々お話することができて嬉しかったです!
(お声かけ、感謝です!)
あの頃の高校生がもう社会人になり
OB・OGとして後輩の指導にあたったり
それぞれの道で頑張っていることが知れて
頼もしく、とても嬉しかったです!
裏でのサポートお疲れ様でした!
そしてありがとうございました!!
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「首里のへろへろむし(武士)め!」
が健在だったのは
密かに嬉しかったデス(笑)