がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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攀安知VS本部平原

2010年11月17日 |   …… 「北山炎華」

先日「北山炎華」製本しました。

もちろん、ALL手作りです。

…なんか、同人誌作ってるみたいだった……
(ああ、若かりし頃の甘酸っぱいおもひで…(ノ_-;))

…あっ、

これ↑はワタシじゃなくて、別の子が描いたものです。
で、ワタシが色と文字をつけてみました。
本人の許可を得て掲載。

琉球短編小説「北山炎華」はこちらから。


で、琉球短編小説企画、第2弾が始動しました(笑)

「北山炎華」は史実(とされていること)を元に、
短編小説風に起こしただけのものでしたが、

今度は歴史の「謎」(空白)の部分を創作してみようというもの。
(主人公はこのブログではおなじみのアノ人たちです!

雑談しつつ妄想(笑)を膨らまし、
なんかもう、プロットとかできてしまいました(笑)

これは我ながら面白くなると思ってます( ´艸`)
(ま、書くのはシルフさんで、ワタシは口出しするだけですが)

本当はこんなことしてる場合じゃないんですけど
こういうことしてる時が楽しい。

 

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琉球短編小説「北山炎華」まとめページ

2010年11月02日 |   …… 「北山炎華」

琉球短編小説
「北山炎華―ホクザンエンカ―」
まとめのページ。

1416年、琉球北山今帰仁グスク。

琉球統一の夢に向かって勢力を広める中山軍、尚巴志は
北山王・攀安知の討伐のため、難攻不落といわれた今帰仁グスクに向かう。

そこで繰り広げられた北山戦の内容を、
正史に記録されたエピソードをもとに
今のコドモ達の感覚で、新たに短編小説風にシルフさんが書き上げました。

北山王、攀安知(はんあんち)、
側近の本部平原(もとぶていはら)、
そして後の初代琉球国王、尚巴志(しょうはし)、
尚巴志の忠臣、護佐丸(ごさまる)。

互いの野望と確執が絡み合う北山戦の全貌とは―――。

 

 




著者はP.Nシルフさん。
ネタ提供と監修はワタシ(笑)



リンクはこちらから★

予告
http://blog.goo.ne.jp/wa_gocoro/e/a8e9603b9b0d5ebda21b8979b6823f0b

その1
http://blog.goo.ne.jp/wa_gocoro/e/174e906a846bf9d8eef030040e05ab4a

その2
http://blog.goo.ne.jp/wa_gocoro/e/434c89d431ba0269ad08f199d709074e

その3
http://blog.goo.ne.jp/wa_gocoro/e/d4316ba13913e96d51b349ac9c55da53

その4
http://blog.goo.ne.jp/wa_gocoro/e/a1255a9e90635265f12d2af1d955dcac


ちなみに、タイトルに使用した写真は全て今帰仁グスクです。
photo by 和々



ついでに、三山時代の人物相関図
http://blog.goo.ne.jp/wa_gocoro/e/07583def03b2e45e9fdd8c6ece83142e


…と当時の勢力図
 http://okinawa-rekishi.cocolog-nifty.com/tora/2008/07/post_e557.html


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コメント (4)

琉球短編小説「北山炎華」4/4

2010年11月01日 |   …… 「北山炎華」


「北山炎華」(4/4)
 
 1/4はこちらから。 2/4はこちらから。 3/4はこちらから
著作/シルフ(P.N)   


昼間の喧騒が嘘のように、あたりは静まり返っていた。
軽傷の者、重傷の者、死んだ者、生きている者。さまざまいるが、全員に共通しているところといえばぼろぼろだというところだろうか。
だがその場に並んでいるものは、みなどこか達成感に満ちた顔をしていた。
辺りにはまだ、血と砂埃の匂いが漂っている。
「皆のもの、よくぞ責務を果たした。」
尚巴志は皆を見渡し、響き渡る声で言った。
「よくぞ1週間もの長い間、わしの手足となって戦ってくれた。この城と、この刀、千代金丸を手に入れられたのも、皆の働きがあればこそ。
――ああ、その中でも。」
尚巴志は護佐丸のほうを向いた。
「そなたの働きは見事であったぞ、護佐丸。」
「身に余るお言葉、ありがとうございます。」
護佐丸は深々と頭を下げた。

