がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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百十MOMOTO

2023年02月19日 | ・現代版組踊レポ

 

百十~MOMOTO~

2023年2月18日(土)夜公演

響ホール

 

 

ひとまず、行ってきました記録。

前回の百十観劇は2019年1月でした→


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現代版組踊20周年の特別公演:琉球伝信録

2019年08月31日 | ・現代版組踊レポ

 

琉球伝信録

2019年8月25日(日)

てぃるるホール

那覇青少年舞台プログラム+全国の現代版組踊チーム(有志)+OB・OG

 

2日目の朝公演を観劇ました。
(昼公演じゃなくて朝公演!)

 

 

+ + +

 

 

今回の公演は組踊300周年と、
現代版組踊発足20周年を兼ねた特別公演。

1部では平田さんコーナー、
2部が本編・琉球伝信録という2本組。

 

「琉球伝信録」は元々那覇の舞台なので
那覇チームが主ではありますが、
それに全国の現代版組踊チーム、
北海道から石垣までの有志+OB・OG、それに特別出演等が加わって
総勢70名余り(前回の1.7倍!)のスペシャルバージョンでした!

 

見ごたえが増さないわけがない。

 

全国からのメンバーはアンサンブルだけではなく
主要キャストにもがっつりキャスティングされて、

実際に一緒に合わせるのは本番間近になってからだろうに、
(ツイッターで拝見する限り1週間前とか?)
息の合った演技・演舞で、
最初から一つのチームだったように
まっったく違和感ありませんでした。

本当にすごい。

これまでも鬼鷲とか他チームが出演することはあったけど、
全国の10団体が参加して1つの舞台(アトラクションではなく)っていうのは
おそらく現代版組踊史上最大では!?

WOW!!

もう、現代版組踊チームは完全にボーダーレス!!

すばらしい!!

 

最後のメンバー紹介で
各チームごとに紹介&挙手して起立したのは
誰がどこのメンバーなのかがしっかり分かって良かったです!

パンフレットにも明記されてたけど、
実際に舞台上で紹介してくれて、その姿を見たら
より「おお~~~!」ってなる☆

 

 

ストーリーとか構成とか演出とか、
これまで書いてきていることは今回も同じく、
ということで割愛するとして、
今回印象的だったシーンをいくつか。

 

 

@玉城朝薫が組踊誕生に近づく心の移り変わり


国劇創作の重責を担って、悩み苦しみ葛藤する朝薫が
次第に手ごたえを確信していくシーン。
(BGM:星のゆりかご)

その心の移り変わりが、これまでよりもひしひしと、手に取るように伝わりました。

いきなりドカーン!とひらめいて、すぐに組踊ができたわけではなく
朝薫自身が試行錯誤しながらも、
「…うむ」「よし…」「そうだ…!」「これだ!!」と
組踊を作り上げていく様=時間の移り変わりも感じ
次の冊封のシーンへのつながりがとても自然に感じました。

男の子演じる朝薫も久々だー♪

クライマックスのダイナミック琉球では、
やっぱり扇子の振りが見たかったな。
琉球伝信録だけのダイナミック琉球って感じがあって、特別感が出ると思うし
主人公"踊奉行:玉城朝薫"を今一度印象付けられると思うんだー♪
(朝薫は空手をする武人=男群ではなく、文人=女群であってほしい派)

 

 

@完全強硬派の蔡温


対して、女の子蔡温は初めて見たかも!?

今回の蔡温は、迷いや良心の呵責など一切捨て去った完全強硬派。

簡単に言うと、完全敵役、嫌な奴。

おおぅ。

その分、(これまでに比べると)蔡温への好感度はちょっと下がるんだけど、
朝敏連行のストップモーション明け、すぐの
「さっさと連れて行け―!」のバンド音をかき消すほどの全力怒号100%は
メリハリが効いててドラマ性UP、トリハダものでした。

ふむぅ。

こう考えると、弱さを一切見せずに怒鳴る蔡温っていうのも
一切の迷いを振り切り信念をつらぬき通すための表れ…とも思えますね。

 

 

@最高のおじぃ感とサトウキビ感


三司官の…真ん中の人、伊舎堂親方?

現代版組踊ではいっさい外れがないおじいちゃんキャラ(笑)

私がすごいと思ったのは、場面転換しての初登場、
ライトが当たってその姿が見えたその瞬間、
ただ座っているだけ、まだ一言もしゃべってもなく動いてもないのに
その佇まいでそのキャラクターが伝わった事。

首を落とした前かがみの姿勢と、
唇を内側に隠した感じ(はーもー)と、
目をしょぼしょぼさせた表情

それだけですでにおかしみを覚える。
(やはり、佇まいだけでキャラクターを表現すってできる!)

 

サトウキビ畑での他の2人の三司官とのやりとりもサイコーでした(笑)

名護親方も加わって、
はっさもー、じいちゃんじいちゃんしてからにや~(笑)

三司官も、基本、朝薫を良く思わない嫌な奴側なんだけど
おじい三司官をあれこれ世話するから、
何だかんだとみんな微笑ましく見えたよ(笑)

 

薩摩奉行のサトウキビも、
ざわわと自ら歌う前に、手の振りだけで「ざわわ」を感じたし、
「那覇センセイション」のフレーズをぶっこんできてたのも気づいたよ

 

 

って、ここまで書いて気づいたけど、
これらの演者さん、みんな那覇以外のメンバーだ(!)

細かいところまでだいぶこだわって演じてるなと感じたのは
那覇の舞台やその役を、徹底的に研究して努力した故なんだろうな。

なるほど納得。

 

 

もちろん、那覇メンバーも安定の演じ&演舞っぷりでした!

尚敬はまろやかで品のある声で凛としてたし
名護親方もおじいちゃん声だけどしっかり聞こえるいい案内役だったし
朝敏もその無邪気さとかわいさで人気をかっさらってたし。

アンサンブルの小学生メンバーもたどたどしさもなくしっかり踊ってて
これからの成長が楽しみ!

バンドも演奏するのが楽しい!っていうのが伝わる元気さでした。

 

 

@組踊:二童敵討


芸大卒業生による古典披露の演出も久々!

上り口説(の演奏)と、二童敵討。

あまおへ(阿麻和利)含む演者は全て女性の方でした。

(古典)組踊そのものの形式だったんだけど、
後で名護親方がしっかり解説してくれたのでノープロブレム。
(「阿麻和利さん、何言ってるか分からないね~」と…(笑))

披露は一部のシーンだけだったとはいえ、
(古典)組踊に興味を持ったお客さんもいたんじゃないかな!?

これぞ、現代版組踊の妙☆

現代版組踊はミュージカルじゃないの。

「現代版」の「組踊」なの

 

対して、友情出演の波上宮獅子舞保存会の獅子舞は
今回あまり目立ってなくてもったいなかったので、
もうちょっと表に出て来てても良かったな…。
(最後に紹介…も、し忘れてたよね?(^^;))

 

 

というわけで、
盛りだくさんの「琉球伝信録」スペシャルバージョン。

現代版組踊発足20周年の節目に、
全国の現代版組踊チームの底力と可能性を
大いに見せつけてくれた公演でした

 

全国の現代版組踊チームの活躍を
これからも応援しています!

 

 

 

+ + +

 

 

 

ただ、

今回、

残念だったことが一つ。

ごめんなさい、
やはり今後の現代版組踊運営のためにも大事なことだと思うので

書かせていただきます。

 

それは、
第1部の平田さんのパート
(現代の踊奉行・平田大一の夢物語-いろんなゲストとコラボします!30分枠)が、

開演15分前に始まって、
開演5分で終了したこと。

実質20分。

(内容は平田さんソロの「星のゆりかご」と
ゲストとの「ダイナミック琉球」の計2曲)

 

あくまでも開演は10時30分だったので、
15分前(10時15分)に始まっている最中にも
お客さんはどんどん入ってくるし、
ゲストとのコラボも、たった1曲で終わったのは

「え、これで終わり!?(開演前に始まったのは早く来た人のためのサービスじゃなくて!?)」

ってなりました。

 

ええ、わかります。

2部の本編が思ったよりも長くなっちゃって
1部の平田さんの方を短縮せざるを得なかったんですよね?

そして、午後の公演時間の関係で後ろにずらすことはできなかったから
開始を早めるしかなかったんですよね

そんな運営上の事情も、大いに察せますよ。

 

 

でも、

そうなら、

せめて、

前もってちゃんと情宣しなきゃ!

ツイッターでもHPでもブログでも!
すべての媒体で!

こういう事情で開演が早まりますって。
チラシ情報とは変わってしまうけど、ご了承くださいって。

たとえ、時間変更の決定が、公演直前、前日であっても!

見に来るお客さん全てにこの変更を周知させるために
必死になって動かなきゃ!!

(本来なら、予約してる人には全員、直接電話して伝えるべき。
開演時間の前倒しはそれくらい大変で、大事なこと)

 

私はたまたま早めについたから
最初から全部見ることはできたけれど、

もし開演直前に到着してたら(その可能性も十分あった)
平田さんの1部はほぼ見れなかったわけで…。

実際、他のお客さんの中には、そうだった人もいるわけで。

公演時間に間に合わせて来ている人には、
何も落ち度はないのに、
本来見れるべきものの大部分が見れなった、
というのは…いかがなものでしょう?

 

平田さんの1部は今回の公演の特別枠、目玉のひとつだったはずなのに、
このような形になってしまっていたのは
非常に、非常に、残念でした。

そして、披露された2曲はやはり素晴らしかっただけに、
ちゃんと30分枠でもっとしっかり聞きたかったよ…。

 


運営さんへ。

私もこれまでにイベントの主催側だった経験もあるし、
主となって企画したり全体を動かす立場だったことも何度もあるので
運営の大変さも十分わかります。

でも、

公演の「全て」を楽しみにして、
お金を払って、遠方からも見に来ている、
受け取り手=お客さん=第三者の、視点・立場を忘れないで下さい。

お願いします。


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2018年度最後は琉球伝信録

2019年03月30日 | ・現代版組踊レポ

 

琉球伝信録

2019年3月23日(土)

上山中学校体育館

那覇青少年舞台プログラム+チーム鬼鷲(有志)

 

初演(夜公演)を観劇しました。

 

年度最後の現代版組踊(沖縄)は琉球伝信録、
というのがパターンになってきました。

毎年のことながら、年度末のバタバタで
なかなかじっくりレビューを書くこともままならないのですが、
少しだけでも書いておきます。

 

まずは、会場のこと。

公立学校の体育館ということで、
ホール会場が取れなかったであろうことを察しつつも
照明とか舞台美術とか音響とか、
一体どれだけできるんだろう?…と。

でも照明も音響もかなり機材を持ち込んでいて、
背景の首里城幕も健在でビックリ。
(え、これどーやって設置して上げ下げしてるの???)
こんなハイテク仕様な体育館、初めて見たぞ?

 

懸念していた座席も、
後方に椅子席、前方は地べたでしたが
体育館ということでゆったり座れて
お客さん同士の圧迫感とか、視線が遮られるとかは
ほぼなかったです。

演出的にも、舞台上で演技進行してくれたのは
とてもありがたかったです。

(ただ唯一、朝敏の捕縛シーン「だけ」、
舞台下演出だったので見えにくかったのが残念
見せ場なだけに、ね…)

 

音響はね、もうしょうがない。
普通の体育館での音響って、難しいんですよね…。

そもそも体育館はスポーツをするための施設だしなぁ…と
改めて建築構造の違いやそれが与える影響の大きさに納得。

それゆえ、音響面では公民館よりも難しい。

那覇チームの売りであるバンド音響は概ねばっちりでしたが
そっちのマイク?との兼ね合いか、
役者の声がスムーズに届かないことがちょっと多かったかな…。

これはしょうがないとは思いつつ、
やっぱりもったいなかったな、というのが正直な気持ち。



次は是非ともホール会場が取れたらいいね…

と思っていたら、

夏に!

てぃるるで!!

琉球伝信録決定!!!

しかも!!!!

平田さんや他の現代版組踊チームとの特別公演!!!!!

これは朗報!!!

見逃せませんね☆

 

 

 

さて、話を戻しまして。

主人公の4名は今回初キャスト?なのか、
どれも新鮮に感じました。

男の子朝敏は初めて見た気がする。
女の子朝敏の時は無邪気でかわいい系キャラな印象だったけど、
男の子だとまたそれともちょっと違って見えました。
かわいいという印象は薄まって、
より逞しいというか、そんな感じ?

