がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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望月按司は●だった!?

2018年02月26日 | ・琉球史散策/第一尚氏

そのうち書こう書こうとおもいつつ

何年もたってしまったあの話を、
今日は書こうと思います。

出典はこちら。

 

琉球の裏面史』
(石川文一著/琉球文庫(S49))



この本は9つの伝承(歴史)と
それに対する筆者の推測・考えがまとめらているのですが
そのうちの一つ、

〝第8話 望月按司、阿麻和利に討たる〟
より。

 

ご存知、
阿麻和利に討たれた。
酒におぼれて政治を怠っていたという
あの望月(茂知附)按司です。

 

 

この望月按司の実像に迫るというもの。

 

 

 

 


結論を先に言うと、

 

 

 

 

 

 

望月按司は女だった(!!)

 

 

 

ということ。

 

 

はぁっ!?

 

 

と思わず声を発した皆さん、
私と同じです(笑)

 

 

では、なぜ著者が望月女説を確信するに至ったかを
簡単に追ってみることにします。

 

まず、
按司と言う名称は
何も男性限定のものではなく、
身分の高い特別な女性にも
つけられている、ということ。

百十踏揚も
百十踏揚按司加那志
と書かれているように。




百十踏揚の墓標

 

ふみあがり(踏揚)もそうだけど、
身分の高い(王妃、王女、夫人など)特別な女性には
三十三君(高級神女)としての名称がつけられており
(※三十三君の名を持つ者が全て王族という意味ではない)
それには名前の後には「按司」がつくとのこと。

 

なお、王族の三十三君の場合、基本的に
尚真代に確立された聞得大君を頂点とする
ピラミッド型の神女体形に組み込まれた

祭祀をつかさどる実質的な神女というよりは
それとは別枠の、名誉職名みたいなものかなとワタシは思っています。



(『絵で解る琉球王国歴史と人物』/JCC出版部 より拝借)



「ふみあがり」や「もちづき」はその三十三君にもある名前です。

よって、
踏揚が踏揚按司と称されて存在したように、
望月按司と称されている存在も当然おり、
実際、
浦添王子朝里の次女と、
羽地王子朝武の娘(池城親方安頼の奥方となる)は
望月按司として『女官御双紙』に記録されているそうな。

 


首里、琉染にある三十三君の名前の額 もちつき や ふみあがり が確認できる。他に あふりやゑ(アオリヤエ)なども。

 

また、
男性に使う「按司」の場合も、
領地名+按司と言う風に使うのが常だが
(勝連按司、今帰仁按司、中城按司etc…)
「望月」という地名はない、と。

 

だから、「望月按司」というのは
神名である「望月」に、敬称としての「按司」がついたものであり
それはつまり女性であることに他ならない

と。

 

 

さらに、続きます。


勝連のオモロには
「もちつき」を謳ったものがいくつかあり、

 

あかる もちつきや

きみの もちつきや


で始まるオモロ(巻十六の六)には
もちつきや のところに


原註 かつれんのあまわり おなちやらを申なり

とあるらしい…!!

 

おなちゃら=オナヂャラ(ウナジャラ)=女按司・妃


つまり、


望月は阿麻和利の妻(女)だった!!

 

なにぃっ!?Σ( ̄□ ̄|||)

 

 

ただ、私はこれはもしかしたらあると思っていて。
(望月按司=女というのはひとまず置いといくとして)


というのは、
阿麻和利と、倒された望月按司は
お互いにまったく面識がなかったわけではなく
阿麻和利は元々望月按司に仕えていた(奉公していた)というのは
ちょいちょい見かけるんです。

ほんで、そのうち望月の娘と結婚し、
望月の婿養子に入った…っていうのは
小説『百十踏揚』の設定だけど
それに近い伝承だったかなんだったか、
ちょっとハッキリはしませんが、どこかで読んだような。

 

だから、
望月(一家)と阿麻和利が、かつて、
なんらかの密な関係を結んでいたのは
あり得るかな、と。

そして、
「望月按司(一家)」は
阿麻和利らに倒されてしまい、

その後、新たに妻に迎えたのが、
あの百十踏揚、と考えれば、

(もちつき が)
かつれんのあまわり おなちやらを申なり

というのもアリエナイ話ではないかな、と。

 

 

従来通り、望月按司は男性だという立場に立って
これらのことを総合して私なりに考えてみると

とりあえず、

おもろを見ると、
もちつき という名前の身分の高い神女が
勝連にいたことは確かだと思えます。

そしてその神女は、若き阿麻和利と関係があった。
(→かつれんのあまわり おなちやらを申なり
彼女の父親は勝連城主で、
神事をつかさどるものとして影響力を持ち、
おもろにも歌われている娘の「もちつき」と言う神名を
美称として自らにも「望月(の父)」として使った(記録された)
っていうのはどうかな?

(父が娘の名を借りて威を誇るってのは無理があるかな?(^^;))

そしてなんやかんやの理由があって、
彼女(もちつき)と、父(勝連城主望月)は
阿麻和利らによって討たれれる、と…。

 

 

 

 

ともあれ、
著者はこの
かつれんのあまわり おなちやらを申なり
という原註記述は誤りでは?と棚上げして、
(その理由は割愛)

女性「望月按司」は
先の勝連城主・浜川按司の奥方だったであろう
と推理しています。

 

 
勝連グスク内の案内版

 

そして、彼女は
夫である勝連城主・浜川按司が早くに死んだので、
彼に代わって政治も行うようになった…

(跡を継ぐ子(=3代目浜川按司)がいたが、
まだ幼少だったため代わって母である彼女「望月按司」が政治を行った、とも)

 しかし酒におぼれ政治を怠り、
阿麻和利らに討たれることとなる…。

 

 

 

 

さて、長々と望月按司女説をご紹介してきましたが

 

あなたはこの説、

 

あり?