*

――その夜。

「尚巴志様。」
「…おお、そなたか。」
外にでていた尚巴志に、護佐丸が声をかけた。
「春先とは言え、こんな遅くに外にでていては、御身体が冷えます。なにをなさっておいでなのですか?」
「いや、月見をな。」
「月見?」
「ほら。」
空には、見事な満月がかかっていた。
「美しいとは思わんか?」
「…たしかに。」
ふっと、護佐丸も口を緩める。
このように月を見上げるのは久しぶりのような気がする。
「戦いが終わった後に見る月は、特に今回のように厳しい戦が終わった後の月は、美しさで心が癒される。」
しばらく月を見つめた後、ああそういえば、と、尚巴志は護佐丸のほうを向いた。
「そなたの祖先は、この今帰仁の按司であったが追放されたのであったな。
くしくも、今回の戦いで仇を討ったような形となるわけか。」
「……。」
護佐丸は、心中おだやかではなかった。
たしかに彼――攀安知は死んだ。だが、それは自分の手によってではない。
あのまま戦っていたら、確実にこちらが死んでいただろう。
自分は、まだ弱い。
それに……。
『相手を騙せば、また、自分も騙されるのだ。』
なぜかこの言葉が耳を離れなかった。
「のう、護佐丸。わしはこの城だけでは納まらぬぞ。もっと、もっとだ。
もっと領土を、力を、権力を広げる。そしてゆくゆくは……」
独り言のように、しかししっかりとした口調と瞳で
「わしはこの琉球を統一したいと思うておる。」
「……。」
驚き、おもわず尚巴志を見つめる護佐丸。
「世迷言と嘲笑うか?」
「……いえ。」
護佐丸は尚巴志に向かって跪いた。
「ついていきます。どこまでも。我が主 尚巴志様」
「……うむ。」
尚巴志は瞳を閉じ、満足そうに頷いた。
そしてゆっくりと瞳を開き、再びその眼(まなこ)に満月を映す。

「ああ、真に」
ふっと笑い
「いい月だ。」

 

――了――

 



終わりっ!

いかがでしたか?

正史などにある北山戦の様子をそのまま小説風にした感じですが、
尚巴志による北山討伐がどのようなものであったのかが
少しでもお分かりいただけると幸いです♪

尚巴志軍の苦戦、
本部の懐柔と裏切り、
敗走と見せかける作戦、
本部の裏切り宣言、
攀安知と本部の一騎打ち、
霊石を叩き割り自刃する攀安知、
宝刀・千代金丸などなど…

正史にあるエピソードから取っております。
(※ちなみに攀安知VS護佐丸は正史にはありません☆)

護佐丸の「今帰仁グスクを追放された祖先の仇」というのも本当で、
護佐丸の祖先(今帰仁世の主)は、攀安知の前の前の北山王、
つまり攀安知の祖父、怕尼芝(はにし)に追放されたと言われています。

今回の「北山炎華」では、攀安知寄りで描写してもらいました。
(最初は護佐丸主人公の予定だったのにねぇ~?(笑))
悪名名高い攀安知ですが、ただ単なる勧善懲悪の悪役ではなく、
本部に裏切られた彼なりの苦渋の思いと怒りとか、
形勢が逆転してゆく悲壮さとか、
それでも屈しない強さとか、
彼なりのそういう魅力をかもし出せたらなあ…ということで
ちょこちょこと演出をアドバイス(口出し?(笑))させてもらいました。


ところで…
本部の懐柔策ですが。

本部と攀安知が一騎打ちになって両方死んだからいいようなものの、
もし、本部が生き残ってたら尚巴志はどうするつもりだったんでしょうね(笑)

やっぱり、本部を北山看守(っていうか、今帰仁城主?)にしたんでしょうかね。

 

ちなみに、監修をしていて迷ったのは「尚巴志」の明記について。

尚巴志は一般的に、尚(苗字)、巴志(名前)といわれていて、
琉球統一の際に「尚姓」を明国から賜った…とあるので
北山戦の時点では「巴志」だけ…のはずではあるのです、が。

一説には、尚巴志はあくまで尚巴志であって、
「尚」を苗字としたのは中国人の勘違い!?みたいな…。
よって、しかたなく(?)後の王にも「尚」をつけるようになって、
さかのぼって思紹にも「尚」をつけた、みたいな。