 

蔡温は去年よりもより強硬な感じが強かったな。
朝敏が連行された後、ハケる時にすこーし立ち止まったこと以外は
なかなかワルな人物表現でした。

この舞台での蔡温は、肝高の阿麻和利での金丸みたいに
色々解釈&表現ができると思っているスパイス的存在なので、
演者さんがどんな解釈をしてどう表現するか、毎回楽しみです。

 

名護親方は安定のおじいちゃん。
ほくろも健在(←そこ?(笑))
名護親方はサトウキビ畑のシーンが好きです。
三司官らを鬱陶しがって煙に巻くあたり、
人間味があって好き。

 

朝薫も安定した優等生。
思えばワタシが受ける朝薫の印象って、初演の頃から変わらないかも?
1番上品で優等生だからかな?
はっちゃけたり感情をむき出しにすることもないしね。
人物の個性って、弱点や欠点に現れると思っているので…
(とはいえ、さすがに『黙示録』の朝薫みたいに
ぶっとんだキャラ設定にするわけにはいかないだろうけど😅

どの演者さんでも安定のTHE玉城朝薫。
それが悪いという意味ではなく、
なんとなくそんなことを思いました。

でも今回ダイナミック琉球で
朝薫の扇子バージョンが見れたのは嬉しかったな♪
力強さの中にある優雅さ、それでこそ朝薫だ!

 

 

ストーリーや演出などについてのアレコレは
前回がっつり書いたので割愛。

(朝薫が朝敏の連行のすぐ後のナレ死で、唐突な感じがするから
彼の死の布石は、やっぱりちょっとあったらとは思うけれども…

 

 

そういや、今回尚敬の佇まいが妙に印象的だったなぁ。

少年だけど(※13歳即位、19冊冊封)、
王様としての凛とした雰囲気があって、
部下らを見る時が、流し目っぽくてがセクシー(!?)♡

そして最後の、
「あの世」についての会話で初めて見せる笑い声にギャップ萌え。

(ワタシ、尚真は無邪気系で描くこと多いけど、
この尚敬だったら同じ10代王でも全然違った感じで描くなぁ~)

 

 

アンサンブルさんは友情出演のチーム鬼鷲を加え
大人数でとても華やかでした。

小学生メンバーも頑張っていました!

チーム鬼鷲メンバー、
県外の公演にも参加してたり
色んな舞台で活躍していますね~。
毎度ながら、スゴイです。

 

 

 

さて、この辺でタイムリミット。
(レビュー書いててうまくまとまらなかったり、
キリがない時もあるので、もう書く時間で区切ることにしました。
尻切れトンボ感があるのはご容赦を!

 

夏公演にも期待しています!


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鬼鷲、10周年

2019年02月17日 | ・現代版組踊レポ

 

 

鬼鷲ー琉球王尚巴志伝―

2019年2月11日(月・祝)

沖縄市民会館大ホール

 

年に一度の鬼鷲の舞台。

昼公演を観劇しました。

今年は念願のホール(しかも大!)公演!

沖縄市民会館は駐車場の心配もないし、無料だし、
舞台設備も座席もばっちりだし(トイレ(個室)は狭いけど!w)
懸念材料はなし。

 

今回は、
福島県南会津のチーム息吹と
鹿児島県伊佐のチームちむどんからの
メンバー数名も加えての舞台でした。

(パンフレットにも配役などの記名がなかったので、
この2チームのメンバーははピックアップして紹介してほしかったなー。
どれがどこの誰だか分からない…皆アンサンブルだったのかな?)

 

それから初の小学生の「チーム」加入!
特別出演として1人だけっていうのはあったけど
小1~6年生まで、しめて9名!

 

今回のベスト鬼鷲賞はこの小学生チームにあげたい…

 

特に1番小さい、とにかく小さい、
たぶん小1の女の子。

 

ナニコレ、かわいい!
かーわーいーいー!!

 

大地(陸)の舞ではもう、悶えましたね。

 

アンサンブルとしての出演だったんだけど、
びっくりなことに
他のメンバーとなんら見落とししない動き!

たどたどしくも一生懸命でかわいい…
とかじゃなくて、
中高生メンバーともばっちり揃ってるし
よく動くしキレもあるし
あんなに小さくなければ、
小学生って気づかないくらい。

しかも1シーン(1曲)だけじゃなくて、
何シーンにも登場。

これはもう…おみそれしました

 

チビ尚巴志君も小学生だったのかな?
うーん、やっぱりパンフレットに配役表記欲しいなぁ…。


鬼鷲メンバーの演技演舞のレベルの高さは昔からですが、
まさか新・小学生チームまでもとは…
とにかく驚かされました

 

 

そして今回は特別ゲストとして
宮沢和史さん、イクマあきらさんが登場!
(大城クラウディアさんがこれまで通り
音楽チームの歌姫として)

宮沢さんは生ナレーション(これまでは録音)、
そして1幕のラストに「シンカヌチャー」を平田さんと共演!

う~ん、久々のシンカヌチャー。

懐かしい…

 

イクマあきらさんは2幕の幕開けに
アコースティックダイナミック琉球で会場の空気感を変え、
バンドピットでも演奏&歌を。
(でも最後のダイナミック琉球はクラウディアさんでした)

大御所の生歌、生出演はさすが迫力、見ごたえありますね!

贅沢な演出でした

(ところで宮沢さんが着てた服、もしかしてトップスはSOU・SOU傾衣の風靡?
席が後方だったので確信ではないですが…キーヤンの柄のやつ。キニナル…)

 

 

 

 

今回は新キャラが登場!

その名も「我聞」

おもろと一緒に登場する
アカインコの弟子(付き人?)という立ち位置。

目が不自由な女の子という設定で
その分「聴く」ことにすぐれているというか
聴くことで善悪を見極められる、
感性が豊かというような感じ。

舞台上でもちらっと「真さん」が触れてたけど、
えーと…これのことかな?

 

【我聞(がもん)】

〘名〙 (私、すなわち仏弟子阿難が親しく仏から教えを聞いたの意) 仏語。
仏の直説であることの証として経の巻頭に置く語。

(コトバンクより)

 

彼女によって、なんかこう…
物語にもうひとつ深い意味が…できたようでしたが…
もうちょっと見て、咀嚼しないと書けないや

 

今後もレギュラー化される登場人物なら要注目です★

 

演者さんは実際に少しハンディキャップを抱えている子のようでしたが、
思いきりのある、堂々たる演技でした

 

 

+ 

 

 

舞台は全体的に、
細かいところで色々と変わってました。

 

我聞の登場でアカインコ一行のやり取りは全体的に再構成
…だけではなく、
鮫VS尚巴志の前にアカインコ一行がもう一度経緯を説明するとか、
(なにかの繋ぎのためだったのかな…?)

シンカヌチャー→カチャーシーからの
ストップモーションでの赤犬子からの休憩アナウンスとか
(面白い面白い♪イクマさんも平田さんもストップ(笑))

乙樽が野望を燃やす攀安知を戒め?…というか心配してたり

与那覇が尚巴志寄りだったり
(本部VS尚巴志になったときに与那覇が間に入る)

冊封のシーンで「キミテズリ」の声があったり(→宮沢さん!)

 

という感じで、色々と。

全部は書けません…。

マミドーマって鬼鷲でもやってたっけ?記憶が他舞台と混ざる…(@_@;))


北山組の殺陣のシーンは音楽のテンポにあっててかっこよかったなぁ。
(百十の賢雄の最期もこういう感じでできたらな……)

 

攀安知の自害の後の
肝高の阿麻和利オマージュシーン。

今回は尚巴志ときよらが舞台はしに登場。

多くの血を流した北山戦を振り返り、
血を流さずに国をまとめるものはできないものか、
攀安知よ、おまえの死は無駄にしないぞ、

とつぶやく尚巴志。

 

攀安知への決意表明っていうのはいいですね。

血を流さずに国をまとめるものはできないものか

というフレーズは、
そのままそのあとの尚真への布石にも。

 

続いて、反対側にいたきよらが琉歌を口ずさむ。

 

おお…

 

短い追加ではありましたが
北山戦の後にちゃんと軸を尚巴志に戻してくれたのは嬉しい。

 

(個人的には、以前のように
身内の戦死→尚巴志にも痛みを味合わせると
血を流さずに…というセリフが
もっとリアリティが出てくると思う。
よって、あのシーンの復活希望!

となると、作戦会議や本部とのクールなやり取りも
若干変えないといけなくなるとは思いますが…
前はそことの兼ね合いはどんなんだったっけ…

 

蛇足ですが、
尚巴志が攀安知に約束する…
と言えば、この史跡を思い出しますねぇ♪

 

 

物語の〆はこれまでと変わらず、
やはりアカインコと尚真が全部持って行ってしまうのですが、

我聞の存在意義のシーンが入っていて
何かもう一つ模索…というか
これまでとは違う何かを作ろうとしている感じはしました。

(前述したようにまだ咀嚼しきれてないので、
漠然とした印象止まりで
それがなんなのかは(まだ)ここでは書けないのですが…)

 

 

『翔べ!尚巴志』から数えて、
初演年度(2008年度)から数えて10年になりましたが
まだまだ模索しているのを感じる尚巴志の物語。

今後どうなっていくのか、
まだまだ見守っていこうかと思います。


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今年の、百十~MOMOTO~

2019年01月14日 | ・現代版組踊レポ

現代版組踊舞台レビューについて

百十~MOMOTO~

2019年1月5日(土)

きむたかホール

出演/肝高の阿麻和利高校生メンバー・Team NEXT TAO

 

 

毎年の定期公演と定着した
"泣ける現代版組踊"殿堂入りの百十!

 

今年は2デイズで、
3人の百十踏揚役
(去年と同じチヒロさん・リサコさんと、現・百十踏揚役のエリカさん)
ということで、
どの公演も見ごたえのある悩ましい公演設定!

チヒロさんは抜群の安定感だろうし、
リサコさんは実際に「母」となっての初舞台に興味があったし
エリカさんは百十公演では初百十踏揚だし……

 

色々な事情で全部は見れなかったので、
キャストで選ぶというより、
自分自身の日程の都合だけを鑑みて、
土曜の夜公演観劇と相成りました。 

 

(奇しくも、ちょうど7年前のこの日1/5が百十の初演!

 

 

 

 

百十踏揚の幼少期、通称「ミニモモ」ちゃん。

これまではおてんばで強気なお嬢様って感じだったけど、
今回はセリフ回しが柔らかい感じで

同じセリフややり取りなのに
(賢雄をポカっともするし)
これまでのような
強気なおてんば感はそんなになくて

かわいらしい無垢なお嬢さん

って感じでした。

この感じ、好きです♡

 

 

 

大人百十踏揚はリサコさん。

元々おきれいで姫感抜群なのですが、
これまでよりも柔らかい雰囲気というか、空気を感じました。

母性ってやつかしら。

思徳との別れのシーンなどは
泣きの演技がもう演技じゃなくて、
嗚咽感や震えている感じがまさに迫真の…でした。

阿麻和利の霊が笛を吹き百十踏揚が踊るシーンでも
思戸に話しかけられて我に返ったとき、
涙を拭う仕草をしていたりと、
より百十踏揚の「想い」が伝わる百十踏揚でした。

 

 

 

思徳金も素晴らしかった!

これまでよりも仕草などにダダこね感が出てました。

百十踏揚との別れに「嫌だ!」ってハッキリ反発したり、
地団駄ふんだり、
百十踏揚と抱き合った後もさらにすがったり、
田場を振り払うのも1回ではなく何度もだったり。

お母さん大好きな子供感が最高に出てて、
だけど同時に意思の強さも感じられたりして
余計に涙を誘いました。

カーテンコール後の墓参りのシーンで
百十踏揚の気配を感じてふわっと笑顔になったあの感じに、

…涙。

このカーテンコール後の一連のシーン、毎回泣ける
(ワタシだけ?^^;)

 

 

 

賢雄は初キャスト。

鹿児島徳之島、結シアター手舞の卒業生。

つまり、県外(鹿児島)の子が、
琉球史に触れ、琉球史の武将を演じてくれました。

きっと他の沖縄のメンバーさんよりも
歴史の事とか、知らないことが多くて大変だったと思いますが、
よく演じ切ってくれたと思います。

2回目、3回目があれば
もっともっと深みがでてくるんだろうな(^^)

タイプとしては
武骨な武将(漢)というよりは、
イケメンさわやか系賢雄でした。

 

ところでいつも思うんだけど、
最期のシーンの殺陣はあの武器(薙刀的な)の関係で動きにくいんだろうか?

やたら太いしね、重いのかしら。

それとも逆に素材的にもろいから
壊さないように気をつけないといけないとか?

あのシーンは賢雄が追い詰められて
鬼気迫る迫力やスピード感がカギだと思うのです…。

なんだか動きにくそうというか
妙に気を付けて動いているように見えるんだよなぁ……。
(いや、気をつけないといけないんだろうけど)

やたらと叫ぶってのもアリだと思う。
まさに「鬼」になるってイメージ。

 

 

 

王妃に関しては前回書きつくしましたので(笑)

 

雑踏の中で母に気付くというシーンの
ストップモーションは前回はなかったような?

