がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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天地に燦たり。薩摩、朝鮮、琉球。

2018年09月16日 | ・和心な本、琉球な本


天地に燦たり
(川越宗一著/文芸春秋)


先月読んだ本です。

図書館で借りて読んだので
現在手元にはなく、
読み終わってからの間も空いてしまったので
心に残った文章やセリフの引用もできないのですが、
このブログの読者さんの中には
きっと気に入る人もいるだろうなーと思いまして
軽くでも記事にしておこうと思いました。


先ほど、図書館で借りて読んだ
と書きましたが、
それはつまり貸出期間の中で読み切ることができた、
ということです。
(延滞せずに返却しましたよ)

 

主人公は3人。

島津の武士の樺山久高
朝鮮国の被差別民明鐘
琉球国の官人で探索方の真市

時は戦国時代。

戦に明け暮れる島津、
秀吉の朝鮮出兵、
そして薩摩の琉球への侵攻。

儒教の「礼」をキーワードに、
戦火に包まれる3つの国と、
3人の主人公たちが交錯していく歴史小説。

 

琉球の薩摩侵攻はともかく、
戦国時代かー
島津かー
朝鮮出兵かー
大した予備知識ないし
難しそうだなー
読めるかなー
と思っていましたが……

 

興味深く読めました

 

+ + +

 

私にとって歴史小説と言えば、
がっつり系歴史小説の代表格、司馬遼太郎。
『テンペスト』でおなじみ、エンタメエッセンスが入った池上永一。

どちらかと言えば司馬遼太郎系と聞いていたので
少し身構えていましたが、
確かに(私的には)冒頭の島津の章は
久高のキャラらしく重々しい感じでしたが

朝鮮が舞台になると
明鐘の庶民的で聡明なキャラクターもあって比較的すいすいと。
師匠とのやり取りは、まるで『テンペスト』の麻先生と寧温のよう。

琉球の真市は自国・琉球が大好きなカラっと明るい人間で、
(でも探索方なんだよ)

"うふちぶる我那覇"も出てきたのには笑いました(笑)
後半には謝名親方も出てきます。

 

歴史上の出来事としては
朝鮮(明鐘)や琉球(真市)を蹂躙していく島津(久高)
なんだけど、
久高には久高の苦労や苦悩があって。

とりあえず、
朝鮮出兵ってあんなに長期間やってたんだ
とか
島津としてもかなり追い込まれてたのか
とか
やっぱり島津の強さパネェ
とか
そういうことも知ることができました。

 

こんな感じで知識の浅いワタシなので(汗)
深い読みのレビューは書くことができないんだけど
ワタシはこちらの書評を見て
「よし読んでみよう!」と思ったので貼っておきます↓

 

小説家・秋山香乃が読む『天地に燦たり』川越宗一著 誰も描いたことのない物語

 

ところで、この本を読んでのち、
たべのむらじさん(南九州の歴史専門家)のツイッターで知ったんですが、
薩摩侵攻で大将を務めた樺山久高。
その樺山家の当主は「中山国前大王(尚寧王)」を
今も慰霊し続けているのですね…。

 

該当ツイート

 

この小説をきっかけに、
琉球を攻めた島津軍の大将・樺山久高、から
少し、「樺山さん」とお近づきになれた気がしました。

 

+ + +

 

国がなくなっても民がそこにいる限り、どんな国も造りなおせる

これは『テンペスト(下)』で
琉球処分に際して出てくる文章なのですが、
『天地に燦たり』でも、
追い詰められる朝鮮や滅亡の危機に陥る琉球のシーンでも
このような意味のことが出てきたりしていました。

先に触れた明鐘と師匠のやり取りもそうだし、
『テンペスト』と似た雰囲気を随所に感じたりもしました。

 

ということで、

ワタシの全体の印象としては

『天地に燦たり』は、
『テンペスト』好きの方には
気に入ってもらえるかも!

ということでした。

 

気になってた方は是非手に取ってみてください。

 

私も図書館本で読んだ本でしたが
そのうちkindleで買おうかなと思っています。


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