んーーーーーー。

まあ…でも尚巴志のほうが分かりやすいだろうし…ということで、
「尚巴志」に統一させていただきました。
(最初の頃は、「巴志様」と言わせてましたが、途中から混合してきたので尚巴志に統一!(汗))

3/4の最後に、緋寒桜の描写を追記しました。

北山戦は3月中旬のことらしいです。(新暦?旧暦?)
当然ながら3月中旬には沖縄の桜は葉桜なのでアリエナイのですが、
昔は今よりも気温も低く、雪が降った記録もあるらしい…(!)ということで、
まぁ、一輪くらい遅咲きがあっても許容範囲、ということで。

※11/3追記 太陽暦で言うと4月3日に出兵。北山戦、昼夜4日間。だそうです。


今回の写真も、月と桜をキーワードに
今帰仁グスク桜まつりの時の写真をひっぱり出してみました


*


最後に、制作裏笑い話。

最初、尚巴志が結構「悪」でした(笑)
金丸みたいな(笑)

1/4の、

先ほど戦況を伝えに来た部下が、周りの兵士の雄叫びにかき消されぬよう、大声で話かけた。
「敵の攻撃は相変わらずです!このままでは、確実に……。」
「ふ…、心配には及ばん。」
尚巴志は笑った。

の部分。

ここで、尚巴志にどんな笑い方をさせるかで結構キャラが変わるんですよね(笑)


最初は、

「ははは!心配には及ばん。」
でした。
ははは!って(笑)


で、次が

「ククク…、心配には及ばん。」
でした。
ククク…っていくらなんでも悪すぎでしょ!

ってことで、

間を取って、↑になりました(笑)

 

というわけで、4回に分けてお送りしました琉球短編小説「北山炎華」、
これにて終了です。

もしよかったら「読んだよー」の一言でもいいのでコメント入れてくだされば
著者のシルフさんにとっても励みになると思いますので宜しくお願いします



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コメント (10)

琉球短編小説「北山炎華」3/4

2010年10月31日 |   …… 「北山炎華」


「北山炎華」(3/4)
 
 1/4はこちらから。 2/4はこちらから
著作/シルフ(P.N)   


さきほど優勢であったことが嘘のように、攀安知軍は尚巴志軍に追い詰められていた。
致命傷を負い、死んでゆく者。
兵である誇りを忘れ、逃げ惑う者。
先ほど報告があった一の郭も、あと少しで陥落しようとしている。
「…っ!!」
攀安知は思わず言葉を失った。
「(予想はしていたが・・・まさか、これほどとは…!)」

と、その時
サァッ
戦場には似合わない、清涼な風が攀安知の頬を撫でた。
「!?」
気配を感じて振り返ると、腰に刀を差した青年――おそらく20代半ば頃だろうか――が立っていた。
「…誰だ。」
「尚巴志軍が小部隊の頭、護佐丸と申す」
「護佐丸?」
 聞いたことがある。たしか、若くして読谷山の按司となり、尚巴志軍に所属しているという、あの。
「…貴様があの護佐丸か。お前の噂は、耳にしたことがある。」
「お見受けするところ、攀安知殿、ですね。一国の王に名を知られているとは、至極光栄。」
うやうやしい態度が妙に苛立って攀安知は剣を握る手に再び力をこめた。
「誰であろうと所詮は尚巴志の犬!これ以上侵攻はさせぬ!!どうしても、というならばわしを倒してみよ!」
「もとよりそのつもり。この地を追放された我が祖先の恨み、今ここで晴らさせてもらおう。その首、私が貰い受ける!」
二人の視線が交わり、
そして、
キィィィィィィィン!!!
二人同時に斬りかかり、その刃が交じった。
キィンッ、カキンッ、シュッ、シュッ!!!
その後も次々と襲ってくる護佐丸の刃。それを受け、斬り返す攀安知。
「(なんと、この若さでこの腕とは!)」
護佐丸の剣を払いながら、攀安知は思った。
「(殺すにはなんと惜しい男か。)」
一方、護佐丸も戦いながら思っていた。
「(くっ・・・強いっっ!!)」
シュッ
風を斬る音。とっさに護佐丸は身をかわす。
「(さすがは攀安知っ、伊達に一国の王を務めていないというわけかっ!)」
シュッッキィン!シャッ
お互い、浅い深いにかかわらずお互いに傷をつくり、斬ってはかわし、かわしては斬り、剣をかわして交わして、また斬りかかる。
両者の実力は、ほぼ互角といってもいいほどだった。だが
「くっ!」
少しずつ、少しずつだが、護佐丸が押され始めた。なぜなら、攀安知が持っていて護佐丸が持っていない、決定的なものがあるからだ。
それは、『経験』
お互いの力が拮抗し合っているというのならば、勝負を分けるのは運、もしくは経験の差である。
その場の空気を読み取り己の力に変える力。どこを攻撃してくるかを察知できる勘。
それらは修行しただけでは手に入れることができない。