 

それとも

 

なし?


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2017年度肝高の阿麻和利卒業公演

2018年02月25日 | ・肝高の阿麻和利レポ

現代版組踊舞台レビューについて

 

肝高の阿麻和利 卒業公演

2018年2月24日(土)

響ホール

 

昼公演に行ってきました。

 

2017年度卒業公演の初日・昼公演は
阿麻和利役と百十踏揚役が変わる
特別キャストのレア公演!
(通常はこの二役は固定キャスト)

ということで、
これは見なければ!
と思っていました。

 

が、その日に限って休日出勤

 

泣く泣く諦めていたのですが、

当日の朝になって、

待てよ?

と。

もしかして、仕事の段取りを
あーやってこーやってああすれば
多少遅刻するくらいで行けないことはないんじゃないか!?

と開眼。

少し無理のあるスケジュールではありましたが、
やはり見るならこの公演が見たい!
ということで決行。

お昼も食べずに職場から直行。

なんとかギリギリ、遅刻もせずに済みました

 

 

そんな昼公演のレビューです。

 

 

まず、

肝高の子がALL BOYS!
3人組の「探検オタク」!

相手を隊長と呼んだり、○○隊員と読んだりと
いちいち双眼鏡使ったりと
冒頭からなかなかの癖っぷり(笑)

肝子はこれまで色んなバージョンを見てきましたが
男の子だけの3人組というのは初めて見たなぁ。

人物設定としては特に「卒業」にからめたものではなかったですが
とても新鮮に見ることができました。

愛の劇場も、ぶっ飛ばしてましたね。
阿麻和利がクッキー作って百十踏揚にプレゼントするとか…
どんな設定なんだ(笑)
すーで入れ変わった"百十踏揚"には笑いましたね。
(個人的にはこのくだりで終わっても良かったな( ˘ω˘ ))

 

ハッタラーは女の子だったのですが、
ハッタラーもみんな男の子で
男子トーク満載ってのもいつか見てみたいかも(笑)

 

 

さて、お目当ての阿麻和利は
これまで賢雄役などをしてきたリョウ君。

彼は「百十~MOMOTO~」で主役級(賢雄)を演じてきたキャリアもあるので
初めての(?)阿麻和利役とは言え、
代々の阿麻和利役とまったく遜色なく、安定の演じっぷりでした。
(そういえば、今の阿麻和利君に決まる前、
次の阿麻和利役は彼もあり得るんじゃないかなと
予想してたことを思い出したよ…)


「百十~MOMOTO~」の時もそうだったんだけど、
彼のキャラクターを一言で言うと、

 

ジェントルマン

 

かなぁ。

 

ってか、
え、イタリア人?ってくらい
女性のエスコートが自然で紳士的。

素でこうなの?

だとしたらすごいなぁ。

モテるだろうなぁ

 

肩や腰(ってか背中)に手を回して
百十踏揚をエスコート&寄り添ったり
背中とんとんして慰めたり、
最後にハグしたり、
でもそれが自然でいやらしくないあたり
日本人男子にしては珍しいなぁ、と(笑)

 

そんなジェントルマン阿麻和利でした。

 


エイサーのあとの阿麻和利&百十踏揚の語らいも
これからも仲良く夫婦として共に歩んで行こう感満載で
ラブラブだし。

じょーとーです

 

そんな阿麻和利が声を荒げるシーンで
おっ となったのは
尚泰久からの急ぎの知らせのシーン。


戸惑う阿麻和利に賢雄が追い打ちをかける。

「(前略)ほかならぬ尚泰久様は父上に当たられるお方。
どちらが重いか秤にかければ、
国王様に従うのが道理ではございませぬか!」

にかぶせて

「わかっておる!!」

と賢雄の胸ぐらをつかんで睨みつけ、

またそれと同時に百十踏揚が

「阿麻和利様!」

と止めに入ったところ。

 

ジェントルマン阿麻和利の激情の一コマ。
そりゃ百十踏揚もびっくりするよね。

そのギャップが阿麻和利の迷いや焦り、苛立ちを表していました。

 

 

一方、そんな賢雄は8代目阿麻和利役のクメ君。

近くで見たわけじゃないので
勘違いだったらアレだけど、
阿麻和利が刺されて
瀕死の状態で屋慶名達とお別れをする間、
結構……ふてぶてしい感じだった?

その様子を一瞥して、
鼻で笑ってたよう…な感じが遠目にしたんだけど、
どうかな?

個人的にはこれくらいクールで
ワルな雰囲気を醸し出している賢雄も好きです(^^)

 

ところで肝高の阿麻和利では
阿麻和利は金丸(の策)に殺された、
黒幕は金丸という展開ですが…
「首里か……やはり金丸の筋書かー!」
って阿麻和利が叫んでいるあたりからも)

 

今回は、

 

賢雄に殺された

 

とハッキリ言ってもいいと思いました。

確かに策を練ったのは金丸だけど、
最後の決め手、


「阿麻和利ヤ(殺)るべし」のGOサイン

は賢雄だった、ということ。

 

金丸宅での2人の密談シーン。

ここでは

「勝連の按司、阿麻和利。殺すには惜しい男だがの…」

「金丸様!これもお国のためでございます」

「いたしかた、あるまいのぅ」

という流れがもともとあります。

 

これまでは割とさらっとしてましたが
今回、ここを少し膨らませて。

金丸の迷いがちらり。

本当に、阿麻和利は殺すべきなのか、
殺すべきではないのではないか…。
賢雄よ、お前はどう思う?

