暇つぶし日記

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47Ronin   (2013);観た映画、 June  ’16

2016年06月08日 23時52分09秒 | 見る

47RONIN     (2013)

原題;47 RONIN


121分


監督: カール・リンシュ  
製作: パメラ・アブディ  
  エリック・マクレオド  
製作総指揮: スコット・ステューバー  
  クリス・フェントン  
  ウォルター・ハマダ  
原案: クリス・モーガン  
  ウォルター・ハマダ  
脚本: クリス・モーガン  
  ホセイン・アミニ  
撮影: ジョン・マシソン  
プロダクションデ
ザイン:
ヤン・ロールフス  
衣装デザイン: ペニー・ローズ  
編集: スチュアート・ベアード  
音楽: イラン・エシュケリ  
出演: キアヌ・リーヴス カイ
  真田広之 大石内蔵助
  浅野忠信 吉良上野介
  菊地凛子 ミヅキ
  柴咲コウ ミカ
  赤西仁 大石主税
  田中泯 浅野内匠頭
  ケイリー=ヒロユキ・タガワ 徳川綱吉
 
ハリウッドが日本の古典復讐譚“忠臣蔵”をモチーフに、日米の豪華キャストの共演で描く異色の3Dアクション・ファンタジー・エンタテインメント大作。主演に「マトリックス」シリーズのキアヌ・リーヴス、共演に真田広之、浅野忠信、柴咲コウ、菊池凛子、赤西仁。 監督はCM業界で活躍し、本作が記念すべき長編デビューとなる新鋭カール・リンシュ。

将軍・徳川綱吉が治める鎖国時代の日本。かつて赤穂藩藩主・浅野内匠頭に命を救われた混血の異人カイ。浅野の娘ミカと心を通わつつも、浅野への忠義を誓い、領地の片隅で一人静かに暮らしていた。そんな中、赤穂藩の追い落としを目論む隣国の藩主・吉良上野介は、謎の妖術使いミヅキと共に奸計を巡らせ、浅野に刃傷沙汰を起こさせてまんまとお家取り潰しに追い込むことに成功。さらに浅野の忠臣・大石内蔵助はじめ家臣たちは浪人となり、四散してしまう。一年後、大石は出島でオランダ人の奴隷となっていたカイを助け出すと、復讐への助太刀を要請する。こうして大石率いるわずか47人の赤穂浪士は、ついに吉良への仇討ちへと立ち上がるのだったが…。
 
オランダのテレビガイドに本作がタイトルだけ出ていた。 それで忠臣蔵のアメリカ版かと観始めたらその辺の日本のことなど何も知らないものたちが英語の赤穂浪士の大まかな筋と登場人物の名前を使いゲームやファンタジーもので二ホンを齧った若者向けに金儲けしようと制作した作品だと分かり詰まらないと思った。 思ったはいいけれど果たしてこれを観た中途半端な若者たちがまたしてももう大分下火になった日本ブームとはいえそんな中で忠臣蔵を知ったと言いふらすのかと思うと肩の力が抜ける。
 
真田や浅野はいい俳優だし柴咲を見るのは「GO(2001)」以来だ。 魔女役の菊池は中国人俳優かと終わりまで思っていた。「べベル(2006)」「ノルウェーの森(2010)」で観ていたのだが気が付かなかった。 日本に住んでいなくヨーロッパのテレビにでる日本人のでる映画をテレビでみているとこうなるのだろう。 尚、「ノルウェーの森」については次のようにも記している。
 
http://blogs.yahoo.co.jp/vogelpoepjp
 
菊池に関してはバベルが良かった。 多分本作の魔女のことを何年も後で思い出すとすると菊池は出てこなく中国人俳優としてのイメージが出てくるに違いない。 
 
それにしても奇妙奇天烈な意匠、背景を作るものだ。 長らくアメリカで造られる「日本」ものを観てきてこれほどひどいものを観たことはない。 多分ファンタジーだからと嵩をくくっているのだろう。 衣装デザインの女の頭に中には中国が掬っているようだ。 それは西欧の日本理解の伝統で今更嘆くことはなく多く西欧で出版された中途半端な日本を題材にした絵本やmangaにそれがみえる延長でしかない。 だれも歴史考証に関し一顧だに与えていないこと明らかだ。 ただこの20年来世界の日本研究で「忠臣蔵」を研究する学者がいることは承知している。 もう何年も前にコロンビア大で源氏物語論で博士号をとったアメリカ人学者が忠臣蔵セミナーを開いてそれに参加したことがある。 そこに本作を参考資料として提出すれば笑い話になることは確かなことだ。 忠臣蔵の西洋における受容 - 伝統的な西欧の日本理解、というような題にでもなるのだろうか。
 
自分にとっては忠臣蔵は70年代ぐらいまでメディアで師走に上映されるものとして年中行事として育った。 多分今30代から下の世代とは忠臣蔵に対する思いれがそもそも違う20代には忠臣蔵など分からないにちがいない。 この程度のものでも日本の若者にアピールする素地はあるのだろう。 それほど時代は変わったというべきで50代以上でももしかしてこれを面白いという人も出てくるのかもしれない。 初めからどんな作品になるのか分かっていたら日本人俳優たちは契約にサインしていたかどうか。 本作終わりに、本作は歴史的事実を基にして創作した、と書かれているのに改めてそのバカバカしさの程度に笑った。 幾ら事実に則って忠実に、とことわっても創作であるのは確実であるは分かり切ったことだが本作の創作の結果のお粗末さに最後まで観て時間の無駄だったと感じたのだが、そもそも三船敏郎が出たテレビシリーズの「ショーグン(1980)」やトム・クルーズの「ラストサムライ(2003)」も首をかしがることが多くともまだそんなお話を創作として受け入れることまで譲歩できたのがここにきてその出来が大きく後退していることに多少の落胆と時代の変化を感じざるを得ないと感じた。
 