護佐丸が焦りを感じはじめたその時、
ドドォ…!!!
辺りに轟音が鳴り響いた。
「一の郭が!一の郭が落とされたぞ!!!」
「!!」
攀安知が動揺した隙を護佐丸は逃さずに、すかさず剣を突き出した。
攀安知は身を翻しなんとか致命傷をうけずにすんだが、それでも腹に浅くはない傷を負った。
その上、攀安知の軍が騒ぎ始めた。
「一の郭がっ!!」
「ああっ!もう終わりだぁ!!!」
「ま、まってくれ!!殺さないでくれ!!そちらの軍に入るから!!いや、入らせてくれ!!」
攀安知の独裁主義に飽き飽きしていたのはなにも本部平原だけではない。
今までは彼に対する恐怖で従っていた兵たちも、攀安知のために命を捨ててまで城を守ろうという考えの者は今やほとんどいなかった。
「…もはやここまでか…。」
ばらばらと、遠くで城が崩れる音が聞こえる。恐らく、全壊するのも時間の問題だろう。
我が城が、我が領土が、我が国が。
……それならば。
シュッと剣をかまえ直した攀安知を見て、護佐丸はこちらに向かってくると思い、警戒した。だが
バキイィン!!
攀安知が愛刀・千代金丸の切っ先を向けたのは、護佐丸ではなく、この城、そして北山の守護神ともいえる霊石であった。
「なっ!!攀安知殿っ!?なにを!!」
「くくく…ははは…こうなれば道連れじゃ…。」
そう言った後、攀安知はくるりと護佐丸に顔を向けた。
「おい、護佐丸。わしの、この言葉を覚えておけ。お前が今までやってきたことは全てお前に返ってくる。相手を裏切れば己が裏切られ、そして」
うっすらと笑みを浮かべ、まっすぐに護佐丸を見据える。
「相手を騙せば、また、己も騙されるのだ」
「…何が言いたいのです。」
「くく、まあよい。いずれ分かることだ。」
攀安知は千代金丸を持ち替え、
「誰かの下にくだるぐらいならば、…わしは、自ら死を選ぶ。」
言い終わるやいなや、思いきり己の身に突き立てた。
「!!」
彼の愛刀・千代金丸はさすがの切れ味といったところか。いともやすやすと、その刃は攀安知の身体を貫いた。
ゆらりと、その身体は揺らぎ、
どさり
地面に倒れるその様子は、巨大な古木が倒された時のそれにも似ていた。


一輪の遅咲きの緋寒桜が、攀安知の傍らに散り、やがて炎に包まれていった…。


―――その後、戦は尚巴志の勝利に終わった。
まさに、尚巴志の知略が功を奏した戦いだった。


4/4 に続く



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コメント (4)

琉球短編小説「北山炎華」2/4

2010年10月30日 |   …… 「北山炎華」



「北山炎華」(2/4) 
 1/4はこちらから
著作/シルフ(P.N)   


