暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

夜中の水仙

2008年03月08日 12時29分52秒 | 日常
3日ほど前にもう20年も仕事場で顔を合わせている知り合いとそのパートナーを久しぶりに招き、家族ですき焼きの食卓を囲んだ。 20年前に北の街、グロニンゲンから引っ越してきて彼は親切にも我々の新居を世話してくれた。 ハーグ市の一角にあった。 それが彼のうちの隣で、隣同士になってからは裏庭のコンクリートの低い塀を越えてもののやり取りをしたり2つ3つの息子も二人の手で塀をいったり来たりもしたものだ。 その家で息子も娘も生まれ庭の小さな林檎の木の下には娘の胎盤も埋っている。 そして娘が這い始めるかどうかという頃に我々は今のうちを買って引っ越した。 それが17年前だ。 そこに住んだ5年の間通勤の電車で我々はほぼ毎日一緒に行き帰りした。

それからじきに彼らは離婚して仕事場のある町に引っ越してきて町の反対側に住んだ。その彼の父親はこの国の代表的なシンフォニーオーケストラのコンサートマスターもした人で、けれどそんな有名人の息子である本人は地味で普通、我々と同じ公務員でこつこつと実直に働く人だ。 何事にも控えめでユーモアもあり、よくいる能天気なほど陽気なオランダ人に混じっても社交的ではあるけれど静かな生活が一番性にあっているというような人柄だ。

仕事場では沢山のオフィスがあり我々は別々に働くから大抵は通りすがりに事務的な話をしたりするぐらいでゆっくり話をする機会はない。 殊に我々がそれぞれ半分定年の時期に入って事務所に出向くことも少なくなって顔を合わす機会が一層減ったということもある。 この前彼を家に呼んだのはもう10年以前になるだろうか。 だから今回、四方山話に花が咲き、彼の息子のことにも話が及び、彼の息子は私の息子も通う大学を卒業するようにもなり、また、お爺さんの血をひいたのか学生のオーケストラでヴァイオリンを弾いているということだ。 久しく会っていないので会ってももう顔を確認できないのではないかと思うほどだ。

その彼が手土産に持ってきてくれた籠に入った球根が居間の机の上にあり、そのときは大鋸屑のなかに設えられたいくつもの球根には緑の葉が出ていただけだけれど3日しか経っていないのに今ではミニ水仙の花がもう7分咲きになっている。