 

母の指輪?花?を拾った百十踏揚が
「私はもう大丈夫です」って独白があるんだけど、

個人的には、
あれだけの傷を負ったんだから「もう大丈夫」って言うのは早すぎない?
って思ってしまった。

今はまだ大丈夫ではないけれど、
(傷を抱えたまま)母のように強く生きていきたい
っていう後半のセリフだけでも良さそう。

そしたらその後の阿麻和利を想うシーンで
「大丈夫だと思ったけど、でも時々…」という説明もなくて済むし…☆

 

 

 

 

田場は現・阿麻和利君。
別に白髪とかそういう見た目ではなかったんだけど
「じいさま」感でてたな☆

どっしり、ゆっくりしたセリフ回しが
そう感じさせたのかな?

 

各登場人物について書きたいトコロですが
キリがないのでこれくらいにして、

今回の特記事項を2つ。

 

 

 

 

前回、最終公演だけ一瞬登場し、
私を呆然とさせた尚徳。

今回は出るかな?わくわく♪としてましたが、

開演前のアナウンスで2幕120分とあったので

尚徳の再登場を確信

 

1幕終了が近づき、
思戸の語りが入るころには、

内心
「しょぉ~とくっ♪しょぉ~とくっ♪
と尚徳コールをしていました(笑)

 

今回の登場はシルエットではなく、
顔もはっきりわかる舞台前方へ!

 

尚徳の恨み節と自害と衝撃音。

そして舞台後方には微動だにしないバックライトの金丸が!

 

わお!サスペンス!!!

 

尚徳はこのシーンだけの一瞬の登場なんだけど
その後の金丸に関係する重要な役どころだと思うので、
尚徳役も、しっかり「尚徳」という「人物」を理解し、
あのワンシーンでその全てを表現しきってほしい。

めっちゃ、濃い人物だから!
むしろ尚徳主人公で舞台作ってほしいくらいよ。

 

百十における尚徳、今後も要注目していきたいです!

 

…ただ、衣装は……

2幕の尚円衣装+ハチマチ+尚泰久の羽織の使いまわしで
正直妙な印象は否めなかったです

(簡単に新しく作れはしないだろうから
しょうがない部分はあるかもしれないけど、
今後、どうにかできたらいいな)

 

 

 

 

その尚徳シーンの後、休憩をはさんでの後半の開幕。

クーデターシーンがっつり!!

(でもやっぱり鬼鷲とかぶるセリフはナッシング)

 

個人的には、あのシーンの音楽やセリフの背後に
効果音として、もしくは生音声として

「オーサーレ!オーサーレ!」

の大合唱が重なってたら
最っ高だと思いました。

単なる戦とは違う、
集団心理感というか、クーデター感というか、異常感というか。

でると思うんだよね。

 

What's オーサーレ? → 

 

 

 

 

というわけで、
毎回進化していく百十~MOMOTO~。

今年もありがとうございました。

来年も楽しみにしています!

 

 

それでは、毎回のお約束を書いて〆にします!

サントラ発売希望です!!♡

願わくば「尚円王回顧譚」復活も!♡


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現代版組踊島シリーズ2018 結-MUSUBI-

2018年12月28日 | ・現代版組踊レポ

 現代版組踊舞台レビューについて

 

島口ミュージカル 結-MUSUBI-

2018年12月24日(月)

きむたかホール

 

 

島シリーズ2つめの公演は、
鹿児島・徳之島のチーム
結シアター手舞による「結-MUSUBI-」。

 

夜公演を観劇しました。

 

幕末の偉人、西郷隆盛が
奄美大島、そして徳之島に島流しになった頃が舞台で、
奄美で娶った妻・愛加那や
徳之島で出会った青年・琉仲祐との交流を描いた物語。

 

以前、アトラクションは見たことがあったのですが
公演を観るのは今回が初めてでした。

 

まず、チームの第一印象は
思っていたよりも人数が多いこと。

中でも男子が多くて
しかもみんな体格がいい!

男子みんな高3なの?
っていうくらい背も高くてがっしりしてて。

男女比、半々とは言わないけど、
4割くらいはいるんじゃないかな?

沖縄ではどこも男子メンバー獲得に苦労しているというのに…

なんと頼もしい。

 

もちろん女子も負けてなくて、
ハキハキとしっかりした印象。

 

チーム全体の
一斉発声や斉唱、総演舞などは
ピリッとした緊張感と力強さがあって
とても一体感を感じました。

 

幕開けやクライマックスの演舞
テーマソングでの演舞などは
さすが、表情なども含めて
ビシッと決まっててかっこよかったです

(♪ワイド―×4 の「手舞の空」かっこいいよねー。
CD販売なかったの残念でしたー

 

 

とはいえ、
このようなフル楽器のメインソング以外は
やはり奄美群島の島唄メインで。

奄美三線、太鼓、そしてあの奄美地方独特な歌唱法。

沖縄の三線、島唄とは全然違う
素朴で、どこか哀愁のある音色と雰囲気。

西郷さんと月照が船で行くシーンでは
それが特にマッチしててぐっときました。

前半はこのような構成の楽曲が多く
派手に、華やかというよりも
幕開け以外は全体的に素朴な印象でした。

これはこれで味わいがあって、
沖縄や他地域の現代版組踊とは
結構違った印象を持ちました。

音が作る印象って、大きいです。
(特に私は昔からテレビでも映画でも、
音楽が作品全体の評価に占める比重が大きいのです)


演奏は手舞の生バンド!(もちろん歌も!)
やはりバンドチームがあるのはいいですね

安定感抜群で安心して聞けました。


中休みを挟んでの後半からは
島唄楽曲だけでなくアレンジのきいた楽曲も。

西郷さんが沖永良部に再遠島になった時の
愛加那との別れの曲とかは、
THE・現代版組踊って感じ☆

(このシーンは背後に少しアンサンブルさんがいてもよさそう♡)

 

ラストのダイナミック琉球も
奄美歌唱で「おお!これぞ!」ってなりました。

バンドだけじゃなくて
舞台中央(奥)で愛加奈役の子が唄ってて、
神々しかったですね。

発声だけでその土地らしさを表現できるなんて、
なんという武器。

すんばらしい

 

 

劇中所々に出てくる「島口」も興味深かったです。

沖縄と似たもの、全然違うもの。

奄美ともまたちょっと違う印象?

「あぎじゃびよ!」

は、まさかの共通なのか?(笑)

(おばあ、いい味♪
おじいおばあキャラはどの舞台でもなぜか外れがないな…)

 

 

獅子舞の牛版、闘牛シーンも面白かったし、
きっと徳之島の伝統芸能であろう踊りの数々も
初めて観るもので興味深かったです。
(棒のやつ、ちょっとやってみたい☆)

 

ところで、冒頭で語り部として出てきた「ゆい」は
結局何者だったのでしょう…。

いつの間にかいなくなっていましたが…。

びしっとジャケットを着た「デキる女風」だったので
アカハチみたいに、現代のジャーナリスト?
と思ったのですが…。

謎。

ストーリーテーラーも
ゆい→ケンムン→仲為と次々と変わってましたね。

統一してもよさそうな…。
(肝高の阿麻和利みたくケンムンに、とか…?)

 

 

 

 

 

 

ここからは
子どもたちの演技云々ではなく
物語(ストーリー)展開として思ったこと。

 

個人的に、
徳之島の舞台ということもあって
島の青年・仲祐が主人公格なのかなと思ってましたが、
8:2くらいの"印象"で西郷さんが主人公でした。

個人的には仲祐の活躍というか物語も
もっと見たかった(知りたかった)かも。


物語の人物たち、
「人物ドラマ」としては
自体は結構淡々と(飄々と)、
あまり緩急なく進んでいった印象があります。

なので、ストーリーの展開としては
西郷さんに惚れた!とか
仲祐にしびれた!とか
そういう刺激はあまりなくて。

 

琉球史の現代版組踊みたいに
明確な対立があって、
派手な戦やクーデター、
騙し騙され、
殺されて……

という壮絶なドラマが無いから、
というのは確かにあるかもしれない。

(「鬼鷲」における尚巴志の立ち位置なんかもそれにあたりますね)

 

でも、
例えば西郷さんを主にするなら
西郷さんの苦悩や絶望、葛藤がもっとあれば…。
(大河ドラマ「西郷どん」の西郷さんが、
奄美に来てとことん荒れて腐ってたように)

自殺に追い込まれるほど絶望して荒れてる西郷さんや
家族が引き離されることの怒りや葛藤とか、
それこそ、
沖永良部での牢獄で悲惨な状況の西郷さんの姿とか

そういう彼の色んな負の感情や状況が渦巻くシーンがあれば、
もっと人間味(深み)がでるはず。

そしたら愛加那や仲祐、島の自然や人々との触れ合いの中で
西郷さんが再び使命(志)を見出すとか、
生き返るとか、
負けないとか、
人を愛するとか、
なにかしらのドラマ性がもっと出ると思う。

ひたすら落として、闇をみせるからこそ
光が際立つ…というイメージかなぁ。

 

仲祐だったら、
西郷に出会う前に持っていた島に対する不満や絶望、
出会ってからの彼の変化ぶりを、
徳之島での彼の努力や奮闘、
島の人々との関係の変化、
島の良さを知り活かす(これこそ現代版組踊のベースとなるスピリット!)活躍、
新たに抱いた志など、
マイナスからプラスへ、
それこそ生まれ変わったかのように
もっともっと表に出してもよさそう。
(力石のシーンなどでちょっとはあったけれども)

そしたらその後の、彼の志半ばの死も
もう少しドラマチックになるのでは?と思ったり。

 

(そういえば、西郷さんが何か書いて仲祐に渡した書、
あれで決定的に改心したっぽかったけど
内容が文語体?だったので一回聞いた(見た)だけでは
意味が分からなかったのが残念。)

 

「人間のドラマ」

 

西郷さんや仲祐という、
私たちとなんら変わらない、同じ人間の、
弱さや強さ、変化、志、
つまり生きざまが
もっと物語の中で描かれれば、


島外の人や
西郷さんや仲祐を知らなった人たちにも、
彼らに対する愛着や尊敬、興味や関心が
もっとぐっと深まるんじゃないかな?

 

…と個人的には思いました。

 

ので、一応記録。

 

 

 

 

ともあれ、

初めての「結ーMUSUBI-」公演、
楽しませてもらいました!

来てくれてどうもありがとうございました!

 

"おぼらだれん"

 

徳之島…行ったことないなぁ…。

いつか行ってみたいです。

与論島も、沖永良部島も。

 

現代版組踊島シリーズ2018
ガサシワカチャラ+結ーMUSUBI-
これにて終演。

各メンバーさん、保護者、スタッフ、関係者のみなさん
お疲れ様でした!

そしてありがとうございました。

 

…で!

 

「2018」と銘打つからには
「2019」期待してもいいですか!?

 

オヤケアカハチ!
カモーーーン!!щ(゚Д゚щ)!!

くっそ、やっぱり今年、石垣行けばよかったかなぁ…。

そういえば伊平屋チームは今どんななってるのかなー?
"琉球歴女"ちゃんは健在かしら。

 

 

さて、年が明け早々には
「百十-MOMOTO-」公演も!

今回は百十踏揚は3キャスト(!)、
ヒーロー大城賢雄は、
結シアター手舞のOBが演じます!

楽しみです


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現代版組踊島シリーズ2018 ガサシワカチャラ

2018年12月23日 | ・現代版組踊レポ

 

ガサシワカチャラ

2018年12月22日(土)

きむたかホール

 

現代版組踊島シリーズ2018の一環として
きむたかホールで公演された久米島の舞台。

ワカチャラは去年の秋、久米島で初めて観劇し
(キャラ図鑑・現代版組踊レポの取材の一環として)
12月の久米島フェアとしてのタイムスホール公演も参戦。

その時以来、1年ぶり、4回目の観劇でした。

 

この日は冬至。

冬に至った日とは思えないくらい、
最高気温が26度も27度とも言われた夏日だったこの日、


夜公演を観劇しました。

 

 

 +

 

 

まずは冒頭。

 

ワカチャラ最期のシーンに
まるまる変更!

 

えーーーっ!うっそ!Σ(゚Д゚;)
お父ちゃん(伊敷索按司)らが首里に攻め滅ぼされ
堂之比屋の裏切りが描かれるあのシーン、
リピート観劇者だけが味わえる感じで好きだったのにー!

 

…と動揺したのですが、

 

後日談のような感じで
物語の最後の最後に移動になってて
カットされたわけではなかったです。

あ、良かった(笑)

 

冒頭のワカチャラ最期のシーンは、
もちろん物語が展開したクライマックスでも
まるまるリフレイン。

 

なるほど、
確かにこの見せかたの方が、お父ちゃんも結局は首里にハメられていた、
という悲劇ぶりも
分かりやすいし、
久米島が落とされたという歴史もちゃんと追ってて
初観劇者にもやさしいかも。

 

だからこそ、
もーね、首里の黒さが前回よりも際立って感じました。

 

密かに内部に働きかけ、
(賄賂を送ったり、無理難題をしかけたり、優しく見せて騙したり)
分裂させ、
内紛で弱ったところを一気に攻める。

というのは
古今東西、支配するための常套手段だものね…。

 

尚真、黒いよな…。

(ワタシは尚真は単なる聖人君子な偉大な王ではなく、
尚巴志と似たようなイメージがあります。
野望を持った策士と言うか、時には黒い事や血を流す覚悟も持って
ビジョンを成し遂げていったというか)

 

このシーンの"裏切者"堂之比屋は
前回レビューでも書いてるのですが、
前までは割と感情が見えないミステリアスな雰囲気があったのですが
今回は割と苦悩と言うかそんな感じを表に出してました。

彼が首里からのアプローチを受けた時、
返答をハッキリさせてないだけに
この時の堂之比屋の心情は色々作れると思うので
色々模索してみてほしいです☆

ワタシは堂之比屋がこの物語の「スパイス」と思ってます!
(肝高の阿麻和利でいう金丸的存在!)