「本部!!本部はおるかぁ!!!」
城に戻った攀安知は大声を上げ、彼の名を呼んだ。
「もと…」
いた。
彼は仁王立ちで、攀安知を待っていたかのように ――実際待っていたのだろう―――そこにいた。
彼は攀安知の姿を認めると、
チャキッ
持っていた剣の切っ先を彼に向けて、言った。
「おお、これはこれは、王ではございませんか。一体、どうなさったので?」
「それはこちらの台詞だ。これは一体どういうことだ!?」
「おや、まだわからぬのですか。あいかわらず理解力が乏しいようだ。」
本部平原は、攀安知を嘲笑いながら言った。
「諮りおったな!!!」
「諮った?くくく…ははは!いままで、ずっと耐えてきた。
お前のわがままに合わせ戦略を授け、勝利に導いてきたのに、お前は一人で威張り腐りおって手柄はほとんど自分のもの!!
お前に対する民の不満も膨らみきっておる!今こそ時は来たのだ!」
本部は、宣言するように一層声をはりあげた。
「攀安知!!我は既に中山に下った!!これは謀反などではない、お前への天誅だ!!!!」
「貴っ様あぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁ!!!!!!!」
カキィィン!!
怒りに任せて剣を抜いた攀安知は、本部平原に斬りかかる。
が、その剣は攻撃を予想していた本部平原によって止められた。
「貴様・・・今まで副将として側においてやった恩も忘れ裏切るとは!!」
「そのようなこと、頼んだ覚えもない。だいたい、これからはっ!」
シュッ
「私の!この本部平原の時代なのだ!!」
言葉とともに、本部平原は剣を突き出した。
「黙れぇぇ!!」
カシャァァン!
「黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!」
剣を打ち返し、言葉の勢いを叩きつけるかのように、攀安知は重い突きを繰り返す。
「尚巴志だと…?あの者になにができる!!」
攀安知のはげしい攻撃が本部平原を襲った。
「あやつが仮にどんなに強かったとしても、どんなに優れた兵士を持っていたとしても!!ここは琉球!!
数多くの強豪が、国々が集まる戦いの地なのだぞ!」
剣を繰り出しながら、攀安知は言葉を続ける。
「そのなかをくぐり、勝ち進めることがあやつにできると思うてか!!」
カッキイィィィィィン!!!
ギチギチギチ…
剣を合わせたまま、彼は言った。
「考え直せ。答えは明白であろう!今までの功績を称え、今回のことは水に流してやる。さぁ!!」
「笑止!!」
 攀安知の剣を押し返し、本部平原は答えを口に出した。
「先ほども言ったであろう!攀安知!これからは私の時代だと!お前のことなど、もはや主とも思うてないわ!!」
ごぉぉぉぉ…
そう叫ぶ本部平原の後ろで、炎に包まれた城が燃えている。ところどころ、ばらばらと崩れてきていた。
「…そうか。」
 攀安知は口を開いた。
「それならば…貴様にもう用はない!!!!」
「用はない、だと!?それはこちらの台詞だ!!攀安知!!!!!!」
いきり立ち、本部平原は力強く剣を振った。だがそれに負けず劣らず、同じぐらい重い攻撃を返す攀安知。
キィィン!!ガシィンッ!!!
目まぐるしく、剣の刃と刃が飛ぶ。
その様子は、剣舞というより、力と力のせめぎ合いであった。
剣と剣がぶつかり合うたびに細かい火花がチリ、と飛ぶ。
両者のあいだには、誰にも邪魔できないような気迫があった。
だが、これが主と従の差、支配者の力と言うものなのだろうか。攀安知の刃に、本部平原は押され始めた。
「ぅぐっ!!」
とてつもない力を乗せて襲ってくる刃を、なんとか押し返す本部平原。
と、その時、本部平原のふところが一瞬開いた。その隙間を見逃さず、攀安知は彼の胸部を一文字に斬った。
グシャァァァァ
「ぐぁぁっ!!」
たちまち身体から血を吹き出し、本部平原は地に倒れ伏す。
「こ…の……」
「裏切り者として死ぬがよい。」
「う…ぐ…ぁ…」
本部は諦めきれぬように震える手を伸ばし、攀安知の裾をつかんだ。
だが、攀安知はその手を投げ捨てるように振り払った。
「貴様ごときが、このわしに触れるな。裏切り者め。……とどめだ。」
グサッ
「ぐぁっっ」
攀安知は己の剣を本部平原の心の臓に届くように刺した。
本部は最後の抵抗なのか、攀安知の目を睨み返した。が、ついにその瞳の光も失われ、事切れた。
攀安知は彼の身体に足をかけ、ブシュッと剣を引き抜く。
一気に鮮血が噴きあがる。
足元に転がるかつての側近を見下しながら、攀安知は返り血を拭った。
「チ…ッ。この愚か者めが。」

