がじゅまるの樹の下で。

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歴史上の人物の二面性、英雄像と反英雄像

2010年09月10日 | ・琉球史散策/第一尚氏


中城湾と鍛冶場跡

言わずもがな、
琉球史にもたくさんの魅力的な歴史上の人物がいます。

古琉球の時代なら、
もうこのブログを読んでくださっている方ならおなじみの、

阿麻和利(あまわり)
護佐丸(ごさまる)
尚巴志(しょうはし)
金丸(かなまる)
大城賢勇・鬼大城(おおしろけんゆう・うにうふぐしく)
百十踏揚(ももとふみあがり)
尚泰久(しょうたいきゅう)
攀安知(はんあんち)
本部平原(もとぶていはら)
懐機(かいき)
他魯毎(たるみい)
尚真(しょうしん)

などなど…。

(あっ、まだブログに登場してない人物もいるわ



中でも古琉球の3大武将といえば、
やはり現在のネームバリューも鑑みると

尚巴志
護佐丸
阿麻和利

なのでは。



さて、その人物像について、
様々な見方があり、説があるのは当然ですね。

ある面では英雄像があり、
ある面では反英雄像がある。

今をトキメク坂本龍馬だってそう。
新撰組も数々の維新志士や将軍たちだってそう。
日本の戦国時代はわからないけれど、有名な戦国武将だってそうなのでは?

有名になった故、でもあるでしょうね。



舞台や小説などで受けたヒーロー像を、
そのままその人物像として100%受け入れるのもよいですが、

でも、ワタシはもう一歩踏み込んで
様々な説や人物像が知りたいな、と思っています。

どちらか一方的な解釈のみを妄信するっていうのは
場合によっては危険な面もありますからね。

多面的に見ることを心がけてます。


いろんな面や諸説を知った上で、
自分の信じる(信じたい)人物像を、ひとつの“歴史娯楽”として楽しめばいいと思ってます


結構ぶあつくて、2段組。内容や資料も豊富。

さて、こんな本が図書館にあったので
ぱらぱらとトピック読みした末、借りてみました。

「護佐丸伝」
1996年の出版。

著者の新垣正雄さんはは中城村生まれの元、学校の先生。
小学校や中学校の校長先生も務めていたそうです。
この本は自費出版だったのか、今は本屋さんで見ることはない。

この本で初めて知ったんですが、
「護佐丸批判」がはびこっていた?時期があるのだとか?

護佐丸は犬死だ、とか。


中城城の正門

護佐丸といえば、今でも「忠臣・護佐丸」として人気も名高い
古琉球のナンバーワン武将なのですが、
そんな風評がはびこっていた時期があったとは意外です。

著者はその批判に意見すべく、この本をまとめたのだそうです。

まだ読んでる途中ですが、結構興味深いです。
(手元にほしいなと思って本屋さんで探してみたけれどやっぱりなかったです)


中城城には忠魂の碑が建っている

護佐丸批判の背景には、
沖縄学の父、伊波普猷の提唱したおもろさうしを基にした
阿麻和利英雄説があるようでして。

で、その阿麻和利英雄説にも異論を述べています。

まだ読んでる途中なのですが、

阿麻和利を称える数々のおもろさうしは有名ですが、
それらは阿麻和利本人が作ったのでは、
という考察もあるのだとか?
(信憑性はさておき)




リー一行も見た中城城のアングル。

まあ、もちろん真意は分かりませんが、
おもろさうしに称えられている阿麻和利も、
正史に書かれている逆賊阿麻和利も、
どっちも全面否定はできない、というスタンスでした。

う~ん、確かにな~、
阿麻和利、首里城を実際に攻めてるしなぁ。

最初は良君でありながらも、
後々おごり高ぶり…という説も普通に考えられますわな。


中城城正殿跡発掘作業

「金丸はどんな手段で王座についたのか」
では金丸について述べましたが、
金丸だってもしかしたら、本当に正史が述べているような
民を思う誠実な人物、
だったかもしれない。

記事では、
かつて共に尚泰久に使えた鬼大城さえも討伐している
というところに、金丸黒幕像も感じられると書きましたが、

鬼大城が、第一尚氏王統の義理ゆえに
先に決起して兵を仕向けた、
というのではれば
討伐せざるを得なかった金丸の苦難、というのも見えてきますね。

はてさて。



ま、諸説は諸説として学び、
ワタシの信じたい古琉球の英雄像は
小説「百十踏揚」ですけどね!(笑)
阿麻和利も護佐丸も尚泰久も百十踏揚も鬼大城も、皆が魅力的
(金丸は…どうかな(笑))
首里城を攻めたという事実も納得のいく解釈と展開になっております。


まあ、そんなわけで、
歴史上の人物像について色々と学ぶことは
時々ショッキングなこと(笑)もありますが
面白いこともありますよ



というわけで、
明日は世界遺産リレー講座!

「琉球戦国列伝~阿麻和利の章・天下を獲れた男~」

講師は毎度おなじみ歴史家の上里隆史さん。

勝連シビックセンターにて
(きむたかホールの隣)

14:00~16:00です。

入場無料。


中城城の鍛冶場跡

さて、目からウロコの上里さんから、
どんな阿麻和像が聞けるのでしょうか!?

楽しみです


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