と。

そんな金丸に

「殺すべき」
と迷いなくぴしゃりと進言したのが賢雄。

これまでよりもはっきりと、
理由も含めてしっかりと。

それによって、
金丸の心も固まる、という感じ。

 

ふぅむ。

金丸フォローをここでいれて
悪は賢雄に持っていってもらい、
賢雄のフォローは阿麻和利亡き後の演技(後悔の念)や
百十~MOMOTO~で…って感じなのかな?
と想像しました( ˘ω˘ )

最近いろんな所でちょいちょい金丸フォロー見るなぁ。
誰も100%の悪者にしないっていうのを感じたりしてます(賛成)。

 

となると、
そろそろ望月按司にももう少し敬意を表しても…(^^;)
単なるふざけた崩れキャラ一辺倒じゃなくても良いのでは…。
今回のSMプレイは…うーん……
一応(最後はどうであれ)勝連地域を繁栄させた按司の一人でもあるし、
(勝連の繁栄は阿麻和利一代によるものでなく、
その前から引き継いだものが大きいと思われる。
王府が勝連の繁栄を恐れたのも阿麻和利以前からのものかと→
正義党が苦悩して恐れている相手(権力者)でもあるんだし、
たまには違うアプローチがあってもいいなぁと思ったりもします( ˘ω˘ )。
(個人的には側用人の爺ちゃんキャラや妃のキャラクターでおかしみを出して
望月自体は酔っ払いということ以外はそんなに崩さなくてもいいかなと思ったりする)

 


高3からのメッセージチラシ。
表紙のイラストがすごいインパクト(笑)
でもこういう絵、割と好き(高校生の時はこんなテイストで描いてこともある) 

 

そうそう。

今回は卒業公演ということもあって
肝高の詩の後に、ダイナミック琉球もありました。

もちろん、肝高の阿麻和利バージョン♪
ひっさびさに見た!!

きむたかバンドの生演奏・生歌。
口説の時にコーラスいれてたのステキング

キーボードさんが特にノリノリだったような♪

 

+ + +

 

最後に。

高校3年生の皆さん、卒業おめでとうございます。

肝高の阿麻和利の活動を通して培ったもの・ことは
必ずみなさんの力、武器になることでしょう。

これから歩むそれぞれの道に
幸多かれと

GOOD LUCK!


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あの聖獣も、キラキラ化

2018年02月22日 | ・琉球歴史/文化風景

 

以前も記事にしましたが

首里城のゆるキャラ、白澤(はくたく)。

まさかこれがゆるキャラになるとは…
初めて見た時はぶっとびましたわ(笑)

元ネタである自了の「白澤之図」はこちらから→

 

先日、この自了の白澤に興味があるという方と話をしていて
首里城のゆるキャラにもなっていることだし、
白澤もキラキラ化してみようとなり…

 

悪ノリして描いたみた白澤がこちら。

 



 

キラキラはキラキラでも
若返りのイケメン化ではなく
女のコの、萌えキャラ(?)風で。

 

ツイッターにも載せたけど
やっぱり色んな意味でマニアックすぎたのか
反応はあまりなかったです(笑)

 

でもリクエストがあったので
女の子白澤ちゃんを
ちびキャラでも描いてみたの図。

 

 

ちなみに、あご髭に見えるのは
髭ではなく、つけ襟という設定です♡


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【まとめ】お気に入りの史跡空撮動画

2018年02月18日 | ・琉球歴史/文化風景

ブログやツイッターでその時々で紹介していた
史跡空撮動画をちょっとまとめてみました。

空撮動画はたくさんありますが、
単なる撮影だけでなく、
アングルや編集、BGMなど全部含めて
気に入っているものです。

 

 

世界遺産勝連城跡スカイビューイング

「スマホで体験する勝連城跡」の中のコンテンツの1つ。
空から見ても勝連グスクの造形美は素晴らしい。
東の郭がきれいに伐採されている時の空撮も見てみたい。

 

 

座喜味城跡

グスクのあの構造を全て見せきらない編集が絶妙…!
人の目線からぐーっと登っていく冒頭の演出が好きです。



[4K] 世界遺産 桜まつりの今帰仁城跡をドローンで空撮

志慶真川の谷が圧巻!
とにかく今帰仁グスクの空撮は志慶真城郭側が見もの。
(もうちょっと高度下げたところも見たかったな)
ライトアップの空撮もあります。
北山戦の夜戦はこんな感じだったのでしょうかね。



鳥が見た沖縄の世界遺産 ~ マルチコプター による空撮映像

これはちょっとほのぼの系。
鳥になった気分で空散歩。
世界遺産以外にも色んな史跡が出てきます。

写真集もありますよ

 

 

DJI - Kumejima Island Okinawa - 久米島 Japan

グスクはがっつりとは出てきませんが(地形としては見えます)
ミーフガーが出てきます。
とにかく久米島の豊かな自然に圧倒されます。

具志川グスクと宇江城グスクをがっつり空撮した動画ないかな…。

 

 

[4K] 沖縄のグスク 安慶名・具志川・糸数城跡をドローン空撮

とにかくかっこいいの一言!
(世界遺産以外の)私の好きなグスクが3つとも入っています!
かっこよすぎで悶えます(鼻血)。




*おまけ*

沖縄・古宇利島観光プロモーション(KOURIJIMA in OKINAWA)

史跡空撮じゃないけどすごく凝ってて面白かったので(まさにPV!)。
個人的な印象では、音楽から何から色々とかっこよすぎて
実際の島の雰囲気よりかなり盛れてて、ちょっと笑ってしまった(^^;)


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琉球/沖縄、一問一答 【第108問】

2018年02月17日 | ・琉球/沖縄、一問一答

【第108問】

 

本島中南部まで出かけ
フトゥキ(人形)を使って芸を演じた門付芸人、
またその芸能のことを何という?



