そのままVon

おもに31文字の語呂合わせ日記

岡野弘彦さんの十首

2024年07月10日 | 日めくり帖
2024/07/10
「七月に取り上げられし岡野さん齢九十生れ月らしい[][]」
「じっくりと読めば何とかわかるけど種の源泉我らと違う[][]」

「1.七月はわが生まれ月。闇に照るあをき地球を恋ひやまぬかも
    [七夕の天の川よりこの地球見れば綺麗で恋はやまない][]」
「2.グラマンの銃撃すぐる鉾田飛行場 友の骸を抱きてたちをり
    [骸だく実体験なら重すぎる息子も失う養子の子だが][]」
「3.血に染まる青草を踏みてちかづけり。クロード・モネの 日傘さす女
    [血に染まる青草なるはなんのことモネの女は穏やかでなし][]」
「4.風はらむ白きパラソル。戦場を見おろして立つ女うつくし
    [美しい女の見下ろす戦場は対照的に醜いという][]」
「5.若き日のモネが描きし女神像。胸にいだきて死にゆかむかな
    [棺桶にモネの描きし女神像もっていくほど好きだと言える][]」
「6.七夕の宵に生まれて情濃き われの命の ほそりゆく世ぞ
    [情濃き己が生命を誇れれど細り行くとぞ静かに語る][]」
「7.桜ちりて木もれ日の湯に ひたりをり。あはれ齢は九十ココノソジ経ぬ
    [現し世も味わいたればいいもので木漏れ日の湯粋なものかな][]」
「8.十八の母が生みくれし現し身は 生き生きていまいのちの蹉跎サダたり
    [足踏みをしているという現況を前に行けぬが下がっていない][]」
「9.国ほろび民ほろびたる桜蘭のうれひの歌をわれはうたはん
    [桜蘭で綺麗なミイラでたときに旅をしたるか滅びの町に][]」
「10.砂あらし身をめぐりつつ吹きすさぶ この現し世を 耐へゆかむとす
    [砂あらし桜蘭の地で遭遇たるか耐えるしかなし諦めにたりて][]」

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