昨日、まとまりのない何となく過ごした土曜日だと記したのだがその日起きてすぐメールボックスを開けていたら画期的なニュースに立ち会えたのだがそれを逃した。 知り合いからメールが入っていてシーボルト博物館でオランダ語で初めて源氏物語の翻訳が出ることになり、その出版記念とアムステルダム国立博物館が江戸初期にオランダの東インド会社を通じてオランダに持ち帰った源氏物語をモチーフにした蒔絵の筺を7億5000万円ほどで購入したことに重ねて源氏物語関連のレセプションがあったのだ。 アムステルダム国立博物館はこの間、もう何年も補修をしていて閉館だったものがオープンするときに山陰地方の古い寺から購入した鎌倉時代の運慶・快慶のながれを汲む金剛力士像を17億ほどで購入し、それをオープンのときに全面に出していたのだから今回の蒔絵も見事なものに違いなく、その事情を直接古くから知るその学芸員から聞けたのにとまことに残念な思いをした。
今から思うと自宅でコトコトと羊の肉を煮込んでいたときにそのイベントが行われていたことになる。 その羊肉を買うのに仕事場から自転車でレンブラントの生家の前を通り、その父親の所有していたと思しき風車を通り過ぎていくのだがそのときふと生家と風車をつなぐ跳ね橋の上から古い港にカメラを向けて曇り空の下、シャッターを切ったのだけれどその場所はまさに17世紀以降インドネシア、中国、日本から文物が運ばれてきた所でもあるのだ。 源氏物語をモチーフにしたその筺がここに着いたという保証がないのは東インド会社の港はここひとつだけではなくあちこちにあるからだ。 ただ江戸時代後期、シーボルトが日本から持ち帰った文物はここに運ばれ港の奥の家屋やここから1kmほど離れた場所、さらには200mほど離れたシーボルトの住居に保管されていたことは確かだ。 博物館的な価値に加えて美術的価値の高いものはアムステルダムの国立博物館に行くようだ。 例えば将軍の花押のついた第一級文書の類はハーグの国立公文書館といったぐあいである。
世界各国から見物客が来るアムステルダム国立博物館は再開館してからまだ半年も経っていなく夏に入り口の建物をみたけれどかなり混雑していた。 金剛力士像を観たいとおもうけれど一番寒く客が少ない時期に訪れようと思う。 正月に帰省してオランダに戻って落ち着いたころになるだろう。 その頃にはこの源氏の蒔絵の筺は展示されているだろうか。