 

(答えは下)

 

 

 

琉球/沖縄、一問一答シリーズについて

 

 

 

 

■ ■ ■ ■


 

 

 

【答え】

 

京太郎(チョンダラー)

 

むかし首里城祭で見た泡瀬京太郎保存会による「京太郎」

京太郎の発祥は、泡瀬(沖縄市)だともいわれてます。

 

 +

 

組踊「万歳敵討」の中で、
京太郎に扮して仇に近づく主人公たち


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勾玉を描くポイント

2018年02月15日 | ・琉球/沖縄、徒然日記

 

勾玉の形について、です。

琉球モチーフの絵を描く人にとっては
「勾玉」は外せないアイテムの一つだと思います。

 

よく、左のように描いてしまいがちなのですが
(ワタシもそうでした…)
本当は右の形のほうが正解。

けっこう違いますよね。

おそらく、巴紋のイメージが強くて
左のようになってしまうのですよね。
そっちの方が家紋とかで見慣れてますしね。

 

毎度おなじみ、左三つ巴

 

 

勾玉の形をそれらしく描くための
ポイントをまとめてみたので
参考になれば幸いです。

(ツイッターにも掲載したところ
多くの反響をいただいて驚いています


なお、勾玉にもいろいろな形・タイプがありますが、
琉球でよく見られるタイプ、ということでご理解ください。

 

 

 

*追加*

 

 


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鬼鷲in北中城村

2018年02月14日 | ・現代版組踊レポ

現代版組踊舞台レビューについて



鬼鷲ー琉球王尚巴志伝―

2018年2月11日(日)

北中城村中央公民館

 

約1年半ぶりに開催された鬼鷲。

夜公演にお邪魔しました。
(この日は舞台ハシゴでした)

 

時間通りにスタート(これ重要!)し、
平田さんの挨拶から。

久々に見る生平田さん

さ来年度の2019年度は
現代版組踊(肝高の阿麻和利)ができて
ちょうど20周年に当たるらしい!
(公演は2000年3月だけど、年度で言うと1999年度)

そして、玉城朝薫が組踊というものを世に出してから
ちょうど300周年!
(二童敵討と執心鐘入、1719年初演)

これは、さ来年度は、
きっと何かが起こる…

期待しています!

 

 

+ + +

 

 

今回のレビューは苦言を含みます。
気を悪くしたらすみません。
書くべきか迷ったけど、
いち一般客として思ったことを正直に書く、がモットーなので
一意見としてやっぱり書いておくことにします。

尚、1日目夜公演のみの感想です。
2日目に追加変更などがあったのかどうかは
分かりませんのでご了承下さい。

 

 

+ + +

 

観劇した夜公演で特徴的だったのが、

女の子オモロと、

特別子役(小4!)の尚巴志と

きよらに照れまくりの尚巴志、

そして北山組

かな。

 

 

尚巴志はプロポーズのシーンで
素直に照れまくり&喜びまくりで
まるでアカインコの様でした(笑)

ただ、この素の感じのはこのシーンだけ、
という印象で、ちょっと突飛な感じもしたので
ほかのシーンでももっとこういう雰囲気を醸し出せたら
もっとよかったかも☆

また、個人的には子ども時代は特に
もっとはっちゃけていいと思ってます。
(ガキ大将のような)
割とずっと優等生系の大人びた感じなのでね。

でも今回のちび尚巴志は小学生の特別子役君。
長セリフにも関わらず、よく頑張ってました!

 

女の子おもろは歌サンシンも披露もしてくれて
お見事でした。

アカインコ+おもろコンビは
これまで小芝居満載で笑いを取るキャラで
はっちゃけにはっちゃけまくってて
時には尚巴志(主役)を喰っちゃってる時もあったんだけど
今回はだいぶ抑えてきたな、という印象。

特にとりたてて笑いを取りに行くというシーンもなく
ほほえましい、というくらいで
個人的にはこれでも十分だと思いました。

 

というか、

ごめんなさい、

アカインコ+おもろコンビ、
登場の90%、見えませんでした。
(舞台中央にいる時以外は全滅)

ただ、声が聞こえるのみでした…。

(これに関しては後述します)

 

 

前回大変革した北山組は、
基本同じスタンスの役作りでした。

今後はずっとこの路線で行くのかな?