 

ところで、ロビーで
久米島スタッフのお父さんとお話ししてて知ったのですが、
堂之比屋ってまんま役職名なんですね。

だから色んな堂之比屋という人物がいるのだとか。

へぇ~

歴史上の色んな堂之比屋、調べてみたくなりました!(宿題)

 

 


現代版組踊の"聖地"きむたかホールが、各チームの憧れのホール。

 

 

 

今回会場がきむたかホールということで
演者さんの立ち位置や動きなども
色々とバージョンアップ!

ワカチャラが神託を受けるシーンは
ガン見すべきは正妃(ウナジャラ)や兄たち、そしてお父ちゃん!
というのは本でも書いたくらい。

怒りをあらわにした正妃が真牛を突き飛ばして
兄たちとともに集団から退場。

えっ行っちゃうの?

と思ったけど、完全退場ではなく
舞台脇の暗がりでしっかりイライラ爆発中。

この物理的な距離感も
ワカチャラたちとの
決定的な心の距離感が生まれてて効果的でした

 

お父ちゃんはね、
ワカチャラのそばにいるのよ。

とはいえ、
しばらくするとワカチャラ肩をポンと叩いて去っていく…。

 

複雑な気持ちを隠せない
お父ちゃん、
そしてワカチャラ自身も。

そんな彼らをよそに純粋に喜ぶ儀間之主。

 

このシーンの人間模様、
どの人もおもしろいのですよーーーー。

 


これは昼公演後の見送りの演舞

 

 

 

今回、正妃と兄二人のやりとりが
新たなシーンとして追加されていました。

兄ちゃんS、お母ちゃんを怖がってるし
(どっちが話しかけるかジャンケンしてるし(笑))
これからどうなるのでしょうと泣きつくし。

そんなの私が知るわけないでしょ!
だいたいね!あなたたちがしっかりしてないからいけないのよ!

と怒りつつも困り果ててる感じの正妃が
なんか可愛かったです(笑)

新たな面が見れたというか。
より人間くさいというか。

 

そして登場するお父ちゃん。

抜刀し、
「ワカチャラを討つぞ!」
と高々と宣言するお父ちゃんのシーンが。

 

 

…おんや?


【敵を欺くにはまず身内から】


ってやつ?

 

(ここの前のシーンで首里からの書状を受け取っている)

 

 

だから堂之比屋も気付いて、
お父ちゃんに咬みつくという従来のシーンに繋がるのか。 

 

"わしや兄たちを差し置いて
久米島の平和を乱そうとしている"

 

正妃にも息子(兄)や部下にをも
敢えて欺いて本心を隠し、

責任を一身に背負わざるを得ない
久米島の統治者・伊敷索按司の悲しい性が見えますね。

この時点でお父ちゃんの本心を知っているのは
粟国島に帰された真牛のみ…。

 

嗚呼、お父ちゃん…(´;ω;`)

 

 

 

 

そしてワカチャラとお父ちゃんのシーン。

つい本心をもらし、
互いに覚悟を決めようぞと語る。

「できません!」と刀を受け取らないワカチャラを尻目に
舞台奥に去っていくお父ちゃん。

 

満天の星空を見上げ、
たたずむお父ちゃん。

 

毅然としたその後ろ姿だったが
しばらくすると膝をつき、うなだれる。

 

思わず駆け寄るワカチャラ。

 

しかしその手を振りほどき、
また毅然とした様子で一人去っていく。

 

1人でしか泣けない、
悲しい性。

 

嗚呼、お父ちゃん…(´;ω;`)

 

 

 

 

残されたワカチャラが、
気持ちを整理し、覚悟を決め、
母親の面影を求めて対話に向かうシーンは
照明・音響効果もあってよりじっくししっとりと。

月が、美しすぎる…。
(MOMOTOにも出てくるアレです)

セリフもなく、
結構な尺なのに、
ワカチャラの心情が良く表現されていました。

 

涙石も健在。

 

父子のシーンから母子のシーンへ。

バランスもちょうどよく、
自然に見ることができました。

 


距離があったのでトリミングしても画像荒くてガタガタ💧(しかも逆光) 雰囲気だけでも伝われば…。

 

 

 

そしてワカチャラの最期、

クライマックスへ。

 

テーマソング「球美の詩」のあとは
ダイナミック琉球。

 

今回、ガサシワカチャラOB/OGメンバーも10数名加わっており
人数は過去最多!

そして演奏するは友情出演のきむたかバンド。

きむたかバンドバージョンのダイナミック琉球に、
劇中でも出演している登武那覇太鼓、
そして同じ島シリーズで24日に演じる
徳之島チーム「結シアター手舞」メンバーも加わっての

スーパーダイナミック琉球!

 

圧☆巻☆!!

 

特に登武那覇太鼓の音は効いてましたね!
ダイナミック琉球でのエイサー、もしかしたら初めて見たかも?

 

阿麻和利公演の時に観れなかったから
見れて良かったーーー

 

(ところで、手舞の男子メンバー、
結構いるし、皆がっしりしてて体格イイ!

え、地域差?

もうそれだけで24日の舞台の期待が高まりましたよ

 


ワカチャラのこのビジュアルシリーズ、好き!

 

各役者の退場の時、
どう去っていくのは結構楽しみにしている正妃と真牛。

今回はハグでした

お。和解した。

 

ワカチャラとお父ちゃんもハグ

お。和解した(笑)

 

お父ちゃんが先に舞台を下り客席へ。

ひとり残ったワカチャラが
きむたかバンドへ拍手を送り
(ここスマートで余裕が感じられて男前だった~!)
再び一礼。

その様子を中通路で振り返って
やさしく見守るお父ちゃん。

 

嗚呼、お父ちゃん…!(´;ω;`)

 

 

なんか、この時の姿はハグをしてた素の高校生ではなく、
「息子を見守る伊敷索按司」そのもので、

最後に

ぐ…っ!

とヤラレタのお父ちゃん贔屓の和々なのでした。

 

 

 

今回の公演が高校3年生にとっての卒業公演。
12名が卒業していくのだそう。

去年からこの舞台を観てきて、
この2年間主要キャストは一緒だったので
ワタシの中での「ガサシワカチャラ」の舞台は
今のワカチャラ、今のお父ちゃん、
今のキャストがベースとなりました。

男子のいない女の子だけのチームにもかかわらず、
そんなことを全然感じさせない、
力強くカッコイイ、
男前でいて美しい、
久米島の英雄たちを魅せてくれました!

 

本当に素敵でした。

惚れました。

どうもありがとう

 

また
来年度からはキャストも大きく変わるのでしょう。

 

新生ガサシワカチャラも楽しみにしています!


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かっちんカナーで見た、百十踏揚の人間味

2018年11月30日 | ・現代版組踊レポ

 

かっちんカナー

2018年11月23日(金・祝)

きむたかホール

 

 

現代版組踊かっちんカナーとしては
去年に引き続き、2年目の舞台。
(去年レビュー→

去年と同様、
肝高の阿麻和利中学生メンバーで演じられました。

 

昼公演はロビーのテレビで通しで見て、
夜公演を中で観劇しました。

 

今回は舞台全体のレビューと言うよりは
百十踏揚こと百十姫について感じたこと、考えたことが多々あったので
それをメインに書(描)いてみます。

 

 

まず、
昼公演の時に声を聞いて、
「ああ、あの子か!」と。

 

舞台って、テレビと違って顔をアップで見ることもないし
舞台化粧も特殊だし、
私は身内ではないので
顔と名前が一致する子はほぼいないんだけど、

顔を覚えてなくても(見えなくても)、
名前を憶えてなくても、
声や演技を覚えている演者さんっていうのはいますね。

彼女はその中の一人でした。

声に特徴あります。
声色だけじゃなくて、しゃべり方というか、
テンションというか、そういうのも含めての声。

そういう特徴って、
(テレビのように)顔が見えない舞台では特に武器になると思う!

是非磨いていってほしいです。

 

彼女の百十は、去年にも増してハチャメチャ元気いっぱい。

喜怒哀楽がはっきりしてて
表情がコロコロ変わって
例えるならば、アニメ(マンガ)のよう。

マンガ表現しやすい感じ、
と言えばいいのかな?

そのままアニメのキャラにいそう、
と言えばいいのかな?

かっちんカナーはコメディなのだから
そのキャラ表現が上手い具合にマッチしていたと思う。

 

 

キャラクタータイプとしては

無邪気系小悪魔ちゃん

かな★

(計算して駆け引きする小悪魔ではなく
無邪気な素の行いが小悪魔ちゃん的)

 

自分に好意を持ってくれている人を
知っててちゃんと甘えているというか
いじってるというか(笑)

賢雄とか護佐丸とか尚泰久とかね。

 

「うふふっ♡」

を武器に、周りを弄ぶ(!?)最強モモちゃん。

 

護佐丸に指切りみたいに小指絡ませて(たよね?)
「(おじいさまは)お留守番ね♡」
は、かわいすぎだろー!
台詞はともかく、この仕草(小指)はずるいっ!

 

対して、金丸はそれほど自分を特別視してくれないから
ツンツンな態度っていうか、むしろ敵視?的なね。

 

 

ふと、

「そっか、人間臭いんだ」

って思った。

 

偉人を雲の上の存在にしないためにも、人間臭さを!
ということは何度もブログでも書いてるし
ワタシが人物を捉える時に
特に意識していることもでもあるのですが、

得てして百十踏揚は完璧な「THE★悲劇の王女」であることが多く、
なかなか彼女の人間臭さ・人間味って捉えがたいなと思っていたのです。
(だからキャラクター図鑑でのワタシの百十踏揚は小悪魔キャラにしている)

なるほど、
百十踏揚の人間臭さ・人間味はこういう所にあるのかも、
と思ったりもしました。

 

その百十踏揚との関係性で
賢雄もカナーもマンガっぽくてコミカルでした。

こんな感じ↓

 

『よくわかるかっちんカナー関係図』笑

二面性ももちゃん、
気弱なカナー、
振り回される賢雄、

…みたいな。

 

年齢はどれくらいの設定なんだろうね?

個人的には10~12歳くらいかな?と思ったんだけど
どうかな?

 

 

+ + +

 

【蛇足】

肝高の阿麻和利での百十踏揚とのキャラギャップについては
成長するにつれ、
王女となり王女として扱われるにつれ、
次第に変わっていったというのももちろんあると思うんだけど。
(百十踏揚だけじゃなくて賢雄もかな)


ある日『ガラスの仮面』の演目・たけくらべ(3巻)を見て思った。

たけくらべの主人公は美人で気前のいい姉御肌で
町の人気者の女の子。
密かな恋をするも素直になれぬまま実らず、つらく切ない経験をする。
そして彼女は、ある日突然いわゆる"元服"をし、少女時代に別れを告げる。

以来、人が変わったようにおとなしくなり、
それまで仲の良かった仲間たちとも遊ぶこともしなくなった。

ぐっと大人びた主人公がそこにいた。

というような流れなんだけど。


百十踏揚にも人がガラリと変わるほどの
思春期(恋模様)があったら面白いなーと思ったりしました。

百十踏揚が一転してに大人びて王女らしくなる、
そして賢雄が一気に身分差(現実)を突き付けられる、
そして二人の間に子供時代とは違う空気・距離ができる、

かっちんカナーと肝高の阿麻和利の間の頃の物語。


……を勝手に妄想 ( ˘ω˘ ).。oO



+ + +

 

 

前回、

最初にカナーを助けた団体は何?

と書いていたので注意して見てたんだけど、
ただの商船っぽい?

その後の海賊との戦いは
殺陣とかではなくペンライトのオタ芸風ダンスで。

(…これって前回もあったっけ?)

 

 

海賊団と山賊団はもっとはっちゃけられたらいいなー(^^)

まだちょっと、はっちゃけるのに照れとかがあるっぽいかな?
でもそれが中学生男子らしいではあるんですけれどね
(女子はそうでもないけど、中学男子はそういうお年頃よね)

でも中学男サンだけでも10人以上いるのは頼もしい。

 

あ、最後のテーマソングで指笛してた男サン!

ナイス指笛サポートでした!

それがあるのとないのとでは音の華やかさが変わりますからね!