が、裏切り者を仕留め終え、ふと冷静になると、急に周りの音が聞こえてきた。
カキィィン!と、剣と剣がぶつかりあう音。
兵の雄叫び。
戦況は、今どうなっている!?まさかとは思うが、負けているのではあるまいな。
「…そんなはずはないっ!!」
攀安知はかぶりを振り、その不安を拭い去ろうとする。
「(わしは攀安知だぞ!!そのわしが負けるなど、そのような戯けたことがっ…。)」
だがしかし、一抹の不安がなかったわけではなかった。
断末魔。
気のせいだろうか血の匂いも漂ってくる。
「攀安知様!!」
小部隊の頭が、駆け寄ってきた。が、本部平原の死体を見て顔を青くする。
「なっ!?本部様っ!?これはいったい…!?」
「こやつが裏切っておったのだ!!いや、死んだ今、それはもはや関係ないな。」
小部隊の頭は、本部平原の死体をみた衝撃で動けない。
そこへ、別の兵がやってきた。
「大変です!!尚巴志軍が一の郭にせまってきました!!」
「なに…っ!?」
「裏門から挟み撃ちにされ、兵を制圧されたのです!!!ただいま、応戦してますが…おそらく…もう…!」
「くっ…!」
この城で共にすごしていた本部平原が進入の手引きをしていたのだ。恐らく、この城の内部の様子も熟知しているのだろう。
「ここで腑抜けていても仕方あるまい。一の郭へむかうぞ!!」
「は、はっ!」
攀安知は部下を引き連れ、目的の場所に向かって走った。


3/4 に続く


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琉球短編小説「北山炎華」1/4

2010年10月29日 |   …… 「北山炎華」

さて、昨日予告しました北山戦をモチーフにした短編小説、
公開いたします!

書いた人はワタシじゃなくて、P.Nシルフさん。
(本人の希望によりP.Nで掲載)
写真はワタシ。

絵でも写真でも小説でも、何か自分で作り出したら、
アウトプットして色んな人に見てもらうのが上達の秘訣!
というわけで、彼女のためにもご意見・ご感想もお待ちしております♪

…あっ、ルビふれないので登場人物だけは読み方書いておきますね。

・尚巴志(しょうはし)
・護佐丸(ごさまる)
・攀安知(はんあんち)
・本部平原(もとぶ ていはら)


4回分割で掲載します☆
では、始まり始まり~。



 

「北山炎華」(1/4)  著作/シルフ(P.N)



 
うおおぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおぉぉ!!!

鎧を身に纏った男たちが、己の武器――剣や槍をつき合わせ、戦っている。
辺りには砂埃が充満し、血の匂いが漂い、断末魔の叫びや男たちの雄叫びが呼び通うというような状況だった。
1416年、場所は琉球北山、今帰仁グスク。尚巴志率いる中山軍は劣勢へと追い込まれていた。


「…尚巴志様!!」
尚巴志の元へ、戦況を報告にきた部下が駆け寄る。
「敵の猛攻が激しすぎます!!このままでは…。」
知性的な涼しげな目元をした男がゆっくりと振り返る。
「そう焦らずともよい…。」
焦る部下とは対照的に、彼は冷静だった。
「さすがは今帰仁、難攻不落の城よ。だが、こちらにはもう一攻……。」
そうつぶやく尚巴志の後ろから、その首を狙い数名の兵が向かってくる。
が、その時。
シュッ
一陣の風が吹き、兵は血を噴出しながら倒れた。
その音を聞いた尚巴志は口元に不敵な笑みを浮かべ、
「待っていたぞ。」
振り向き、敵を倒した者の名を言った、
「護佐丸!」
そこには、虎のように鋭い目をした青年が立っていた。
「尚巴志様。」
護佐丸は尚巴志に向かって跪いた。
「ご命令どおり、裏門にて奴らを挟み撃ちに。順調に敵を片付けております。」
「うむ。」
尚巴志は満足そうに頷いた。
「し、しかし、尚巴志様っ。」
先ほど戦況を伝えに来た部下が、周りの兵士の雄叫びにかき消されぬよう、大声で話かけた。
「敵の攻撃は相変わらずです!このままでは、確実に……。」
「ふ…、心配には及ばん。」
尚巴志は笑った。
「既に手は打っておる。」
にっこりと、しかし油断できない笑みで。