個人的にはTHEワル★な本部も好きなんだけどな。

それが「北山の風」の本部とのギャップがあることで
歴史の二面性と言うか、見方は一つではないというか
そういう楽しみにもつながるとも思うし…。

もちろん、今の設定も決して悪くはないですけれどね。

確かにこっちの方が本部が尚巴志の言葉になびいた背景、
というのは分かりやすいですよね。
(単に本部の私利私欲ではなく、って感じで)

今回は与那覇も攀安知への怒りと言うよりも
悩み苦しむ悲壮なテンションでした。

 

うむ。
どちらの設定も捨てがたいので
こういうのはどうだろう。

 

公演によって、
キャラ設定を変える。

 

大筋や台詞は基本一緒でも
演じ方でがらっと印象が変わる。

それが公演ごとに違う
(昼・夜、1日目・2日目)

ってのはリピーターにとってもたまらん
舞台演出だと思うなぁ

そしたら2種類見に来たくなるなー。

鬼鷲メンバーのレベルの高さなら
可能だと思うなぁ。

同キャストでこれができたらすごいけど、
キャスト変えてでもいいし…

(『ガラスの仮面』でこういう回があるのですよ。
同じ作品なのに演出でまるで違う舞台にしてしまうという…)

 

ああ、でもあまりそのスタイルを前に出しちゃうと
尚巴志自体がまた喰われちゃうからやっぱりダメかな?

 

そんな北山組も去年よりもちょっとシンプルになってました。

本部VS攀安知で交戦の後、
攀安知が自ら刀を捨て、本部の刃に倒れる
ショックを受けた本部は攀安知に駆け寄り、共に戦場を逃れようとするが
攀安知はそれを許さず本部を突き放し、本部だけを逃がす…

…という壮大な二人のドラマは抑え、

本部は攀安知の刃を受け、瀕死のまま退場、
攀安知はそのまま自害する、というものに。

うん、これくらいにしといたほうがいいよ…

本部・攀安知が直接やり合うのではなく
それぞれがソロで殺陣を披露するという演出も面白かったな。

(でもこの時舞台下階段にいた本部は
果たして後方のお客さんに見えていたのだろうか)

 

攀安知の死後の、乙樽の舞と
昇天する攀安知のシーンはありました。
肝高の阿麻和利オマージュな前回とは違い、
乙樽は攀安知の霊には気づかず
攀安知(の霊)は手を伸ばすもすれ違うという演出になっていました。

 

確かにきれいなシーンです。

 

ただ、個人的な意見を書くと、

北山戦の後は、
一刻も早く尚巴志に戻したほうがいい

と思っています。

攀安知の死の余韻をあれだけしっかり入れてしまうと
ただでさえ強い攀安知の印象が更に刷り込まれて
(むしろ尚巴志に討たれた攀安知に同情する)
なかなか尚巴志に戻れない気がします。

 

だから何度か書いてるけど、
祈り(供養)の舞も、
乙樽というよりはきよらに、
尚巴志にも痛みや葛藤を(以前はあった弟の戦死とか)、
そして誓いを。

そしてそのまま首里城建設につなげたい。

アカインコからの代弁ではなく
尚巴志そのものに語らせたい。

 

以前の公演は割とこんな感じだったんだけどなぁ…。

この時の公演とかは
その点すごく考えられてて良かったと思う。

 

 

そしてやっぱり、

うう~ん………

って思ったのは、

最後はアカインコと尚真が尚巴志そっちのけで
全部持っていくところだよね…。

 

(これも前回のレビューでも触れてますが
今回はこのもやもやを徹底分析してみました)

 

この演出、
最初(西原→宜野湾公演)は新鮮さもあって
「へー面白い!」って思ってたけど
3回(年)目にあたる前回からは
尚巴志の影がどんどん薄くなっていくようで、
なんだか…心がもやっと。

 

今回同じ演出を見て、改めて、
うん、やっぱり、と確信しました。

 

尚真自体は尚巴志と同じ国を治めるものの立場として
登場しても面白いと思うのですが、

(武力を使わず)国をまとめるには…
と悩む尚真が、

 

尚巴志の生きざまから
答え(ヒント)を得なければ
意味がない

 

と私は思うのですが、
いかがでしょうか。

 

アカインコの提案(武器を取り上げる、中央集権、芸術の推奨)は
全てこれまで演じられてきた尚巴志は全く関係なく(ないように思える)、
むしろ尚巴志の武力による統一の過程を
そっちのけにした提案のように思えてなりません。

だからこそ、

北山戦の後の尚巴志をどう見せるか、何を語らせるかは
とってもとっても重要になってくると思うのです。

 

むしろ、舞台後半の鍵はここだと思うのです。
 

 

クライマックスも,


テーマソングでしっとりと終わり、
舞台が暗転した時に語られる
宮沢さんの後日談ナレーション。

 

 

全部、尚真の話。

 

 

いや、これら設定や展開自体は好きですよ。

武器を楽器に、

いいじゃないですか。

おもろ主取や尚真が行った政策など、
史実とフィクションのリンク具合もすごい好みです。

 

でも、

それは、

尚巴志の話では、

ない。

 

尚巴志の生きざまが生(活)かされた
尚真代の未来(まとめ)、
でもない、のです…。

 

 

作品タイトルが尚巴志(鬼鷲)である限り、
これはちょっと、そのままでいいのか?
と思ってしまいますよね。
やっぱり。

 

舞台の流れはとてもきれいなのよ。

ナレーションで繋げて
ダイナミック琉球に行くという流れは
実に鮮やかだと思います。

 

なのに、なのに、
尚巴志がそこにいない。

 

ああもう、どうせなら作品タイトルを変えてしまえば
こんなにもやもやしないのに!

と思ったよ…。

でもそれでいいのか?という話ですよね。

 

まさか……
(ネームバリューのある)宮沢さんのナレーションありき……で
展開を固めてしまってるわけではないよね…?