指笛は武器です!

自信もってどんどんやっていってほしいと思います!

 

 

最後に、

大主様の脱帽姿はなかなかのレア姿でした★
(印象変わる~!)  


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北山の風’18

2018年10月19日 | ・現代版組踊レポ

 

北山の風~今帰仁城風雲録~

2018年10月13日(土)

今帰仁城跡野外特設ステージ

 

去年度の卒業公演(3月)は行けなかったので
ちょうど1年ぶりの北山の風でした。

公演の数日前から沖縄も急に寒くなり
お天気も不安定に…。

寒さと風と雨が心配されましたが
当日は寒さも風も天気も落ち着き
無事にグスク野外公演を楽しむことができました。

 

 

去年度、高校3年生ががっつり抜けて、
人数は減ったかな?

でも攀安知や本部、紀秀先生等
メインキャストは高校生男子。

しかもみんなええ声!

頼もしいですね☆

本部に裏切られた攀安知は、
高笑い、からの、キッとした怒号。

い~ね~
(漫画的なコマカットが浮かびしました)

衣装も前回の卒業公演からリニューアルしてて
ワイルドでグーでした。

 

 

前回お目見えできなかった「ヤギ」を
今回は見ることができました( ˘ω˘ )♪

うしー、うまー、やぎの門番トリオは小学生。

すーで「本部牛」つっこんできましたね(笑)
これからの成長が楽しみです。
がんばれー( ^0^)★

 

 

千代松は今回はお一人。

前みたいに、少年期と元服時の二人キャストで
くるっとチェンジ(詳しくは「琉球戦国キャラクター図鑑の北山の風レポ」に)
なかったです。

2人キャストがいて初めて成り立つから
これはメンバーに余裕がないとできないですね(^^;)ショウガナイ

 

 

再登場を望んでいた千代松の扇子は
卒業公演の時には「活きていた」と聞いていましたが。

なるほど、前に出すぎず、さりげなく、ですね。

そういえば扇子をもらった時に
「宝物にするね!」っていう千代松のセリフもなかったような?

扇子の印象を少し押さえてきたかな?という印象。

扇子がもとで本部が千代松の正体を知る、ということではなくて
本部の死後、謝名と千代松が亡骸に手を合わせた時に
千代松が密かに懐にある扇子を握りしめる…という感じでした。

これはこれで、千代松の語らない静かな決意が読み取れていいですね☆
(本部死後の千代松の語りはなくなってますねー)

 

 

今回の公演はOB・OGもたくさんアンサンブルで助っ人参加してました。

メンバー紹介の時に「体力の限界に挑戦!」って…(笑)

20代始め~半ばならまだまだ若いでしょー!(笑)
このセリフ言っていいのはアラサーからよ。
ふふふ…まだまだイケますよ応援してます。

 

 

今回、照明が印象的でした。
ちょっと機材変わった?
それとも私の観劇位置や気候などで
違って見えただけなのかな?

点滅具合とか逆光とか、ぼわっとしたゆらぎのある感じとか。
野外公演は設備上どうしても制限がでてしまうのですが
ホール公演のような充実した照明演出に感じました。

 

 

 

今回も物販コーナーのお手伝いをさせてもらいました。

北山てぃーだの会のみなさま、大変お世話になりました!
いつもありがとうございます!
(保護者の方々とのゆんたくも楽しい♪)

 

物販コーナーにいて、
様々なお客さんの反応・声を聴く限り…

 

やはり、CD化の要望はあつく。

 

CDはありませんか?っていう声の多かったこと!

だーよーねーーー。

北山の風ONLYが難しければ、
まだCD化していない舞台をまとめて(MOMOTOとか)
現代版組踊オムニバス的なCDにするってゆーのはどう!?

もしくはもう、ダウンロード形式でも!

 

毎度おなじみですが、

 

CD化求む!

 

ということで〆


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那覇センセイション~語り継ぐ平和の詩~

2018年08月21日 | ・現代版組踊レポ

諸事情でかなりの時差ができてしまいましたが……
書ける分だけ書いてみます。


那覇センセイション

2018年8月4日(土)

てぃるるホール

那覇青少年舞台プログラム

 

那覇チームの代表作と言えばコレ。

『琉球伝信録』よりも歴史ある舞台です。

 

サントラCDも持ってるし
アトラクションなどは何度か見たことある

…のですが、実は、舞台は今回が初見でした。


なぜかセンセイションの公演は
仕事や別の用事と重なっていたり
台風で公演中止になったりと
タイミングがなかなか合わず、
流れ流れて今になった、という感じです。

 

古琉球がテーマが多い県内チームの現代版組踊の中で
那覇センセイションは現代と沖縄戦が舞台。

(沖縄戦が舞台…というと
『風の声がきこえる』や『綾庭の宴』も思い出しますね)

 

戦争や平和をテーマに舞台発表することになった
那覇の小中高の先生たちと、
その演技指導をすることになったニートの若者たちが
最初は反発し合いながらも次第に手を取り合って
戦争や平和を考え、より良い作品作りに向けて奮闘する物語。

戦争を知らない世代の先生たちが
なにをどう表現し伝えればいいのか苦悩し、
「心のひらめき」を求めてガマを訪れた際、
沖縄戦の時代にタイムスリップしてしまい……

というもの。

 

とはいえ、タイムスリップしたシーンはそれほど長くはなく、
あくまでもメインは「現代」の私たち。

戦争の悲惨さやむごさだけではなく、
沖縄戦の時代と現代の、
命や、想いや、心の繋がりというものを描いているなと感じました。

 

沖縄戦でも古琉球でもなんでもそうですが、
時代(歴史)というものは点(単独)で存在しているのではなく
全て、今、現在につながっている線なのであって。

その線の上に私たちも生きている。

そして、これからの未来もその線上にある。

 

ガマで出会った母親と、
現代に戻ったときの再開のシーンには
ぐっとくるものがありました。

 

さとうきび視点の「舞台発表」は
とても興味深かったです。
(ここだけ単独でも見応えありそう!)

 

主人公の普天間先生(高校教師)は、
私の知り合い(職業:中学教師)に
服装も雰囲気も口調も仕草も性格もすっっごくそっくりで
びっくりしました。

先生感のリアルさ

ニートたちはダンスで世界を目指す
ハチャメチャ元気な子たちでした。

やりたいこと、夢中になれることがあること、
それで人と繋がれていることはいいことだー。

 

対立する教頭先生とその一派もいい味出してました。

最後の、発表に感激し改心した教頭先生Sによる
肝高の阿麻和利オマージュには
めっちゃ笑えました。
(こういう現代版組踊つながりの小ネタ、いいね★)

 

そして貴重な現役メンバーによる生バンド。

前回の『琉球伝信録』の時も感じたけど、
すごくノリノリで元気のいいチームです。

センセイションは現代が舞台だから
楽曲の雰囲気もラップが入ってたりと他とちょっと違うのです。

サントラにはない、クライマックスの演舞(新曲)もかっこよかったです。

 

 

 

ところで、会場では
『琉球歴女の琉球戦国キャラクター図鑑』も
委託販売させてもらいました。
(現代版組踊特集ページに
那覇チームからも二人が参加していることもあり)

公演前や休憩アナウンスなどでも
色々と宣伝してくださって恐縮です

今回は澪之助がメインで2日間対応しましたが
目標数を上回る方が購入してくれたと聞き
感謝感激です。

会長の玉城さんをはじめ、
那覇群星の会の皆様にも
大変お世話になりました。

改めてお礼申し上げます


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2017年度最後は琉球伝信録

2018年03月31日 | ・現代版組踊レポ

現代版組踊舞台レビューについて


 

琉球伝信録

2018年3月31日(土)

てぃるるホール

那覇青少年舞台プログラム

(昼公演)

 

今年度最終日、
今年度最後の最後の現代版組踊公演に行ってきました。

 

琉球伝信録は立ち上げ(前身の『朝薫伝~赫き龍!舞うが如く~』)から
見てきている舞台。

朝薫伝から琉球伝信録とタイトルを変え、
登場人物(赤山とか)やストーリーを変化させながら
今のスタイルに固まったのが5年前の2012年度公演

 

すこし間が空いて、去年久々に観劇したのですが、
年度終わり・始めに忙殺され
レビューは書けぬまま…。

 

かろうじてツイッターにちょっとだけ
つぶやいていたのでこの機会にリンクを貼っておきます。

2017年3月公演の琉球伝信録→  

 

 

+ + +

 

 

さて、1年ぶりの観劇となった今回の琉球伝信録。

過去レビューにも書いている通り、
主人公の4名がどれも個性豊かで
キャラクターが立っていて
物語の中でうまく相互に絡み合って
深みがでてとても面白い。

脚本がまずスゴイ。

江戸上りや死去年が被る事、
政治的対立やその時の情勢など
この舞台を通して初めて知った事、
興味がわいて調べてみたことがいくつもあります。

新しいアンテナをたててもらった脚本にまずブラボー

 

そしてその脚本力に負けない
演者さんたちのパワー!

今回は特にそれを感じました。

誰かが強すぎて誰かが喰われることもないし、
誰かが影になりすぎることもなかったし、
誰かが善で誰かが悪とか、
誰かがメインで誰かがサブ、
という感じはなくて
(ストーリーテーラーの名護親方でも
単なるストーリーテーラーで終わることなく)

皆よくて、皆魅力的で、皆かっこよかった。

 

前回までは朝敏がはちゃめちゃキャラでかわいく、
そして悲劇の末路があるがゆえに
ほかの3名よりも主役感というかインパクトが強かったのですが
今回は4名それぞれの人間性や物語性が優劣なくどれもしっかり感じられ、
4名揃っているから「こそ」より良い、と感じました!

 

朝敏が捕らわれるところからの展開は
「その後」の部分まで含めて今回なんだかすごく心に響いて、
彼ら4名の存在を超えた「未来」を感じました。

主人公同士の対立や、処刑という悲劇もあり、
決してハッピーエンドでちゃんちゃん♪な展開じゃないのに、
すごく未来を感じたって、どうしてだろうね。

どうして涙がでたんだろうね。

決して、
朝敏可哀そう!の同情の涙でなく、
蔡温も朝薫も名護親方も、そして尚敬も含めて
それぞれの気持ちと言うか信念と言うか
熱い想いのようなものを感じて涙がでました。

自分でもうまくこの気持ちを分析できないんだけど、

とにかく、
心に迫るものがありました。

 

+ + +

 

尚敬がなー、すごくいいクッションになってると思った。

朝敏が処刑されて、動揺と迷いを隠せない尚敬と、
琉球の未来は明るいと、ピシャっと言い切る蔡温。

本当なら人気者・朝敏を死に追いやった
近寄りがたく怖い存在、蔡温のはずなんだけど、
そう言い切る彼のセリフにはなんだか希望があって。

(未来を信じきって言い切れれる人こそ最強のサポーターですよねぇ)

なんだか救われた気分になるのは尚敬が
1(蔡温)VS 3(他3名)のクッションとして間に入ることと、
天国の3人が楽しそうだったからなのかな。

 

 

今回は一貫してクールな蔡温だったけど、
もしかしたら、彼も痛みを抱えつつ琉球のために信念をつらぬいた
(信念をつらぬくためには自らも犠牲や痛みを伴う覚悟も必要)
のかもしれない。
冷酷さを装っていても、陰では密かに苦悩をにじませる一瞬があって…
という彼も見てみたいですね。

 

↑新里堅進著『まんが偉人伝 蔡温』より

 

ところで1734年の同じ年に主人公の3名が死ぬ、
というのは劇中でも語られるのですが、

朝敏が連行されてすぐのシーンだから
朝敏が先に死んだと思いきや、

朝薫→朝敏→名護親方(正確には1735年1月1日らしい?)
なんですねー。
(観劇後のググりタイム、今回は死んだ月日でした★)

そしたら、
朝敏が連行されるあの劇的なシーンで、
朝薫が朝敏を追おうとするも咳こんで(もしくは胸を押さえて)倒れて
名護親方が「朝薫殿!」って叫んで駆け寄って…
暗転
なんてのもありなのカシラ?

朝薫、死の布石。

こーゆーの、
よく漫画とかであるじゃない?(笑)

 

 

那覇バンドさん。

現代版組踊チームは数多かれど、
メンバーさんが演奏も手掛けているのは
阿麻和利と那覇の2チームだけです。

サポーターは入っていましたけど、
迫力のある生演奏、歌、
そしてノリノリのバンドメンバー。

すごく楽しそうでした♪

特にダイナミック琉球の前奏部分は
すごく良かったです!
(他舞台ではこれと同じ前奏アレンジはない……はず)

 

そうそう、この時の舞台上の演出、
個人的には幕開けの冒頭にも入れてほしかった!