*

さて、時は少し戻り―――

「攀安知王。」
今帰仁グスク一の郭の館で、本部平原は彼、攀安知に声をかけた。
「中山の尚巴志めを蹴散らすことなど、王にとっては赤子の手をひねるがごとく容易いことでしょう。
ですが、このまま城に篭った受身の体制のままでは、諸国や周りの者どもになめられてしまいます。
そこで、不肖この本部平原、ひとつ提案があるのですが……。」
「なんだ。言うてみよ」
攀安知は身を乗り出して、眼前の本部を見据えた。
「私の軍と王の軍、交代で城外に出て戦うのです。
さすれば敵はますます恐れおののき、諸国は王への畏敬の念をますます高めることでしょう。
また、何より我らが兵たちの良い訓練にもなりましょう。」
「ふうむ。なるほど。」
彼はにやりと笑みを浮かべた。
「本部。さすがはわしの右腕。北山軍副将だ。」
「もったいなきお言葉、ありがとうございます。では、まず手始めに私めの軍から…」
「いや。王たるもの、民草にどうあるべきかを示してやらねばならぬからな。
わしの軍から行こう。」
「ははっ。仰せの通りに。」
そういいながら本部は頭を深く下げた。
その口元に、うっすらと笑みが浮かんだことに、攀安知は気づかなかった。

*

「全軍、進めえ!!」
うおおぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!!!
雄叫びと共に、攀安知の軍が尚巴志軍を追い立てていく。
「ふははははははは!!!!まるで蜘蛛の子を散らすように逃げてゆくわ!!」
攀安知は意気揚々と馬を走らせていた。
「所詮中山、我が北山に勝てるはずもなかろうて!!!!」
「攀安知様!」
「チッ……なんだ。」
駆け寄ってきた部下に高揚していた気分を害され、少し不機嫌になる。
「後ろをご覧ください!城が!!」
「城?…なっ!?」
背後を見ると、そこには
「ど、どういうことだ!?」
轟々と、こちらにまで音が聞えそうなぐらいに激しく城が燃え始めていた。
「し、城が!!我が城が!!」
攀安知は振り返り、兵たちに叫んだ。
「すぐに戻れ!!戻るのだぁ!!!」
「「「「はっ!!」」」
だがしかし、尚巴志軍を追い立てていったせいで、ここから城まで結構な距離が開いていた。
「(果たして間に合うかっ!?このような緊急時に城に残っている本部は何をしておる!!?
……それにおかしい…)」
馬を翔けながら、ちら、と後ろの尚巴志軍に目をやり攀安知は思った。
「(奴らめ、なぜ追ってこない!!?今なら絶好の機会だというのに…!!…まさか…。)」
ヒヒーンッ
周りの訝しげな視線を受けながら、攀安知は馬を止め、尚巴志軍を見据えた。
すると、
「…!!?」
一瞬。
にやりと笑みを浮かべた尚巴志軍と目が合った。
「くそっ!!」
攀安知は力任せに馬をけり、再び走らせる。大きく見開いたその目は血走っていた。
「(笑っていた!?…まさか!まさか!!まさか!!!!)」


2/4 に続く




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台風14号と予告

2010年10月28日 |   …… 「北山炎華」

台風キターーーーーーー。


午後から休みなりました。
(午前中はみっちりシゴトしたぜ!)

1年に2度も当たるとは、
近年の沖縄台風激減の状況ではめずらしいです。


思いがけず休日になりましたので
(もしかしたら明日も?でもそうなったら土曜日は返上だわ)
フォトブック(イラストブック)の編集、済ませてしまおうかな。



…と、ここで予告を。



ウチノコ(チュウガクセイ ♀)が、尚巴志の北山討伐を題材にした短編小説を書き上げました。

ワタシも監修(監督?(笑))で関わってます。

3回くらい書き直しさせたりしてましたが、
本日、とりあえずの完成となりました。

そこで、

「せっかくなら色んな人に見てもらわない?」

ということで、このブログで公開することになりました


タイトルは
「北山炎華(ほくざんえんか)」
↑実はこのタイトルはまた別の人に依頼して命名してもらってます。

主に攀安知と本部平原の確執を描いたものです。
(それに尚巴志と護佐丸がちょこっと。)


コドモの書いたもので、文体としては台詞と効果音が多いですが(笑)
でも、ワタシ的には
「なかなかいいんじゃな~い?
と思ってます。


今、彼女からデータが送られるの待ち中。。。なんですが、
届き次第、公開スタートしますね。

たぶん、4回くらいに分けることになると思います。
(全20ページ)



北山つながりってことで、
1枚目の写真は、今帰仁グスクの猫!
2枚目の写真は、今帰仁グスクから見た夕日!
舞台「北山の風」の時に撮ったものです)

今帰仁グスクには猫がたくさんいます

 

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