と、ちょっと穿った見方をしちゃったりして……
(もちろん、それはないと信じたい)

 

 

「鬼鷲(翔べ!尚巴志)」の作品はずっと見続けてきて
思い入れも強いし、贔屓にしている作品ので、
(東京公演も飛行機乗って見に行ったくらいです)
尚巴志という人を、もっと徹底的に立ててほしいな、
もっと徹底的に大事にしてほしいな、と
その想い一つなんです…。


尚巴志の生きざまのキーワード、
やはり必要じゃないかな?

前はもっと尚巴志が立っていたんじゃないかな?

 

子供たちのがんばり、演技演舞は素晴らしいからこそ、
そう思ってしまうのです。

 

 

これが今回の私の正直な感想です。

 

 

アカインコ、イラスト描いてたのに君は全然見えなかったよ…

 

 

+ + +

 

 

そして、今回1番ダメージを受けたこと。

 

舞台、十分に見えませんでした。

 

会場が公民館だということで
懸念していたことが的中しました…

 

公民館はホールと違って段差のないフラットに床に
パイプ椅子を並べた座席+地べたにゴザ敷席構成は
席によって当たり外れが大きいのです。

そして、言っちゃなんですが、
特にメインの椅子席の方はハズレの方が圧倒的に多いのです。

(前方のいい席は招待客用に全部おさえられていたので
一般人が座れる「ちゃんと見える席」は更に限られる。)

 

客席から舞台がどう見えるのかは
椅子を並べただけではわかりません。

全ての椅子にお客さんが座った時、
舞台がどう見えるのか、
が大事なのです。

床に段差がないので、椅子に人が座ると
よほど背の高い人でない限り
視界がかなり遮られます。

どうしてもお客さんとお客さんの隙間からどうにか覗き見る
という感じになります。

それでも、舞台の上で全て演技・演舞をしてくれるなら
視点が上がる分、なんとか見えるのですが、

舞台自体が狭いこともあって
今回は舞台下での演技も結構あったし、
鬼鷲メンバーの人数的に
演舞も大半は舞台下へ。

 

嗚呼、子供たちの頑張りが
どれだけお客さんに見えたことでしょう…。 

 

段差のないフラット席の会場では
舞台下では演技しない(話を進めない)、
これはお客さんの事を思えば、
多少舞台上の立ち位置が単調になろうとも、
避けてほしかったです…。 

 

 

私は、この時期に冷える地べたのゴザ敷席はキツイので
余ってる椅子席の中で、
少しでもベターな場所を探したのですが、
それでも舞台3分の1と端っこ(ストーリーテーラーアカインコたちの立ち位置)
が全滅でした…。

尚、来るのが遅かったわけではなく、開場時間には到着していました。
それでも椅子席はもうアウトでしたよね。
だから本当は開場の後ろで立って観たかった。そのほうがよく見えるから。


見えないからとしょっちゅう体を動かしてもぞもぞするのも
後ろの人の迷惑になるだろうと思って
もう、覗き見ることも諦めて声だけ聞いてましたよ…。

でも3分の2は見えてたからまだいい方だだはず。
場所によっては半分くらい見えてなかったはずなので…。
(過去に経験あり)

そんな環境で、チケット代はホール公演とほぼ一緒、
というのは、いかがなものでしょう…?

昔、浪漫シアターで那覇中央公民館でよくやってた時は
同じ座席スタイルでしたがチケット1000円でしたらからね…。

 

パイプ椅子も2時間ノンストップだとお尻も痛くなるし
(一応座布団も配ってたけど、充分な数はなさそうだったので遠慮しました)
舞台中も後半は特にずっと椅子がギシギシなる音が響いていて…。
(前が見えないことに加えて、腰やお尻への負担で
お客さんがどこかで常に動いてるんですよね)

 

鬼鷲のメンバー数やキャリアや知名度から言えば
やっぱりホール公演のほうがふさわしかったのではないでしょうか。

 

どのような環境で人に見せるのか
っていうのは、
作品の評価を大きく左右すると言っても過言ではないと思います。

環境も、作品の1つなのです。

 


公演が小規模だったり 伊平屋島とか
公民館でも座席に高低差があったり(作れたり)本部の公民館での北山の風とか
メンバー数が少なかったり 久米島・具志川改善センターでのワカチャラとか
キャリアがまだ浅かったり 
手作り公演やチャリティー公演だったり 大里農村環境改善センターでの尚巴志とか
短縮版などの特別公演だったり 久米島での肝高の阿麻和利とか
その土地でやることに大きな意味があったり 楚辺公民館での花織の宴とか
はたまたチケットが格安だったら 那覇市民会館中ホールでの琉球浪漫シアターとか

公民館でやるのも分かります。

 

でも、今回の鬼鷲は、そうじゃない。

 

立派な、年に一度の、本公演です。

 


北中城村だからこその何かが
特別演出としてあるわけでもなかったし。

地元の伝統芸能などが見られることを期待していたのですが。
(これまでなら何かしら絡めて来てたはず…)

 

 

…と、色々疑問が残りました。

 

 

生意気にも色々と書きましたが
どれも子供たち云々ではなく
大人(制作・運営)側に少し考えてほしいことかな、と。

 

そんなこんなで
今回の鬼鷲はせっかくの子供たちの活躍が十分に見れなかった、
満喫できなかった、です。

 

これは、とてもとても残念でした。

 


子供たちの頑張りを、
もっとしっかり見たかった、です。


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今年も、沖縄燦燦

2018年02月12日 | ・琉球/沖縄、徒然日記

 

Ship of the Ryukyu
沖縄燦燦

2018年2月11日(日)
てんぶすホール

 

今期のShip of the Ryukyu観劇は
この作品のみ。

沖縄燦燦は昨年度の公演に引き続き、
2回目の観劇です。

昼公演にお邪魔しました!