それぞれが英語を話す映画で真田がすんなりと話を進めていてセリフが良く消化できていた。 伝統的に吉良上野介にはある種のイメージがあって焦らしの悪役をどう演じるのかに興味が行くのだけれど浅野忠信の吉良には笑った。 その笑いは爆笑ではなくニヤニヤ眺めるという風で、「殺し屋1(2001)」を観ている者にはあの延長を15年後に演れば真田に迫れたのにと残念だった。 いずれにしても本作の駄目さは監督・原案・シナリオ・衣装の駄目さに依っている。 だからオランダのテレビガイドには5段階評価の2つ星が付いていて、その意味するところは観る必要はない、と示されていたのに肩に力を入れて観た自分がバカだったのだというしっぺ返しにあったのだ。 それにしても日本のいい役者たちを無駄使いしたものだ。 妙なのは本作で奇天烈なストーリーの中で唯一キアノ・リーヴスが普通に見えたことだ。 
 
本作を流したオランダ民放は本作の終了後クレジットもコマーシャルも流さずすぐブルースリーの「燃えよドラゴン(1073)」を始めたのだったが始まってすぐその背景、雰囲気に本作とはなんの違和感もなかったの驚いたものの、先に述べたように本作のデザインには中国風が大きく作用していたことを思い返し納得した。 それにしても日本人のまともなアドヴァ―ザーはいなかったのだろうか。

大型の鰊の燻製を喰う

2016年06月08日 19時27分54秒 | 喰う

 

オランダでは生の鰊を喰う。 この時期ホランドニューという新鰊が獲れあちこちの露店ではそれをその場で捌いてもらい頭と骨を取り尻尾を摘まんで目の上まで持ち上げ下から、今は無い頭のほうから齧り付くのが作法だ。 ビールやオランダのジン、ジェネーヴァで喰うのが美味い。 世界各地のオランダ大使館では祝日にそれがそこに集うゲストに振る舞われる。 もう30年以上前に東京タワー近くのオランダ大使館の美しい庭でそれを口にして何でこんなところでこんなものが、と奇妙な思いに捉われたことを思い出す。 世界中の日本大使館でそんな折には寿司や天婦羅が振る舞われるのと同様だろうか。

今の時期の鰊のことをホランドニューという、と書いてオランダ語のウィキ゚ペディアで繰りそこにある日本語ではどんなものかとクリックするとひどい間違いとなっていた。 なぜそうなったのか奇妙に思いまたオランダ語に戻りこんどはそこから英語にクリックすると、何かに浸けられた鰊のこととなっていて生鰊が酢漬けというようなバカな間違いになっている。 今の時期人は酢漬けなど喰わず生を喰う。 日本にはちゃんとオランダ語の分かる人間がおらず中途半端な英語の解説をそのまま和訳してそうなったと言う訳だ。 この新鰊のことは8年前に写真を載せて次のように書いていた。

http://blogs.yahoo.co.jp/vogelpoepjp/54691101.html

今日家人が町で大きめの鰊の燻製を買ってきて捌いてくれと言う。 生鰊なら時々は10尾ほど入ったプラスチックの樽から簡単に捌くけれど燻製だからどんなもんかと先ず頭を落とし下腹部からナイフで切れ目を入れると鰊の卵、数の子が燻製になっていた。 これは酒のアテにいいのだがオランダ人の妻は喰わない。 大体そんな「ゲテモノ」を喰うのはベルギー以南の海の幸に富んだフランスや地中海沿岸以南の国の食文化だ。 ここは亜寒帯で海洋国とはいえ伝統的に食文化は貧しい。 昔まだ飛行機がプロペラで飛んでいた頃、国際司法裁判所で判事をしていた日本人で、自分も法学生の頃使っていた教科書を書いたその人がハーグ在住で、日本に帰るときオランダでは捨てる数の子をバケツ2杯飛行機に運び込むのをタラップに登って手伝ったという今は昔のエピソードを退役したKLMの日本人職員から聞いたことがある。 けれど70年以降はそんな捨てるものでも日本では売れるということを知りそれからは日本での数の子がオランダ産になっているということだ。

鰊をそのまま燻製にしたものがオランダではボッキング(Bokking)といい開いて燻製にしたものを英語ではキッパ―(Kipper)という。 キッパ―はイングリッシュ・ブレックファストにも供されることもある。 そうならば干物が朝食に出るのは日本だけではないことの証でもある。 開いたものには当然数の子はついていない。 けれどこのボッキングはそのままを燻製にしたものだから卵がおまけとしてついていたのだ。 卵をまだもたない若い鰊を処女鰊とよぶこともあるそうだ。 だから自分はお母さん鰊の腹を裂いて卵を貪り喰い酒を啜るという野蛮な行為に耽ることとなる。 合掌。