幕開けの演出って
どれだけ期待値をあげられるか
その作品の世界観に観客をどれだけ引き込めるかが
重要だと思うので

今回の幕開けは、ナレーションがあって、
幕が開いたら明るい舞台に首里城幕のみ、
そして暗転、幕が閉まる
だったんですけど、

幕が開いてからぼうっと首里城幕に光りが入って、
4名の主人公のシルエット(もしくはスポットライト)が浮かび上がって
(ポーズをつけてもつけなくても)
そしてまたぼうっと暗転していくというプロローグ。

そして最後の最後のダイナミック琉球の冒頭で
この演出アゲイン+α

ナレーションもリピートになるから
演出も似た感じで冒頭とラストで2度出してもいいかなーと思いました☆

 

でも、それにすぐ続く女性アンサンブルさんの演舞では
衣装がリニューアルされてて華やかでステキだったな。
髪飾りもどこか簪の様で、ちょっと和風チック♡

 

ダイナミック琉球、
そういえば昔は朝薫の扇子バージョンの振付があったような…。
願わくば、復活希望★

 

+ + +

 

さて、
これにて2017年度の現代版組踊は全て終了!

各チーム、スタッフの皆様、お疲れ様でした!

 

また4月からは新メンバーを迎えて
新体制として再スタートする事でしょう。

メンバーの卒業はさびしいけれど、
こうやって毎年毎年メンバーが変わって
常に循環しているのが現代版組踊の良さでもあります。

また次年度の活動も期待しています!


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6年ぶりの息吹、沖縄公演

2018年03月25日 | ・現代版組踊レポ

現代版組踊舞台レビューについて



息吹~南山義民喜四郎伝
ふくしまの元気発信公演

2018年3月24日(土)

かでな文化センター

 

夜公演を観劇しました!

息吹は福島県で活動している現代版組踊チーム。

6年ぶりの沖縄公演でした!
(6年前のレビューはこちら

 

今回はチーム息吹だけでなく
鹿児島県伊佐市のチームちむどんと、
沖縄県のチーム鬼鷲メンバーとの
コラボ公演!

他チームのメンバーが他チームの公演に
特別出演するというのはこれまでも
あったりしたので、
これまで通り演舞とか、
そのチームだけのワンシーン追加、とか
そういう感じだろうな、と思ってましたが、

 

主要キャストにもがっつりコラボ

 

でした。

ってか、カーテンコールでメンバー紹介されるまで
役者にも他チームがいるとは
全く気付きませんでした(!)。

 

それくらい、一体感があって、違和感なくて。

 

え、これってどうやって練習したの!?

演舞とかそのチームだけのワンシーンとかなら
それぞれで練習したのを
直前に立ち位置とか繋ぎを確認するだけでできるけど、
例えば、「南山義民」6人の中に鬼鷲メンバーがいたり(しかもリーダー格)、
主人公たちと直接対立する"悪役"の代官が伊佐メンバーだったりと
決して「ちょっと絡んでみました」レベルじゃない、がっつりキャスト。

 

主要キャストは絶対みんな息吹メンバーだと思ってたから
これには驚きましたね。

いくらネットやSNSがあるとは言え、
決して簡単なことではなく、
様々な努力があったに違いありません。

 

鬼鷲メンバー、ちむどんメンバーもブラボーでした!

 

ってゆーか、現代版組踊という可能性が
これでもっともっと広がった感じ!?

これまで以上に、チームの、そして都道府県の枠を超えて
色んなチャレンジができていきそうですね!!

 

恐るべし、現代版組踊!!

 

 

+ + +

 

 

鬼鷲コラボで今回特殊だったのは
やはり、鬼鷲メンバーでのワンシーン追加もあったこと。

冒頭、江戸城のシーンでの「慶賀使」、
徳川吉宗との謁見と、マミドーマの演舞。

尚敬やら冊封などの用語も飛び出てました。

 

気になったので帰って調べてみたら
(舞台観てアンテナ引っかかったら調べる!舞台後の楽しみ♪)
徳川吉宗の慶賀使は1718年に派遣されてますね。

ちょうどその年には尚敬の冊封もあって
そして組踊が誕生するっていうね、ちょうど300年前の、あの年です。

来週那覇チームが公演する「琉球伝信録」と繋がるじゃん!
とマニアックにツボりました(笑)

(この時の慶賀使は平敷屋朝敏も同行してたみたい。
どうせなら劇中に朝敏も出てたら良かったな♪
ここん所のセリフ、どれが誰なのか聞き取れなかったけど
もしいたのであればご容赦を)

 

息吹の物語は、松尾芭蕉が吉宗に南山の出来事(過去)を語る…と言う展開なので
1720年代の御蔵入騒動とは年代が多少前後するのですが、
なるほど、ここはフィクションとしてアレンジしたんですね。

勉強になりましたm(_ _)m

 

 

 

 

メンバーが増えたぶん、
演舞は迫力&華やかさ倍増!

 

前にもまして見応え抜群でした!

アンサンブル衣装はだいぶ変わりましたね。

髪の毛もおだんごじゃなくてポニテだったり
赤い袴っていうのも巫女っぽくて、
つまり「和」っぽくて琉球感とはちょっと違っててステキでした♪
(澪之助が好きそ~、と思ってたら案の定(笑))

前の染め布満載の衣装も好きでしたけど☆
(でも(前の)鬼鷲っぽいのよね。デザイナーさんが一緒?)

 

 

+ + +

 

 

リピート観劇の時(初見の時はさすがに主人公メインで観ますが)
私は主人公とは違う人たち(しかも悪役寄り)を注目しがちなんですが、
今回は、それが代官「山田」でした♡

主人公たちと敵対するいわゆる悪役のボス、なんですが、
悪さ全開、非道さ全開、嫌な奴全開!!
って感じではなく、
冷静さも兼ね備えた知的な悪役って感じでカッコよかった!

喜四郎を実際に手にかけるのは彼なんだけど
前回みたいに滅多斬り&高笑い、という感じはなくて
(これはこれで太鼓乱れ打ち+剣舞でかっこよかったのですが)
合掌して屍に敬意を表したりもして、
ちゃんと武士っぽかった。

だから蟄居させられたことには
ちょっとだけ同情もしたかな(笑)

 

肝高の阿麻和利やMOMOTOのスパイスが金丸であるように、
息吹のスパイスはズバリ、山田だな( ̄ ̄)ニヤリ

 

 

+ + +

 

 

そういえば、
この騒動(一揆)の時って民衆の連判状とかってあったのかな?

喜四郎たちが人目を避け、一人ずつ寺に集まって
話し合い、意を決するシーンも印象的でしたが、
連判状や血判、
盃を飲みまわす(一味神水、誓い・固めの盃)シーンとかがちょこっとあったら
彼らの覚悟と団結力、一心同体感も伝わるし、
その後の瓦解がより悲壮さを帯びるかも。

こういう歴史的なリアルエッセンス(所作や風習)が入ると
よりリアルな歴史劇っぽくなって好みだったりします♡

(『一揆の原理』を読んだからってのもある)

 

 


パンフレットより。
こういう歴史的資料・解説はありがたい。


 

 

 

前回、非常に印象的だった喜四郎が家族と別れて
雪道を行くシーンは、

今回ももう鉄板で、

雪の照明と共に白い半透明の幕がわーっと下りてきて、
一気に豪雪地帯の白い世界へ。

幕の後ろには喜四郎以外の3名の足取りや
別れた妻子の様子も映し出され…

ドラマ性倍増!!

吹雪の音とかももっと入ると
もっと「温度」を感じられていいかも( ˘ω˘ )

 

それから喜四郎が捕らわれ斬首されるシーン、好き。

大川渓流太鼓保存会による
和太鼓(カッコイイ♡)をBGMに繰り広げられ、

空手の型での喜四郎の抵抗と、
捕らわれてぼこぼこにされる様子が
喜四郎の体の動き(パントマイム)だけでよくわかる。

 

そして、
喜四郎最期の「叫び」は、
あえてここで「南会津」ではなく「福島」と言うあのセリフは、
まさに今の私たちに訴える叫びそのもの、ですね。

 

息吹の舞台の核はここにあり。

 

 

あと、
義民たちの死後のシーン。


中幕が開くと
6名の墓標の後ろに彼らがずらりと立っている、
というシーンは音楽の効果も相まって
大河ドラマのようで鳥肌がぶわ~っ!と…。

(やっぱりホールのフル生演奏はいいな…音の厚みが違う)

 

喜四郎や義右衛門の家族らが墓を訪れ、
霊魂となった彼らがそれを見守る。

そして村の子供たちが
義民六人の名前を斉唱する。

彼らの存在を、生きざまを、
子どもたちに伝えている、
伝わっている、
学んでいるという、
次の世代に語り継ぐ感が出てて
無邪気なあの子供たちの声が妙に心にしみるのです…。

息吹には小学生メンバーも結構いますが(小1から!)、
しっかりこの子供たちが活きている、
演者が幼いからこそ、の効果的な演出だと思います。

 

 

+ + +

 

 

6年前のレビューでも書いたけど、
この舞台は民衆が主人公の、
民衆力が表に出た舞台。

民衆の苦悩と、たくましさと、郷土を愛する心は
今の私たちとなんら変わるものではなくて。

だからこそ、
とても身近で、
メッセージ性の強い、
そんな舞台なのだと思います。

 

 

6年ぶりの息吹、
見ることができて幸いでした。

公演してくれたメンバーの皆さん、
スタッフの皆さん、

ありがとうございました!



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鬼鷲in北中城村

2018年02月14日 | ・現代版組踊レポ

現代版組踊舞台レビューについて



鬼鷲ー琉球王尚巴志伝―

2018年2月11日(日)

北中城村中央公民館

 

約1年半ぶりに開催された鬼鷲。

夜公演にお邪魔しました。
(この日は舞台ハシゴでした)

 

時間通りにスタート(これ重要!)し、
平田さんの挨拶から。

久々に見る生平田さん

さ来年度の2019年度は
現代版組踊(肝高の阿麻和利)ができて
ちょうど20周年に当たるらしい!
(公演は2000年3月だけど、年度で言うと1999年度)

そして、玉城朝薫が組踊というものを世に出してから
ちょうど300周年!
(二童敵討と執心鐘入、1719年初演)

これは、さ来年度は、
きっと何かが起こる…

期待しています!

 

 

+ + +

 

 

今回のレビューは苦言を含みます。
気を悪くしたらすみません。
書くべきか迷ったけど、
いち一般客として思ったことを正直に書く、がモットーなので
一意見としてやっぱり書いておくことにします。

尚、1日目夜公演のみの感想です。
2日目に追加変更などがあったのかどうかは
分かりませんのでご了承下さい。

 

 

+ + +

 

観劇した夜公演で特徴的だったのが、

女の子オモロと、

特別子役(小4!)の尚巴志と

きよらに照れまくりの尚巴志、

そして北山組

かな。

 

 

尚巴志はプロポーズのシーンで
素直に照れまくり&喜びまくりで
まるでアカインコの様でした(笑)

ただ、この素の感じのはこのシーンだけ、
という印象で、ちょっと突飛な感じもしたので
ほかのシーンでももっとこういう雰囲気を醸し出せたら
もっとよかったかも☆

また、個人的には子ども時代は特に
もっとはっちゃけていいと思ってます。
(ガキ大将のような)
割とずっと優等生系の大人びた感じなのでね。

でも今回のちび尚巴志は小学生の特別子役君。
長セリフにも関わらず、よく頑張ってました!

 

女の子おもろは歌サンシンも披露もしてくれて
お見事でした。

アカインコ+おもろコンビは
これまで小芝居満載で笑いを取るキャラで
はっちゃけにはっちゃけまくってて
時には尚巴志(主役)を喰っちゃってる時もあったんだけど
今回はだいぶ抑えてきたな、という印象。

特にとりたてて笑いを取りに行くというシーンもなく
ほほえましい、というくらいで
個人的にはこれでも十分だと思いました。

 

というか、

ごめんなさい、

アカインコ+おもろコンビ、
登場の90%、見えませんでした。
(舞台中央にいる時以外は全滅)

ただ、声が聞こえるのみでした…。

(これに関しては後述します)

 

 

前回大変革した北山組は、
基本同じスタンスの役作りでした。

今後はずっとこの路線で行くのかな?

個人的にはTHEワル★な本部も好きなんだけどな。

それが「北山の風」の本部とのギャップがあることで
歴史の二面性と言うか、見方は一つではないというか
そういう楽しみにもつながるとも思うし…。

もちろん、今の設定も決して悪くはないですけれどね。

確かにこっちの方が本部が尚巴志の言葉になびいた背景、
というのは分かりやすいですよね。
(単に本部の私利私欲ではなく、って感じで)

今回は与那覇も攀安知への怒りと言うよりも
悩み苦しむ悲壮なテンションでした。

 

うむ。
どちらの設定も捨てがたいので
こういうのはどうだろう。

 

公演によって、
キャラ設定を変える。

 

大筋や台詞は基本一緒でも
演じ方でがらっと印象が変わる。

それが公演ごとに違う
(昼・夜、1日目・2日目)

ってのはリピーターにとってもたまらん
舞台演出だと思うなぁ

そしたら2種類見に来たくなるなー。

鬼鷲メンバーのレベルの高さなら
可能だと思うなぁ。

同キャストでこれができたらすごいけど、
キャスト変えてでもいいし…

(『ガラスの仮面』でこういう回があるのですよ。
同じ作品なのに演出でまるで違う舞台にしてしまうという…)

 

ああ、でもあまりそのスタイルを前に出しちゃうと
尚巴志自体がまた喰われちゃうからやっぱりダメかな?