(去年の舞台レポ→

 

去年感じたことそのそのまんま、
今回も

かわいくて、

明るくて、

元気の出る、

3拍子揃った舞台でした!

 

見終わった後も、
テンション上がってルンルン気分♪

スキップしながら帰りたい気分になります♪♪
(いや、やらないけれどれも(笑))

 

かわいいってのは容姿のことではなく
(容姿もステキですが!)
喜怒哀楽やしぐさがとてもかわいい。

サンラーとチルーの恋模様がとても微笑ましく
そして応援したくなる。

作風はコメディタッチなんだけど
わざとらしくない、というか
品格はちゃんとあって
おもしろみ、おかしみも、
あったかくてすっと入ってくる感じ。

 

 

「セリフ」はごく少なく、
基本、歌で進んでいきます。

それもALL方言なので
歌詞に関しては(私は)ほぼ解読不能。
(ただし、パンフレットに歌詞と解説はあり)

なので沖縄燦燦は
ある意味言葉に頼らない、
ノンバーバル演劇と思ってもいいかもしれない。
(だから外国でも十分に通用するのでしょう

言葉の意味は分からないけど、
話の流れは演技や演出でちゃんと伝わる。

だから、演技や演出も細かいところまで
気を使って丁寧に作られている、
という印象です。

また、物語は至極単純なので
この舞台はストーリー性と言うよりは
音楽演舞を楽しむ舞台なのでしょう。

 

 

そんな音楽の力!

私、(初見の)舞台の良し悪しというか
心に残ったか、次も見たいと思ったか、の判断基準って
音楽の良し悪しにかなり左右されているなと確信しました(笑)

音楽(音)が好みかどうか。

思えば、小学生のころから
映画やドラマやドキュメンタリーとかを見てて
音楽がいいと思ったらスタッフロールで
音楽担当者をチェックする癖がついていたものね。

その点、沖縄燦燦は好みドンピシャ!

バイオリンの旋律が美しく(ちょっとうるっときた)
太鼓は力強く(空手のシーンとかソロとか最高!)
ちあきさんの歌サンシンは鉄板。

 

是非サントラ出して欲しい!

 

そして最後の、怒涛のクライマックス。


いやー、今回もテンション上がりましたねぇ。

特にこの時の音楽が好きだな!
(クライマックスはバイオリン、歌サンシン、太鼓以外にもリズムベースが入ってくるのだ)

手拍子しながら踊りたくなる♪

そして畳みかけるあの衣装の早替え。

 

これは

ほんとうに

スゴイ。

(どういう仕組みなんだろう?)

 

とにかく楽しい!!
の一言。


カーテンコールの時に
たすき掛けにしてたのもカッコよかった♪



それにしても演者さんたちの運動量たるや、
すっごいですよね。

本当に、お疲れ様でした。

お陰で楽しませてもらいました!

また、公演があるときは
元気をもらいに、はせ参じたいと思います。


+ + +


沖縄燦燦動画、
色々あるけどこれが1番雰囲気伝わるかな?

貼っておきます!



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琉球/沖縄、一問一答 【第107問】

2018年02月08日 | ・琉球/沖縄、一問一答

【第107問】

 

田芋とその葉茎を主材料にして
形がつぶれるまで煮て作る
沖縄料理は?



 

(答えは下)

 

 

 

琉球/沖縄、一問一答シリーズについて

 

 

 

 

■ ■ ■ ■


 

 

 

【答え】

 

どぅるわかしー


すごい響きですよね(笑)

煮崩れていく様がまさに泥の様だということからの
「泥沸かし」なのだとか。

どんな料理なのか気になる人は
ググって下さい。

ちなみに、
私は大人になって初めて
この料理を知りました。

個人的にはあまりなじみのない料理です。
(でも学校給食でたまに出るところもあるのだとか?)


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『ヒストリア』で感じる、現代史のリアル

2018年02月06日 | ・和心な本、琉球な本


↑クリックで角川サイトにジャンプ
 

池上永一さんの『ヒストリア』(角川書店)を読了しました。

 

年末に半分読んで、

その後いったん別の本数冊に流れて(汗)

そしてつい先日、残りの半分を一気読みしました。

 

 

物語は沖縄戦から始まります。

そこでマブイを落としてしまった主人公の女の子、
知花煉(れん)

そして戦後のコザ、

そしてボリビアへの移民。

そしてペルーなども含めた南米の歴史・文化・政治、
当時の米ソ冷戦やキューバ危機などの世界史を絡めた
壮大な物語でした。

 

感想を一言で言うと、

 

『痛い』

 

「現代」という時代を扱っている分
とてもリアルで、痛いのです。

それを考えると
琉球史って、やっぱりある意味ファンタジーなんだな
っていうのをすごく感じます。

例えば、
尚巴志の北山戦のシーンと、
沖縄戦のシーンでは
感じる生死や痛みのリアル感が全然違うもの。

だからやはり
ファンタジー・物語だと単に割り切れない
時代が近い『ヒストリア』の世界はどうしても痛みが伴うのです。

 

