そのままVon

おもに31文字の語呂合わせ日記

俳句の解釈 11

2017年04月06日 | 俳句

2017/04/06

110
「稲妻のゆたかなる夜も寝べきころ
 (中村汀女
/床に就く頃に賑やか稲妻がねばならぬとは何がありしか
&ふつうなら寝るに寝られぬ稲妻も捨て置き寝るはいかなるわけが)」


111
「いなびかり北よりすれば北を見る
(橋本多佳子
/だから何言いたけれども言えぬなり北には何か気がかりあるか
&いなびかり北に鳴れればそのうちに来るやも知れずだから見るのか)」


112
「寝積や布団の上の紋どころ
(阿波野青畝
/イネツムは忌み言葉なり正月に寝るを著す言葉でありし
&正月に寝て気がつけるお布団にある紋どころ菊が似合うか)」

113「遺品あり岩波文庫『阿部一族』
(鈴木六林男
/仇討ちの末に滅びし一族の遺品のように出る文庫本
&きっかけは何でだったか失念すこれが肝なり心にとめよ)」


114
「芋の露連山影を正うす
(飯田蛇笏
/整うや正しゆうするが句にありし芋の露とは山に何した
&露のなか連山露に映りこむ都合はよいがほんまかいなと)」


115
「いわし雲空港百の硝子照り
(福永耕二
/空港の上に出でたる鰯雲硝子が幾多キラキラとせり
&余情とて何を読んだらよいのかな出逢い別れのドラマを見るか)」


116
「鰯雲子は消ゴムで母を消す
(平井照敏
/難しき句ではありたり子の心理母の面影形なさぬか
&イメージが形なさずにもどかしく母のもくもく出るを掻き消さんとす)」


117
「鰯雲日かげは水の音迅く
(飯田龍太
/水の音どんな音だかわからないたぶん瀬音で日陰は厳し
&鰯雲みて日陰なる川想う多分瀬音は激しく迅く)」


118
「鰯雲人に告ぐべきことならず
(加藤楸邨
/スッキリとせぬ想念を人にいう時期尚早と自戒の句かな
&仰ぐ間に鬱屈多いもの思い人に告げてもどうにもならぬ
&ポワポワした鰯雲と人に愚痴らないという固い決意の対比)」


119
「浮いてこい浮いてこいとて沈ませて
(京極紀陽
/季語はなにこの戯れはわかります心理は単につついてみたい
&浮人形ふろで遊べるアヒルなど浮いてこいとは傍題なりし)」
 

 

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