 

そんな北山組も去年よりもちょっとシンプルになってました。

本部VS攀安知で交戦の後、
攀安知が自ら刀を捨て、本部の刃に倒れる
ショックを受けた本部は攀安知に駆け寄り、共に戦場を逃れようとするが
攀安知はそれを許さず本部を突き放し、本部だけを逃がす…

…という壮大な二人のドラマは抑え、

本部は攀安知の刃を受け、瀕死のまま退場、
攀安知はそのまま自害する、というものに。

うん、これくらいにしといたほうがいいよ…

本部・攀安知が直接やり合うのではなく
それぞれがソロで殺陣を披露するという演出も面白かったな。

(でもこの時舞台下階段にいた本部は
果たして後方のお客さんに見えていたのだろうか)

 

攀安知の死後の、乙樽の舞と
昇天する攀安知のシーンはありました。
肝高の阿麻和利オマージュな前回とは違い、
乙樽は攀安知の霊には気づかず
攀安知(の霊)は手を伸ばすもすれ違うという演出になっていました。

 

確かにきれいなシーンです。

 

ただ、個人的な意見を書くと、

北山戦の後は、
一刻も早く尚巴志に戻したほうがいい

と思っています。

攀安知の死の余韻をあれだけしっかり入れてしまうと
ただでさえ強い攀安知の印象が更に刷り込まれて
(むしろ尚巴志に討たれた攀安知に同情する)
なかなか尚巴志に戻れない気がします。

 

だから何度か書いてるけど、
祈り(供養)の舞も、
乙樽というよりはきよらに、
尚巴志にも痛みや葛藤を(以前はあった弟の戦死とか)、
そして誓いを。

そしてそのまま首里城建設につなげたい。

アカインコからの代弁ではなく
尚巴志そのものに語らせたい。

 

以前の公演は割とこんな感じだったんだけどなぁ…。

この時の公演とかは
その点すごく考えられてて良かったと思う。

 

 

そしてやっぱり、

うう~ん………

って思ったのは、

最後はアカインコと尚真が尚巴志そっちのけで
全部持っていくところだよね…。

 

(これも前回のレビューでも触れてますが
今回はこのもやもやを徹底分析してみました)

 

この演出、
最初(西原→宜野湾公演)は新鮮さもあって
「へー面白い!」って思ってたけど
3回(年)目にあたる前回からは
尚巴志の影がどんどん薄くなっていくようで、
なんだか…心がもやっと。

 

今回同じ演出を見て、改めて、
うん、やっぱり、と確信しました。

 

尚真自体は尚巴志と同じ国を治めるものの立場として
登場しても面白いと思うのですが、

(武力を使わず)国をまとめるには…
と悩む尚真が、

 

尚巴志の生きざまから
答え(ヒント)を得なければ
意味がない

 

と私は思うのですが、
いかがでしょうか。

 

アカインコの提案(武器を取り上げる、中央集権、芸術の推奨)は
全てこれまで演じられてきた尚巴志は全く関係なく(ないように思える)、
むしろ尚巴志の武力による統一の過程を
そっちのけにした提案のように思えてなりません。

だからこそ、

北山戦の後の尚巴志をどう見せるか、何を語らせるかは
とってもとっても重要になってくると思うのです。

 

むしろ、舞台後半の鍵はここだと思うのです。
 

 

クライマックスも,


テーマソングでしっとりと終わり、
舞台が暗転した時に語られる
宮沢さんの後日談ナレーション。

 

 

全部、尚真の話。

 

 

いや、これら設定や展開自体は好きですよ。

武器を楽器に、

いいじゃないですか。

おもろ主取や尚真が行った政策など、
史実とフィクションのリンク具合もすごい好みです。

 

でも、

それは、

尚巴志の話では、

ない。

 

尚巴志の生きざまが生(活)かされた
尚真代の未来(まとめ)、
でもない、のです…。

 

 

作品タイトルが尚巴志(鬼鷲)である限り、
これはちょっと、そのままでいいのか?
と思ってしまいますよね。
やっぱり。

 

舞台の流れはとてもきれいなのよ。

ナレーションで繋げて
ダイナミック琉球に行くという流れは
実に鮮やかだと思います。

 

なのに、なのに、
尚巴志がそこにいない。

 

ああもう、どうせなら作品タイトルを変えてしまえば
こんなにもやもやしないのに!

と思ったよ…。

でもそれでいいのか?という話ですよね。

 

まさか……
(ネームバリューのある)宮沢さんのナレーションありき……で
展開を固めてしまってるわけではないよね…?

と、ちょっと穿った見方をしちゃったりして……
(もちろん、それはないと信じたい)

 

 

「鬼鷲(翔べ!尚巴志)」の作品はずっと見続けてきて
思い入れも強いし、贔屓にしている作品ので、
(東京公演も飛行機乗って見に行ったくらいです)
尚巴志という人を、もっと徹底的に立ててほしいな、
もっと徹底的に大事にしてほしいな、と
その想い一つなんです…。


尚巴志の生きざまのキーワード、
やはり必要じゃないかな?

前はもっと尚巴志が立っていたんじゃないかな?

 

子供たちのがんばり、演技演舞は素晴らしいからこそ、
そう思ってしまうのです。

 

 

これが今回の私の正直な感想です。

 

 

アカインコ、イラスト描いてたのに君は全然見えなかったよ…

 

 

+ + +

 

 

そして、今回1番ダメージを受けたこと。

 

舞台、十分に見えませんでした。

 

会場が公民館だということで
懸念していたことが的中しました…

 

公民館はホールと違って段差のないフラットに床に
パイプ椅子を並べた座席+地べたにゴザ敷席構成は
席によって当たり外れが大きいのです。

そして、言っちゃなんですが、
特にメインの椅子席の方はハズレの方が圧倒的に多いのです。

(前方のいい席は招待客用に全部おさえられていたので
一般人が座れる「ちゃんと見える席」は更に限られる。)

 

客席から舞台がどう見えるのかは
椅子を並べただけではわかりません。

全ての椅子にお客さんが座った時、
舞台がどう見えるのか、
が大事なのです。

床に段差がないので、椅子に人が座ると
よほど背の高い人でない限り
視界がかなり遮られます。

どうしてもお客さんとお客さんの隙間からどうにか覗き見る
という感じになります。

それでも、舞台の上で全て演技・演舞をしてくれるなら
視点が上がる分、なんとか見えるのですが、

舞台自体が狭いこともあって
今回は舞台下での演技も結構あったし、
鬼鷲メンバーの人数的に
演舞も大半は舞台下へ。

 

嗚呼、子供たちの頑張りが
どれだけお客さんに見えたことでしょう…。 

 

段差のないフラット席の会場では
舞台下では演技しない(話を進めない)、
これはお客さんの事を思えば、
多少舞台上の立ち位置が単調になろうとも、
避けてほしかったです…。 

 

 

私は、この時期に冷える地べたのゴザ敷席はキツイので
余ってる椅子席の中で、
少しでもベターな場所を探したのですが、
それでも舞台3分の1と端っこ(ストーリーテーラーアカインコたちの立ち位置)
が全滅でした…。

尚、来るのが遅かったわけではなく、開場時間には到着していました。
それでも椅子席はもうアウトでしたよね。
だから本当は開場の後ろで立って観たかった。そのほうがよく見えるから。


見えないからとしょっちゅう体を動かしてもぞもぞするのも
後ろの人の迷惑になるだろうと思って
もう、覗き見ることも諦めて声だけ聞いてましたよ…。

でも3分の2は見えてたからまだいい方だだはず。
場所によっては半分くらい見えてなかったはずなので…。
(過去に経験あり)

そんな環境で、チケット代はホール公演とほぼ一緒、
というのは、いかがなものでしょう…?

昔、浪漫シアターで那覇中央公民館でよくやってた時は
同じ座席スタイルでしたがチケット1000円でしたらからね…。

 

パイプ椅子も2時間ノンストップだとお尻も痛くなるし
(一応座布団も配ってたけど、充分な数はなさそうだったので遠慮しました)
舞台中も後半は特にずっと椅子がギシギシなる音が響いていて…。
(前が見えないことに加えて、腰やお尻への負担で
お客さんがどこかで常に動いてるんですよね)

 

鬼鷲のメンバー数やキャリアや知名度から言えば
やっぱりホール公演のほうがふさわしかったのではないでしょうか。

 

どのような環境で人に見せるのか
っていうのは、
作品の評価を大きく左右すると言っても過言ではないと思います。

環境も、作品の1つなのです。

 


公演が小規模だったり 伊平屋島とか
公民館でも座席に高低差があったり(作れたり)本部の公民館での北山の風とか
メンバー数が少なかったり 久米島・具志川改善センターでのワカチャラとか
キャリアがまだ浅かったり 
手作り公演やチャリティー公演だったり 大里農村環境改善センターでの尚巴志とか
短縮版などの特別公演だったり 久米島での肝高の阿麻和利とか
その土地でやることに大きな意味があったり 楚辺公民館での花織の宴とか
はたまたチケットが格安だったら 那覇市民会館中ホールでの琉球浪漫シアターとか

公民館でやるのも分かります。

 

でも、今回の鬼鷲は、そうじゃない。

 

立派な、年に一度の、本公演です。

 


北中城村だからこその何かが
特別演出としてあるわけでもなかったし。

地元の伝統芸能などが見られることを期待していたのですが。
(これまでなら何かしら絡めて来てたはず…)

 

 

…と、色々疑問が残りました。

 

 

生意気にも色々と書きましたが
どれも子供たち云々ではなく
大人(制作・運営)側に少し考えてほしいことかな、と。

 

そんなこんなで
今回の鬼鷲はせっかくの子供たちの活躍が十分に見れなかった、
満喫できなかった、です。

 

これは、とてもとても残念でした。

 


子供たちの頑張りを、
もっとしっかり見たかった、です。


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ガサシワカチャラ那覇公演’17

2017年12月26日 | ・現代版組踊レポ

現代版組踊舞台レビューについて

 


月光の按司 ガサシワカチャラ

2017年12月10日(日)

タイムスホール

 

風邪気味でぎりぎりまで迷いましたが、
熱はなかったので思い切って観に行きました!

ガサシワカチャラ那覇公演!

9月に久米島で2回目みて、
今回は3回目。

観劇からだいぶ間が空いてしまいましたが
メモを頼りに思い出して書いてみようと思います。

 

 

+ + +

 

 

まず、前回の公演レビューで書いていた
最初の登場人物の紹介シーン、
分かりやすくなってた!

紹介される人ごとに
登場していき、
中央にあつまる、
という風に。

最後に出てくる主人公のワカチャラは
紹介者の「母」の後ろにぴったりついて、
兄たちとはとは差別化。

グッ!(`・ω・´)b☆

 

 

キンマモンが登場するシーン、
バックライトでの逆光が神々しくて
かっこよかったな。

むしろその逆光のまま、
キンマモン顔をはっきり見せない演出でも
いいと思いました。

そのほうが威厳もあって神秘的な気がします。

バックライトという設備が許されるのであれば、
ですけどね。

 

 

前回、がっつりお父ちゃん(=伊敷索按司)にヤラレタわたし。

その印象が強かったから、
お父ちゃん贔屓、
というのもあるかもしれませんが、
父子のシーンはもっと伸ばしてもいいなぁ。

お父ちゃんが本音を語るのが
割とすぐな印象なので
(初めてワカチャラを攻めたその時に、な印象)
何回かの戦を重ねた末に…
という感じがもっとしっかり出せたらいいな。

 

そしたらその後の母子のシーンでの
ワカチャラの独白、
何故父や兄者たちに憎まれるのか、
という苦悩や
でもやっと父の本心を知ることができた、
っていうセリフの重みが出てくる、はず。

 

 

前回レビューで
お父ちゃんが本心を隠して

"わしや兄たちを差し置いて
久米島の平和を乱そうとしている"

と、わざと憎まれるような物言いをしたところに
お父ちゃんの全てがある!