特に最後の最後は惨憺たる気持ちになりました…。
(そして現在(リアル)の沖縄に落とされるっていうね…)

 

 

でも、暗くてリアルでシリアスで
真面目でしんどいだけの物語かというと、
そういうわけではなくて。

 

やはり池上小説らしく、

主人公はやっぱり破天荒だし、
チェ・ゲバラと恋に落ちるというぶっとび設定もでてくるし、
サブキャラたちは魅力的だし、
上がっては下がるジェットコースターの物語展開は
『テンペスト』並みか、それ以上か…。

 

特に主人公とマブイがどんどん交差していくところは
すごく巧みで、すごく小説らしく、唸りました。

リアルゆえの痛みを感じながらも
どんどん読み進めていけたのは
やはり池上小説の妙・面白さゆえかなと思います。

そういえば今回は異常変態キャラがいなかったのも良かったな(笑)

 

『ヒストリア』の間に読んだ『走れ思徳』と比較するのもなんですが、

どちらも世界史という題材を扱いながら、
小説として面白く読み進められたか、否かは、
ちゃんと主人公たちがその歴史の流れの中に入って行って
魅力的な物語を展開できていたかどうかの差、ですねぇ。

登場人物たちの魅力、
物語展開の面白さ、
展開のリズム、
やはり、さすが池上小説は違うなと感じた次第です。

 

 

ところで、この本の表紙はチェ・ゲバラの肖像になっていますが
個人的には、彼はそんなに…でした。

 

確かに物語で必要なキャラではあったし
ぶっとび設定も作れたけれども、


表紙が彼の肖像であることで
意外性があって興味もひいたので
決して必要なかったとは言わないけれども、

 

…思ってたよりも(表紙にソロで出るほどの)
インパクトや魅力はなかったかなーと思いました。

(単にこういう人は好みではないというのもあるかも?(笑))


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渓隠と芥隠

2018年02月03日 | ・琉球史散策/第一尚氏

琉球は仏教国だった!
というのは過去にも何度か書いておりますが、

その中でも特に存在感を放っていたお坊さん
というのは限られています。

古琉球期で言えば、

 

禅鑑(ぜんかん)

渓隠(けいいん)

芥隠(かいいん)

日秀上人(にっしゅうしょうにん)

袋中上人(たいちゅうしょうにん)


の5人かなーと思いますが、
いかがでしょうか。

 

中でも
渓隠と芥隠は特にワタシが贔屓にしている
第一尚氏~第二尚氏初期にかけてのお坊さん
ということで関心もひとしお。


琉球戦国列伝をはじめ
ちょいちょい絵にも描いているしね。

 

 

でも、

実は、

白状しますと…

 

渓隠と芥隠、
未だにどっちがどっちだったか
ごっちゃになっていて

えーと、円覚寺の人は…芥隠?…あれ、渓隠だっけ?

となることが多々ありました(汗)

 

 

だってほら、

名前、似てるし。

時代、被ってるし…。

 

しかし!
琉球歴女としていつまでたってもこれじゃいかんだろ!

ということで、

最近、琉球の寺社に興味を持っていることもあり
この機会にしっかり整理しようということで。

 

知識の整理は図にしてみるのが吉!

 

えいやっ!!

 

参/「琉球戦国列伝」(上里隆史著)・「琉球仏教史の研究」(知名定寛著)

 

二人の生年は不明ですが、
おそらく歳は渓隠が上で、芥隠が下です。
芥隠のほうが後まで生きていただろうということで。

来琉はほぼ同時期か、それとも渓隠が少し先か…って感じ。



イラストは琉球戦国列伝に合わせました。

絵のそばに描いたのは関連アイテム。

渓隠は鐘で、
芥隠は円覚寺つながりのクリス。

 

ところで、
芥隠には
“虎のような鋭いまなざし、牛のようなゆったりとしたたたずまい”
という
見た目に関する言葉が残っていますが
それは徳の高さを表す決まり文句のようなもので
実際の見た目を書いたものではないそうです。

琉球戦国列伝で渓隠と芥隠を描いた時、
実は絵を描いた後でこの文章を知って
↑のイラストを見てお分かりの通り、
渓隠のほうが目つき鋭くて、
芥隠はおっとり系だったので
そのままイラストを逆にしようともしたのですが、

相談の結果、
ここは敢えてそのままで

ということになった制作裏話。

 

(でも今もう一度この二人を描けって言われたら
琉球戦国列伝の時とは全く違うタイプで描くかなーと思います)

 

 

最後に、天界寺について。

 

尚泰久が建てた当時の最大級の寺院天界寺。

第二尚氏になって円覚寺が建てられるまでは
天界寺が琉球で一番大きなお寺でした。

が、現在は残っていません。

玉陵から首里城公園首里杜館にかけてのエリアにあったようです。


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琉球/沖縄、一問一答 【第106問】

2018年02月01日 | ・琉球/沖縄、一問一答

【第106問】

 

沖縄県の人口は?



 

(答えは下)

 

 

 

琉球/沖縄、一問一答シリーズについて

 

 

 

 

■ ■ ■ ■


 

 

 

【答え】

 

約145万人
(2018年1月1日現在)

参考サイト
http://www.pref.okinawa.jp/toukeika/estimates/estimates_suikei.html


この一問一答の単語帳を作っていたときは
確か130万人くらいだった気がするけど、
いつの間にこんなに増えていたんだろう…。

沖縄の人口増加率は
全国でもトップクラスだそう。


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