と書きましたが、

 

…あれ、

 

それ、
ワカチャラよりも先に
堂之比屋に言ってるわ。

 

うーむ。

 

ワカチャラだけにそれを言うなら
そのセリフの重みもありますが
そうでないとすると…

…でも、かといって
堂之比屋に正直に首里からのお達しだ
と言うのも妙だし…

ちょっと考えちゃいますね。

 

(そもそも私が深読みしすぎなのか)

 

 

さて、その堂之比屋。

ワカチャラの理解者として登場する彼。

お父ちゃんがワカチャラ討伐を決めた時、
何故ワカチャラを攻めるのかと
伊敷索按司に問い詰め
上のように返され、袖にされるのですが…

その時の彼(の演技)には
動揺というよりは怒り
を感じました。


なので
その後の堂之比屋について考えてみると面白い。

堂之比屋の「寝返り」は、
果たして
伊敷索按司への恨みか
ワカチャラの仇か
久米島を想ってのことか
それとも首里へのおもねりか
私利私欲か……

 

首里が堂之比屋に近づいた時も
彼が何も反応しない所が実にいい。

 

そして、劇の冒頭、
っていうね。

これは一度は劇全体を見ている
リピーターがしか味わえない面白さなのですよ。

むふふ。

堂之比屋のミステリアス具合が
色んな憶測をさせてくれるので
とても面白いです。

個人的には善悪が分かりやすい人物よりも
こういうキャラにとても惹かれます。
(史実の堂之比屋も合わせて考えるとまた面白いのですよ)

 


ワカチャラは相変わらずの美形でした

劇中では15歳の設定なんだね。
(死ぬときはもしかしたら数年たってるかもだけど)


ところで、ワカチャラが死ぬ時のシーン、
尺が短くなっているような気がしたのは私だけ?

……気のせい?

一度見て知ってるからそう感じただけ?
(でも観劇2回の時は感じなかったんだけど)

見てて
「…あれっ?終わり??」
ってちょっと物足りなく感じてしまいました…。

死ぬシーンと言うか、
死ぬまでのシーン。

アンサンブルさんの格好いい演舞がもっと見たいなー。
(現代版組踊では戦いのシーンの集団演舞がどれもこれもかっこよくて好き)

 

 

前回もドキュンときた正妃(ウナジャラ)ちゃんは
今回もサイコーなSっぷりでした(笑)

同じように、託宣の後とかは
長男や次男も
もう少し毒出してもいいかもね(笑)
(正妃ちゃんほどではなくとも)

カーテンコールのあと、
正妃&真牛(母)がペアで退場するところは
前回はそのキャラそのままでしたが、
今回はやさしくてかわいかった。

…ギャップ萌えかっ!!

(前回までのツンデレ退場も捨てがたいですが)

 

+ + +

 

ところで、もしかしたら
今回の公演は高3メンバーの卒業公演でもあったのでしょうか?

こうやってまた世代交代がなされて行くのですね。

メンバーが変わっても、
久米島の子たちが
久米島を誇りに想って作り上げる舞台
であることに変わりはありません。

次にガサシワカチャラを見る時は
いったいどんな人がどんなキャラクターを演じ、
どんな舞台になっているのでしょう。

 

また、この舞台を観る時を楽しみにしています

 

 

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大変革!百十~MOMOTO~(ネタバレ含む)

2017年11月12日 | ・現代版組踊レポ

現代版組踊舞台レビューについて

 


百十~MOMOTO~

2017年11月4日(土)・5日(日)

きむたかホール

出演/肝高の阿麻和利高校生メンバー・Team NEXT TAO

  

※今回のレビューは、ストーリーのネタバレを含みます。

 

土曜日の昼・夜公演、
日曜日の夜公演に行ってきました!

 

和々的泣ける現代版組殿堂入りのこの舞台。

現代版組踊で初めて落涙した初演から、
毎回必ず行っているので
(百十観劇は今回で10回目★)
そろそろ慣れてきてもよさそうなのです、が、

 

今回も泣かされました…。

 

土曜日の昼公演で涙ぼろぼろ、鼻水ぐしゅぐしゅ

客席にいるのでこれでも抑えてたつもりだけど、
もし周りに人がいなければ、
終わった頃にはティッシュ山盛りだったはず。

 

しょっぱなからこんなに泣かされるんだから、
もう一回は見ないといかん!
と、予定外だった土曜日の夜公演もチケット取ったもん(笑)

 

落涙ポイントは前回までのシーンはもちろん、
(カーテンコールでも泣けるって百十以外にない)

今回は、

王妃

の存在がとにかく大きかった…。

 

新キャラとして王妃(=百十踏揚の母)が出る、
ということは事前に聞いていて
(HPなどでも紹介があったし)


なるほど、
これまで以上に「母」に趣を置いてくるのね(ニヤリ)

とある程度読めてはいたのですが、

 

いやはや、
想像をはるかに超えていました。

 

まず、
王妃の出番、がっつり。

百十踏揚が首里に戻ったところでのやり取りは
思戸から全て王妃にチェンジ。
(思戸とは越来で再開)

百十踏揚の自殺未遂を身を挺して止めるのも
あなたのせいでない、と言いきかせるのも王妃。

そして傷心の百十踏揚に寄り添い、
「生きるのです」と励まし、指針を与えたのも王妃。

王妃自身、父である護佐丸を殺されており
身内を身内に殺されるという
大きな傷を抱えていて、
百十踏揚の気持ちは痛いほどに知っているからこそ。

 

金丸の進言によって、
百十踏揚の心の傷も癒えぬままに
再度賢雄に嫁入りさせることを決めた尚泰久が
そのことを告げに部屋に行ったシーン、良かった。
(尚泰久のあの内容のセリフがここで復活(笑))

賢雄への嫁入りの命を受け、
ショックを受ける百十踏揚、
抗議する王妃、

 

「お国のため、お国のためにと…
お国の前に、わらわたちの心が壊れてしまいます」


その抗議に対して

 

「そんなこと、わしも分かっておる!」


と一喝する尚泰久。

 

この3人の心のせめぎあいと葛藤が
痛いほどに伝わってきて。

最初に泣いたのはここでした。

 

嫁入りに反対の意を重ねる王妃に
業を煮やした尚泰久は王妃を"謀反人(護佐丸)の子"として
追放を命じる。

 

うわーーーーーん(涙腺崩壊)

 

抑える侍女たちを振り払い
百十踏揚にかけより最後の言葉をかける王妃、
縋りつく百十踏揚…。

 

「父上は私たちが憎くなってしまわれたのですか!」

 

尚泰久!ひどい!
…ということは到底思えず、
ただただ、3人それぞれの苦悩が伝わってきて。

 

「どうしてこうなってしまうのだ」
「家族の幸せを願わぬ父親などいるはずもないのに」


ほんとにね(´;ω;`)

 

そして幼い頃の百十踏揚と母との思い出の回想シーン。
楽しかった、母との思い出…。

 

 

これだけでも十分なのに、
たたみかけるように
今度は百十踏揚の越来への嫁入りシーン。

祝言を祝う越来の民たちの雑踏に混ざって
王妃が嫁入りの百十踏揚を見つめる。

百十踏揚は一瞬母を見た気がして、
雑踏の中を探すけれど
もうそこには母の姿はなくて…。

 

うわーーーーーーーん

(いかん、今書いてて思い出しても泣けてくる)

 

百十踏揚は辛い気持ちを持ちつつも、
母の強さと「生きるのです」という言葉を胸に
新たに進むことを決意する。

 

このシーン、
日曜日の夜公演を見た時は
尺が長くなっていました。

 

雑踏の中で母を見つけることはできないのですが、
簪?を拾い、母がいたことを確信する百十踏揚。

これまではそこでそのままハケていた母が
最終では、時が経ち百十踏揚は子を産み…という
次のシーン(演出)まで遠くから見守っていて。

娘を見守り幸せを願う「母」の想いが
より強く出ていました。

 

 

この王妃と百十踏揚のシーンは
母をテーマにした「にぬふぁ星」の曲で
一連の流れをつないでいました。
(にぬふぁぶし=北極星のこと、道しるべ)


この曲が、また泣かす。


歌詞もメロディーも歌声も、
すごくすごくきれいで
この曲抜きではこのシーンは成立しないほど
効果抜群でした。

百十のCD化、お待ちしております!

 

今回、この王妃とのシーンががっつり入ったことで
百十踏揚の傷心具合や賢雄との再婚との葛藤、
そして少しずつ立ち直っていこうとする
リアルな心の移り変わりが感じられて
とても良かったです。

前回までの展開も特に無理があったわけではなかったのですが、
今回は更に深みとリアリティが出た感じ。

 

+

 

最初の頃は小説「百十踏揚」の舞台化!
と言っていいほど小説そのまんまの印象が強かったですが、

今回の王妃とのやりとりはオリジナル脚本。
(小説では護佐丸討伐前に王妃は病死しています)

それからこれは初演からだけど
賢雄や百十踏揚の最期のシーンなど
小説にはないオリジナルの場面がどんどん入ってきて
しかもそれが物語の核になっていて、

もう小説の舞台化とは違うな、
もうオリジナルの「百十」になったな、
と思いました。

 

本当に、素晴らしいです

 

+ + +

 

 

百十踏揚は去年と同じくチヒロさんと、
去年肝高の阿麻和利を卒業したリサコさん。

どちらも安定の百十踏揚

お二人とも、去年よりも
「強い百十踏揚」になってると思いました。

強いというか、きっぱりしてるというか。

幼少期の百十踏揚と賢雄が登場するようになって感じたのは
やっぱり幼少期のおてんばお嬢様っぷりと、
大人になってからの麗しく儚いTHE姫というキャラクターや、
幼馴染として身分の差なく言い合ってた賢雄との関係のギャップ。

百十踏揚のキャラクター表現がより強くなったことによって
これらのギャップはだいぶ縮まってる印象でした。

 

賢雄との関係もフランクだったのが
夫婦になった後も随所に感じられ良かったです(^^)

賢雄と百十踏揚・思徳金一行との別れのシーンは、
幼少期の百十踏揚や賢雄の回想シーンで

「これから何があってもお前を守ってやるからな」

をリンクさせて☆

小説ではここが泣ける!百十踏揚が賢雄に対して本当にわだかまりが溶ける所なの

 

 

+ + +

 

そして、今回の特記事項。

 

日曜夜の、最終公演。

 

尚徳出た。

 

この1公演のみ!

この1公演だけ、実験的な試みなのか、
間に休憩も挟んでの2幕構成。

1幕のラスト、金丸のクーデター勃発のシーンで。

 

「おのれ金丸!」
「父(尚泰久)の恩を忘れたか!」

 

舞台上の人の発声ではなく、
舞台裏からのマイク発声(もしくは事前録音)。

え、え、えっ!?

この感じ、
このセリフ、
まさか、尚円王回顧譚!!??

中央には逆光で顔の見えない男が一人。

誰!?

金丸!?

えっ、うそ、
尚徳!!???

自害する尚徳。

そして、ライトダウン、緞帳が下りる。


・・・・・・(口あんぐり)

 

休憩に入り、会場が明るくなっても、
しばらく口開けたまま放心状態でした(笑)

 

マージーかー!?

(↑は帰ってからツイッターにあげたもの。
このイラストよりも、もっとあんぐり+放心って感じでした)

 

今度は尚円王回顧譚の再演を、と願っていて
その日のかっちんカナーのレビューでも書いてたばかりだったのに、

まさか、こんな形で再会するとは。

(台詞とか違うかもだけど、
回顧譚では舞台上にいたのは金丸で尚徳は出てないけど、
でもあれを彷彿とさせる感じでした

 

これは完全に予想外でした。

見れて良かった。

マジでこれはラッキーでした。

 

尚徳!継続求む!!

 

 

ちなみに、この時の尚徳、
土曜日の百十踏揚役のちひろさんだったことをツイッターで知り、
二度度肝抜かれた、という後日談。

 

 

+ + +

 

 

賢雄はリョウ君一人で4公演、お疲れ様でした!

越来での祝言のシーンで
衣替え(頭巾)が行われたのも
阿麻和利の戴冠式のシーンみたく
按司になった感が出てよかったな(^^)
(そして隣に立つもやつれて元気のない百十踏揚…)

 

賢雄最期のシーンは、
現代版組踊シリーズの中でも特に好き!

私、この系統の死ぬシーンが好きなんだね。
(アカハチとかワカチャラとか、これ系)

 

賢雄の戦いのシーンは
賢雄は体をいっぱい動かして、
「コノヤロー!」とかの雄たけびもあり、
アンサンブルさんのメンバーも増え(たよね?)、
迫力満点!!

 

知花大親がソロで死ぬシーンも追加されてました。
(今回の百十、死ぬシーンめちゃ多い。未遂含む(笑))

 

三つ巴松明隊の踊り、好き!
(百十CD化の際にはこの曲も収録してほしい!)

ボーカルさんのコーラスが入るまでの
松明隊だけの演舞だけの所は
音的にちょっと物足りないから、
唸るとかなんかあるといいのかも、
と思ってましたが、

日曜日公演では、敵兵の男サンが
客席でうろうろしながら大声出しててよかったです

 

 

 

+ + +

 

他にも細かい変化は色々あったのですが、
今回は大きい変革がありすぎたので
これくらいにしておきます。

やっぱり、この舞台は私にとって特別な作品です!

 

今回もばっちりデトックス・涙活させていただきました!

 

ありがとう百十~MOMOTO~!

 

次回も楽しみにしています

 

 

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